ドイツの達人になる 規則、法律

DSGVO (09.06.2018)

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おどろおどろしい名前の法律、”Die Datenschutz-Grundverordnung”(以下DSGVO)が2018年5月25日より発行した。この法律は欧州全域に適用される法律で、個人情報の取り扱いを定めたもの。日本で何処かに登録する際に、その条件を読まれたことがあるだろうか。ちゃんと読むとインターネット上で登録すると、「あたなの情報は第三者に渡されます。」と書かれている。これに同意しないと登録できない上、ソフトのアップデートもできないという反強制的な方法を採用している。今後は、このような方法で、個人情報を収集することは違法となる。

同時に企業は言うまでもなく、ブログを書いている人でも、顧客の個人情報、国籍、性別、趣味、体格、宗教、食事の好みなどなど、を守る義務が発生する。ブログで、「この人は○○さんで、○○から来ています。」と勝手に個人情報を公開したとする。これを本人が見ると、「私の許可なくして個人情報を公開した。」と訴えることができる。そのようなケースでの損害賠償請求を専門にしている悪徳弁護士事務所がある。ここに依頼すると弁護士事務所からの請求書が届くというわけだ。

2018年の4月には、フェイスブックの顧客情報の第三者への譲渡が大きな話題になった。この法令は、企業によるこのような個人情報の悪用を防ぐのが目的だ。これに違反すると最高で2000万ユーロまでの罰金、あるいは会社の年間売り上げの4%までの罰金を課すことができる。フェイスブックにとって幸運なことに、この法律が施行される前に事件が起きた。法律施行後だったら、過去最高額の罰金が課されていただろう。

そして消費者には、かってお買い物をしたり登録をしたことがあるプラットフォームに、どんな情報を保管しているか、問い合わせることができる権利が生まれる。保管されている情報を消してもらいたい場合は、これをメールで簡単に要請できる。卑近な例を出すと、ネットで悪口を書かれたとしよう。もし個人情報がそこに載っていれば、これが事実であるか、嘘であるかに関係なく、消去を要請することができる。

ドイツ(欧州)に住んでいる人は、5月25日に数多くのメールが届いたので不思議に思ったに違いない。企業はこれまで半強制的にとった了解を利用して、ニュースレターを送ることができなくなる。そこでメールを送って、「新しい消費者情報取り扱い方に同意してください。」と、またしても難解なメールを送ってる。本来なら、「ニュースレターを今後も発信するには、あなたの了解が必要です。了解されるとあなたの個人情報は保管されて、マーケッテイングに利用されます。」と正直に書く必要がある。しかしそんなことを書くと誰も了解しない。そこで怪しげな方法で了解を取ろうとしている。しかしまさにこれが違法なのだ。欧州委員会はすでにフェイスブック等に対して上げられた告発の調査を始めている。

この機会に、今年に施行される幾つかの新しい法律を紹介しておこう。まずは車の税金。9月1日から排気ガスの汚染度に比例した税金が導入される。エンジンの大きな車、もしまだデイーゼル車を買う人がいれば、税金が高くなる。少しでも節約するなら、8月末までに購入、登録する必要がある。

次はドイツ人の大好きなテーマ休暇。家族旅行(フライトとホテル込みのパッケージ)は半年も前に購入すると、夏に買うよりも大幅に安い。そこでドイツ人は夏の旅行を冬に購入する。その後、(例えば)ユーロが暴落した場合、旅行主催者にはすでに支払い済みの旅行の値段を変更する権利が認められてる。これまでは主催者が5%以上料金を上げる場合、消費者は無償で旅行をキャンセルできた。今年からはこの基準が8%に引き上げられた。すなわち旅行主催者はまだ冬のうちに安い値段で旅行を売り、夏になると堂々と7.9%まで料金を上げることが可能になる。家族旅行だと6~7千ユーロも払うこともあるので500ユーロもの余計な出費になる。しかも消費者には8%未満の値上げでは、キャンセルする権利もない。これでは旅行を早めにブッキングする意味、利点がなくなる。

お次はNetflix & Coのストリーミングの条件に関する件。これまでは、「ドイツで契約した人は、ドイツ国内からしか見れません。」と海外からのアクセスを禁止していた。中には特別料金を課して、海外から視聴を許可していたケースもあった。これを不服とした消費者が欧州裁判所に訴えて、勝訴した。お陰で今年の3月からは、欧州全域で追加料金なく、ストリーミングでの視聴が可能になる。もし視聴を制限されたり、料金を要求されたらBundesnetzagenturに苦情を上げることができる。

次は銀行関連。これまでは欧州内での送金、例えばドイツからルーマニアは、「送金には3日間かかってもよい。」となっていた。今年からは即座に送金することが義務化された。高い送金手数料を取る日本では当たり前だが、無料で送金できる欧州でも、いよいよ日本並みの即日送金が実施される。そしてEU内の外国でクレジットカードを使用した際の、「海外使用料金」は禁止されて、国内での使用と同じ扱いになる。

その他、家を建てる家主を破産から守るための法律、投資家への税率などか変更されたが、これに関与する方は少ないので、ここでは割愛いたします。

個人情報の取り扱いには、要注意。

個人情報取り扱い条例

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