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関税戦争 (26.03.2018)

投稿日:2018年5月31日 更新日:

“unberechenbar”(何をしでかすかわかったもんではない)と言われているトランプ大統領、法律の抜け目を利用して大統領令で罰則関税を導入すると発表した。例外はカナダ、メキシコ、それにオーストリア。早い話が白人国家だけ。”Rassist”(民族差別主義者)のトランプ氏らしい決定だ。日本人は黄色人種なので、米国の同盟国でありながら、処罰の対象とされた。(韓国だけは北朝鮮対策でアジアの国でありながら例外になった。)阿部首相のゴルフ外交は全く役に立たなかった。

少し状況が異なるのは欧州。欧州も懲罰関税の対象になっていたが、欧州全域の経済規模は米国のそれを凌駕する。すなわちEUが報復関税を導入すると、米国には痛い。米国を代表するトップ5の企業、Apple, Amazon, Google, Facebook, Netflixは欧州で大金を稼いでいるが、「現地法人がない。」という法律の抜け穴を利用して、ほとんど税金を払っていない。そこで欧州委員会は今、「現地法人がある国ではなく、売り上げがある国で税金を払う。」という法改正を大急ぎで準備中だ。これが欧州議会で可決されれば、このトップ5の大企業への負担は飛躍的に上昇する。

さらには欧州委員会はトランプ大統領が懲罰関税で脅した半年前から、報復関税の準備を進めてきた。報復関税の対象は共和党の地盤を狙って、ジーンズ、ハーレイダビッドソン、ウイスキー等だ。米国がEUに対して懲罰関税をかけると、欧州にはその報復措置の準備が出来ていた。これが日本との運命の別れ目になった。報復関税で脅す一方で米国の通産大臣と交渉、懲罰関税が導入される予定の3月23日になって、「懲罰関税の適用からEUを外す。」という合意をとりつけた。もしEUが存在しておらず、ドイツだけで米国と対峙していたなら、間違いなく日本同様にドイツにも懲罰関税が課されていた。もっともEUへの例外措置は、「当初は例外とする。」というもの。将来、本当の関税戦争に発展する恐れがある。そうならないように欧州政府の代表は、「飴と鞭」で交渉に当たっている。

EUが米国の懲罰関税対策を行なってきた一方で、日本政府はこれまで何をしていたのだろうか。政府のスキャンダルの防戦一方で、日本に死活的な外交がなげやりにされている。その証拠は懲罰関税導入後、日本の航空会社が米国のボーイング社に大量の航空機を注文したこと。そして日本は米国の高価な戦闘機の導入を検討している。何故、これを交渉材料に使わないのか。民間の航空機注文をエアバスに変更する、自衛隊の戦闘機をロシアの戦闘機にすべく(形の上で)ロシアと協議に入るなど、交渉の可能性は豊富にある。他にも対抗策はある。米国の長期的な戦略はアジア太平洋でその影響力維持、拡大することにある。これを逆手にとって、日本政府が中国政府に近寄ることもできる。日本が中国主導のアジアインフラ投資銀行に参加、中国と共同でアジア開発プロジェクトを進めることは、米国にとって大きな脅威になる。何しろ、世界第二と第三の経済大国なのだ。しかるにこのような対抗措置を放棄して、懲罰関税をそのまま受け入れていている日本の政策は理解し難い。

日本、あるいはEUが継続的に懲罰関税の例外となった場合でも、安心はできない。中国政府は国内の過大な生産能力を制限、製鉄の生産量を下げてきたが、未だに供給が需要を上回っている。懲罰関税が導入されると、米国市場向けの安価な中国製、インド製の製鉄、アルミが方向を変えて欧州や日本市場に向けて流れ込むことになる。EUではこれに対抗すべくすでに法整備に入っている。毎年夏になって発表する「バターの緊急輸入」のように、日本政府は毎回、後手になってからでないと政策を変更しようとしない。それも咽元の熱さが過ぎるまで。果たして日本は何か対抗策を取るのだろうか。それもとも頭を低くして、嵐が過ぎるのをじっと待つことになるのだろうか。

編集後記

米国は二度、欧州への懲罰関税導入期限を延期してきたが、5月31日、ついに期限が切れた。正式には今日から輸入される欧州産の鉄鋼、アルミニュムには懲罰関税が課される。まだ話し合いで解決路が見つかるのか、未だにはっきりしていない。仮に話し合いが決裂した場合、欧州は遅かれ早かれ、報復関税を導入することになる。日本のように何もしないとトランプ大統領に「腰抜け」と思われて、今後は好きなように日本を操ることができる。これを避けるために、EUが米国製品に報復関税をかけることは避けられない。

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執筆者:

nishi

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