ドイツの達人になる 詐欺、盗難

Nur Bares ist Wahres. (17.03.2018)

投稿日:2018年3月17日 更新日:

日本の骨董品屋は偽物の宝庫。室町時代の坪だとか、清朝時代の茶碗だとか、とにかく偽物が多い。不思議なのは偽物を売っても、日本の法律に触れないこと。日本では「騙す意思が証明できないと、詐欺にならない。」という世界でも稀な詐欺師に優しい法律がある。これが理由で日本は詐欺師の天国になっている。

同じことがドイツでできるかと思ったら、大間違い。騙す意思があろうが、なかろうが、偽物を本物と称して販売すると、これがナイキの靴でも罰金か、最高5年までの禁固刑。有名な絵画の偽物、公文書の偽造になるとさらに罪は重くなり、最低6ヶ月、最高10年までの禁固刑。組織犯罪、すなわち何処かの陶芸家に偽物の作成を依頼、これを本物として販売している場合は、10年までの禁固刑。そう、「偽物だとは知りませんでした。」という言い訳はドイツでは通用しない。品物を販売するなら、販売する側が本物であることを確認する義務がある。これを惰った、あるいは確認/査定を依頼したが、偽物と判断できなかった場合も同罪。売り手が偽物を製造させた場合は、詐欺となり時効は3年間まで。さらに偽物と知らずに本物と思って購入してしまった場合は、2年以内なら品物を返却できる。「個人間の売買なので、返品不可」という逃げは通用しない。

だからドイツで詐欺を働くのは難しい。かと言って詐欺がなくなるわけではない。ドイツの骨董品屋で掘り出し物を見つけてその由来を聞くと、「先月、持ち込まれた品で本物かどうかわからない。」と言われることが多い。偽物の危険もあるので、値段が安くなっている。そして店主が本物である保障はないと明言した場合は、詐欺の対称にならない。だから商品の売り方に注意しよう。「17世紀のフランス製アンテーク家具風」という売り方では詐欺になりません。詐欺となるのは、「17世紀のフランス製アンテーク家具」と明記している場合。本物だと称して販売されている場合は、その証拠にお品書きの写真を撮っておくか、店から本物の鑑定書を書かせておこう。これがあれば、あとで偽物とわかった場合には返却が可能になる。鑑定書も出さないような店では、掘り出し物ではなく、よく出来た偽物だと思ってください。

詐欺になる、詐欺にならないの微妙な違いを利用して詐欺を働いているのが、ドイツで有名なコイン詐欺。硬貨、それも金か銀であれば、収集家の好奇心をかきたてる。お決まりの宣伝文句は、「今買えばたったの49ユーロ。数年後には1200ユーロ(推定)。」冷静になって考えればそんなわけがないのだが、収集家には購入する理由のひとつになる。この詐欺の絶妙な手段は、お試しセット。安価な値段で数枚のコインを注文できるようになっている。さらには心配を取除くため、「気に入らない場合は、返品可能。」とも謳っている。これに安心して注文すると、硬貨と一緒にどっさりと書類が届く。コインを見ても書類を読む人は稀。この書類のどこかに、「返品は6日以内に限ります。返品なき場合は、コインの定期購入の契約が成立します。」と書かれている。そう、ドイツで有名な”Abo-Falle”(定期購読/購入詐欺)だ。

実際、返却、そして解約を逃す人がほとんどだ。こうして毎月、欲しくもないコインが届く。そのコインに刻印されているのはメルケル首相から、ドイツの大統領、米国の大統領など、有名人の顔。1年の定期購買額がほぼ1000ユーロ。購入したコインに価値があればいいのが、胴製の安物。金銀は塗装に使ってるだけ。市価数ユーロ。10年保管しても、価値があがるものではない。書類の重しにするだけの代物だ。Googleなどで”Münzen”(硬貨)という言葉を入れると、コイン詐欺サイトがたくさん表示される。貨幣鋳造局に見せかけるため、ドイツの刻印である鷲が載っている。鷲や国旗は自由に使用できるので、誤魔化されないようにしよう。

「硬貨は危ないので、地金、すなわち金の延べ棒にしよう!」と思った方、そうでもありません。地金詐欺が後を立たないのが実情です。偽物の宝庫はEbayで、ここで販売されている地金の多くは偽物です。中国製の偽の地金を輸入すると、本物と称して販売しています。ネットで金を買うと値段が異常に安いのに気づくべきなのだが、やはりここでも、「お得!」と思ってしまうらしい。もっともカナダで金細工師が装飾品のために王立カナダ銀行で王立銀行の刻印の入った地金を購入したが、これでも偽物だった。カナダの最大の銀行が偽物を掴ませられるのだから、個人投資家が騙されるのは無理もないかもしれない。ドイツ国内の金細工師によれば、毎月、店舗に偽物の金を売りにくる輩が後を絶たないそうだ。金細工店で働いている方は、注意されたし。仮に偽物をつかまされても、銀行で買ったものなら返却できるので、間違っても行商人から購入しないようにしよう。

もし金細工、金の装飾品を保有していて、これを売却して現金を手にしたい方も注意が必要です。ドイツでは建物の隙間の小さなスペースを借りると、”Gold an-und Verkauf”(金買います。売ります。)という看板を掲げている店が多い。ここに金細工を持ち込むと、「18金じゃない。品質が悪い。」などと苦情を言われて、金の時価価格さえも払ってもらえない。中には真面目な業者もいるかもしれないが、そんな業者に遇う確立は稀。悪徳業者の決まり文句は、「この価格は今だけ。明日はこの値段よりも安い価格になる。」というもの。こうしてプレッシャーをかけてくる。そんな店からはすぐに出て、宝石店を含めてできるだけ多くの店を回って真面目な業者を見つけよう。

ドイツでは、”Nur Bares ist Wahres.”「現金だけが本物」と言います。

 

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