生活情報_ドイツで働く

ドイツでアルバイト

アルバイトをする前に

ドイツでも学生アルバイトは盛んです。日本とドイツのアルバイトの大きな違いは、アルバイトで稼いだお金から所得税や健康保険料が引かれる点です。お給料明細をもらうと、これらの諸費用が差し引かれてぐっと安い額面になっていることに気が付きます。この為、アルバイトに募集する場合、グロス(税込み)ではなく、手取りが幾らになるか、ちゃんと確かめておきましょう。そうしないとお給料をもらってから、「約束していた額と違う!」、「あれは税込みの額面だよ。」という不必要な争いに発展しかねません。例外はお給料が450ユーロまでの”Mini-Job”の場合です。

アルバイトという日本語はドイツ語から由来していますが、外来語の例に漏れず、元の言語とは異なった意味に流用されています。すなわちドイツ語でアルバイトは、「仕事」という意味です。「アルバイトを探しています。」と言えば、「仕事を探しています。」という意味になります。日本語のアルバイトに相当するドイツ語は、”Mini-Job”です。(学生のアルバイトを”Studentenjob”と呼ぶこともありますが、これは学生が行う仕事を総称する口語であり、正式な法律用語ではありません。)このミニ ジョブは(被雇用者側の)、税金、及び健康保険の支払いから解放されています。ですからこの範疇でアルバイトをするのが賢明です。お金が欲しくて、残業などをして頑張って550ユーロ稼いでも、税金と社会保障費が引かれた結果、手取りは450ユーロを割ってしまうので、意味がありません。

学生アルバイトとして一番人気のあるのが、飲み屋(Kneipe)やレストランでの給仕のアルバイトです。 「一体、幾らもらえるの?」と興味津々な方に吉報。ドイツでは最低賃金が導入され、アルバイトでも8.84ユーロ/時間(2017年)が最低賃金となりました。時々、異常に自給の高いアルバイトがありますが、これはお金の工面に苦労している学生に犯罪の片棒を担がせるケースか、夜の怪しげな仕事だとか、いつも犯罪がらみです。おしいしい話には必ず落とし穴があります。「簡単な仕事で月々2000ユーロの収入!」などというお誘いに乗らないようにご注意あれ。注意して欲しいのは、レストランやお土産屋さんで働く場合。雇用側が契約で自給を明確にせず、「1ヶ月で450ユーロ」という雇用契約書を差し出して来ることがあります。最低賃金の導入後、450ユーロでは大体、50時間の就労時間に相当します。実際に働いてみると60時間だったりすることが多く、明確な法律違反です。

稀に現金にてお給料が払われるケースもあります。これは雇用主が税金や健康保険料(半分は雇用主、半分は被雇用者)の支払いを誤魔化す場合に好んで使われる方法です。お金をもらう方も、税金を引かれていない為、手取りが多く、嬉しくてこれを了承してしまう事が多いですが、これは脱税です。ドイツの官庁もこの手口はよく知っていますから、毎日、どこかの町で関税局(Zoll)の手入れがあります。飲食店や工事現場は違法就労が当たり前の世界なので、「みんなやってるから。」と雇い主に説得されないようにしましょう。いい事、悪いことを自分で判断できる大人ですから、検挙にあってから、「大丈夫って言われました。」という言い訳は通用しません。

関税局の手入れに大当たり、脱税がばれると、これまで納めていなかった税金や健康保険料の支払いに加えて、罰金まで一気に舞い込んできます。そして違法就労の罰金は、最高30万ユーロまでとかなり高額です。もっとも脱税を働いたのは雇用者なので、罰金は雇用者に課せられることが多いです。被雇用者の刑が重くなるのは、就労許可がないないのに働いて捕まったり、罪が一番重くなるのが滞在許可がないのに違法滞在をして違法就労していて捕まった場合。中国人、ベトナム人がこの容疑で捕まっていますが、身元を証明できない場合、逃亡を避けるため現場で身柄を拘束されて(手錠をかけられます)、留置所入り。その後、強制送還されています。そこまでひどくなくても、脱税で捕まると前科者になります。すると違法就労をした記録が外人局のコンピューターに残されてしまうので、滞在ビザの更新や、ドイツで就労ビザを取る際に大きな障害になります。

学生アルバイト

「景気がいい。」と言われているドイツでも未だに250万人近い失業者がいます。特に長期失業者の数が多く、社会問題になっています。そんな中で特別な能力を要求されない仕事(典型的な学生のアルバイト)に外国人を就労させてしまうと、肝心のドイツ人の職が奪われてしまいます。さらにアルバイトは税金や社会保費が支払われないので、税務署や地方自治体にはふやしたくない職種です。そんなわけで学生アルバイトにはいろんな条件があります。

まず法律面から言えば、学生のアルバイトは4時間労働の場合、1年180日まで認められています。長い春、夏休みなどに8時間労働を行なう場合は、1年につき90日まで認められています。
これらの労働時間は合算されますから、ゼミの期間中は4時間労働、ゼミがない期間は毎日8時間労働で180日、目一杯90日間労働という都合のよい計算方法はできません。労働時間を越えて働いていたり、即に言う『闇』で働いていたのが発覚すると、外人局に通報されてしまいます。ビザの面で大きなトラブルになるのは必死です。

「滅多にばれるもんじゃない。」と過信している方、危険はなにも関税局の手入ればかりではありません。ドイツでは社員を雇う場合、これが”Mini-Job”であろうとも”Genossenschaft”(職業組合)に加入して、社員の事故に備えて保険に加入する義務があります。通勤中の事故でも、社員が怪我をすればこの保険から保険が下ります。”Schwarzarbeit”(違法就労)では、この保険に加入していないので、仕事中に怪我をしても保険が効きません。仕事中に大怪我をしても、自費で治療費を払うことになります。学生の本業は学業ですから、アルバイトはほどほどにしておきましょう。

ワーキングホリデービザでアルバイト

ワーキングホリデービザで、日本語で言うアルバイト、ドイツ語でいう「ミニジョブ」の範囲で就労する場合は、問題がありません。問題があるのは、ワーキングホリデービザで正社員として就労する場合です。ドイツ政府発行のワーキングホリデービザは、「ミニジョブ」の範囲内で働くことを想定しています。正社員として1日8時間働く場合は、さまざまな支払いが舞い込んできます。

まず健康保険料。ワーキングホリデービザ習得の際に加入する保険は、ドイツ滞在中の病気、怪我をカバーするもので、仕事中の事故をカバーするものではありません。すなわちドイツで就職するなら、ドイツの国民皆保険に加入する義務があります。これをしていないと、がっつり請求書が届きます。月180~190ユーロもの高額な請求で、半年働いていれば1080ユーロ~1140ユーロ。さらに!ドイツで就労すると失業保険費、東ドイツ復興税、年金、その他もろもろの費用を払う義務があります。これを払ってないと、請求書が舞い込んできて目が点になります。

そんな目に遭わないように、ワーキングホリデービザで就労するなら、ミニジョブの範囲にとどめておきましょう。

やってみたい仕事が見つかったら、まずは応募です。面接に先立って履歴書など出す場合、日本の文房具屋で売ってある実に日本的な履歴書フォームは使わない方が懸命です。応募で一番大事なのは、第一印象が大事です。履歴書などはPCの前に座って、自分なりのオリジナリテイ-(いい意味で!)のある履歴書を作りましょう。

「履歴書に写真は要りますか。」とか、無粋な事を聞くようでは駄目です。一般常識で判断できる事を雇用者に聞くと、「この志願者は、自分で考えることをしない。」あるいは、「一般常識に欠けている。」と願書も送っていないのに評価が台無しになります。では何が一般常識なのか?「写真は必要なし。」と書かれていない限り、できるだけ写りのいい写真を選んで、なければ写真屋で撮影してもらって、履歴書に貼るのが一般常識です。寝癖のついた髪形、よれよれのTシャツの写真を履歴書に張るようでは、「この応募者はやる気がない!」と思われてしまいます。言うまでもなく、報償、賞与は面接の時点で聞くものです。まだ履歴書も送ってないのに、「幾らもらえますか。」と聞くような「常識」では、採用の見込みはありません。

日本の履歴書では、趣味など書く欄がありますが、ドイツではあまり重視されません。それよりも自分の技能、経歴、学歴についてわかりやすく、項目に分けて書きましょう。こうした要点がわかりやすく書かれているだけで、「書類を読む人の心理をよく理解している。」と、いい印象を与えます。又、アルバイト応募の詳細が日本語のみで書かれている場合は、日本語の履歴書が要求されている事を意味します。「ドイツ語の履歴書は要りますか。」などと聞かないで、自分で考えて、これにドイツ語の履歴書を添えたり、ドイツ語ができない場合は、英語の履歴書を添えましょう。
かってダイナマイトの発明でお金持ちになったノベルが秘書を探すために、新聞に三ヶ国語で求人広告を載せました。するとある女性は、そんなことは要求されていないのに、三ヶ国語で履歴書を作成して応募しました。この応募にいたく感心したノベルは彼女を採用したのは、あまりに有名な話。こうした努力は雇用者にとてもいい印象を与えるものです。

無事、書類審査に合格したら”Vorstellungsgespräch”(面接)です。「どんな服で行けばいいのですか。」と悩むかもしれませんが、答えは簡単。持っている服の中でできるだけフォーマルなものを。男性なら背広にネクタイ。学生でまだ背広がないなら、せめてアイロンをきかしたシャツ。自分の面接の番がやってきたら、相手の目を見据えて、「これでもか。」というくらい強く握手をしてください。握りが弱かったり、視線をそらすと、「何か隠し事があるので、まっすぐ目を見ることができない。」と思われます。面接では、シャキシャキと回答しましょう。「それはちょっと。」などという簡略した言葉使いは、”No Go”。わからないことを聞かれたら、「それについては勉強不足で、わかりません。」と、ちゃんと文章で回答すべし。すぐに答えが浮かばなかったり、質問の意味が飲み込めない場合は、質問の意味がわかるまで聞き返しましょう。こうした慎重な程度は、面接官にいい印象を与えます。これに成功すれば、「ストレスの下でも、ちゃんと仕事ができる。」と相手にいい印象を与えます。

ドイツで就職

「ドイツで働きたい!」と、ドイツ留学経験者なら、一度は思った事がある筈。しかし日本と違って、そうは簡単には行きません。法律面で言えば、EU外の外国人がドイツで就労するためには、就労ビザ(Arbeitserlaubnis) が必要です。そしてこの就労ビザは申請すれば、降りるような簡単な代物ではありません。というのも就労ビザを申請する前に、仕事を見つけてこなければなりません。その仕事もドイツ人でもできる仕事ではなく、「日本人じゃないとできない仕事。」である必要があります。

ドイツには250万近い失業者がいますから、仕事があれば外国人に就労ビザを発行するのではなく、ドイツ人失業者に優先して回そうとします。しかし日本人にしかできない仕事なら、ドイツ人を雇っても仕方ありませんから、ビザがもらえる可能性があるわけです。こうした日本人にしかできない仕事の典型が、日系企業での仕事です。
運良くこうした「日本人にしかできない仕事」を獲得したら、その会社に「この部署の仕事は日本人にしかできないので、この人物を雇わなければ仕事ができない。」という趣旨の手紙を一筆書いてもらいます(ドイツですから、当然、ドイツ語です)。この手紙と就労ビザの申請用紙をもって、労働局に出向くわけです(勿論、パスも持参)。ここで申請を受け取ってもらえれば、3~4週間後には返事がポストで届きます。

皆まで言えば、この労働許可証は労働許可証を申請した仕事先に就職している限り有効です。仕事先を解雇されたり、転職される場合は、あらたに労働許可証を申請する必要があり、それには再び日本人にしかできない仕事を見つけてくる必要があります。

ドイツで起業

ドイツで就労するのに制限があった通り、ドイツで自営業を営む場合は、さらに厳しい制限があります。詳細は、”Zuwanderungsgesetz 2004″に書かれていますが、これを読める人は居ません。そこで簡単に解説すると自営業ビザを取るには希望する仕事でお金を稼げて、税金を納める展望があることが条件です。
そこで外国人がドイツで自営業を営む場合は事業計画書を提出して、事業に将来性があるかどうか、その判断を仰ぐことになりなす。この計画書が審査に合格して、アパートの契約書や健康保険の証書を提出すれば、晴れてビザがおりて自営業者として活動することができます。

この申請に欠かせない健康保険ですが、外国人の自営業者はドイツの国民皆保険に加入できません。言うまでもなく、日本の海外旅行保険ではビザが取れません。そこでドイツ人が「お金持ち保険」という、”private Krankenversicherung”に加入する必要があるのですが、毎月400ユーロもの費用が必要になります。例外がこちらで紹介している留学保険です。保険会社により加入できる年数が4~5年と異なりますが、こちらの保険なら、少なくとも4~5年は保険費を安く済ませることができます。

芸術家、職人の自営業

自営業ビザといわず、フリーランスビザと横文字で言われる方もおられますが、どちらも同じものです。皆まで言えば、アーテイストビザも同じもの。「こっちの呼び名の方がカッコいい。」といろんな名前で呼ばれているので、別物のような錯覚を受けやすいですいが、これも自営業ビザです。
ドイツで職人として自営業ビザを取ろうとすると、さらに大きな制限があります。一番いい例が理髪師。ドイツにはマイスター制度があり、自分の店を開くには”Meisterbrief”(マイスター証)が必要です。ただし外国人の場合は例外があり、起業したい職種で長年の職業経験がある場合は、これが考慮されて営業許可が下りることもあります。

自営業ビザの中で一番取り易いビザが、芸術家として申請する自営業ビザ。個人的に、「取れませんでした。」という方を知らないので、「芸術家です。」と言えば、ビザが取れてしまう魔法の言葉。勿論、生活費をどこから捻出するのか、生活資金の証明、それに健康保険証が必要なのは言うまでもありません。でも芸術に事業計画書も必要ないし、職業経験を証明する必要もなく、「芸術家です。」と主張するだけ。
自営業ビザは一部の例外を除き、3年間の有効期限で発行されます。すなわち「ドイツにもうちょっと長く滞在してみたいな。」という方は、芸術家として自営業ビザを申請してみるのも、ひとつの方法です。ただし自営業ビザですから、どこかで被雇用者として就労するのは禁止されています。許可されているのは、芸術家としての活動です。

3年後、芸術家として自営業ビザを延長する場合、どれだけ収入があったか、税務署からの通知を提示する必要があります。正直な話、芸術家として生活できている人は稀で、両親からの仕送りでやりくりしている方がほとんど。それでもビザの延長が可能だったりすのが、ドイツ七不思議のひとつ。会社経営の自営業ビザだったら、絶対に無理。ドイツでは芸術家は、特別扱いになるようです。