しかしドイツでハンドボールよりももっと人気があるのが自転車競技。自転車競技といえば、tour de
franceが最初に思い浮かぶが、
特にイタリアでは大人気で、ドイツ、スイスでも似たような自転車レースがあり、時々、デユッセルドルフの田舎町でも
(観客なんか居ないのに)道路を封鎖して自転車レースを行っている。当然、市内は大渋滞。仕事で市内を車で移動
中にこれに当ると30〜40分立ち往生。トイレにも行けない。迷惑千万極まりない。
実はドイツでも自転車レースは、日本と同じくらい人気がなかった。ところが90年代にドイツ人がtour de franceで優勝した事をきっかけに、一気にブームに火がついた。tour de franceの季節になると、毎日、延々3時間も生中継、さらに同じ日に再放送が3時間、それでも足らず、夜になるとスポーツ番組でその日のトップイベントとして延々と取り上げられている。おかげでこれまでは名前さえ知られていなかった選手はスター扱い。ドイツの大企業と膨大な額の宣伝契約を結んで、コマーシャルに登場するようになる。自転車のレースで金持ちになる事がわかると、さらに自転車人気に拍車がかかり、スターを目指して自転車のレーサーになる若者が相次いでいる。
ところが、ドイツで自転車競技の人気が高まるに比例して、ドイツ選手が競技会で優勝する事が稀になっていく。歴史上、唯一のドイツ人として1997年にtour de franceに優勝して、自転車人気の発信源となったJan Ullrich氏は、その後も毎年tour de franceに参加、ドイツ人は二度目の勝利を期待してテレビの前に釘付け。しかし
、2度と勝利の栄光に輝く事はなく、最後にはewiger Zweiter(2番にしかなれない人)と呼ばれるようになる。
ちょうどその頃、スペインで医師が選手にドーピングを施したとして逮捕される。医師の診療所を捜査した警察が、ドーピング処理をした血液を多数発見するのだが、そのひとつにはJan Ullrichと書かれていた。Ullrich氏は関与を否定するも、ドーピングのイメージの払拭に必死だった自転車競技連盟は、Ullrich氏の2006年のtour de france参加を禁止してしまう。
ところが皮肉な事にtour de franceで優勝した米国の選手がドーピングテストでポジテイブになり、あとから優勝を取り消しされてしまう。この頃から、「自転車競技=ドーピング」というイメージができあがり、自転車レースの人気は下り坂。選手が宣伝に登場する事はほとんどなくなった。
その後、事件は相次ぐ。現役を引退した自転車のレーサーが次々と、現役時代にドーピングしていた事を告白。最後はtour de
france優勝経験のある選手までがドーピングしていた事を告白してしまう。これに続いてドイツのテレコムチームのトレーナーが暴露本を書き、チーム内ではドーピングは日常茶飯事であったと指摘。ドーピングはフライブルクの大学病院、スポーツ科のドクターが処方していたと細部まで暴露。フライブルクの大学病院、スポーツ科と言えば、ドイツのスポーツ選手の殿堂で、ここを訪れない一流選手はいない。そのドクターにドーピング疑惑がかけられたので、当然、(ドイツ人らし
く)「証拠がない。」として大学側は関与を否定。ところが、今度はドイツのテレコムチームの選手が記者会見を開いて、涙ながらにドーピングしていた事を認める。流石にここまで暴露されては、嘘をついても意味がない。フライブルク大学の医師は、選手にドーピングを施していた事を認め、即日、大学病院を首になる。大学病院の名前の失墜を恐れた病院長は、それだけでは足らず、
なんとスポーツ科を閉鎖してしまう。これで数百人ものドイツ人選手は、いきなりいきつけの病院(ドーピングしてくれる医師)がなくなってしまう事になった。
尚、これまでドーピングを取材してきた記者によると、「フライブルクのスポーツ科は欧州で一番優秀なドーピング機関(Dopingzentrum)で、かっての東ドイツの比ではない。」とまで言っている。面白い事にドーピングを証明する薬/処方箋を開発しているのは、ケルンにある体育大学であるから、これまでフライブルク大学病院 VS.ケルン体育大学という構図が出来上がっていた。
ところが、4月に公表されたInternational Association for the Study of Obesity (IASO) によると、
ドイツはヨーロッパで一番、肥満の割合及び肥満人口が多い事が発表された。(詳細はこちら)これでドイツ人肥満説はamtlich(公式に認められた事実)となり、もう言い訳ができなくなった。