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ドイツの達人になる(転ばぬ先の知恵)

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Wurst! (28.12.2008)

ドイツに興味のない人に「ドイツと言えば?」と聞いて連想する物は、車、ヒトラー、ソーセージ(順不同)の3つ。車とヒトラーはいずれ機会があれば別の場所で取り上げるとして、今回はドイツを代表する食べ物、ソーセージについて取り上げてみたいと思う。

ソーセージは英語(語源は古典フランス語のsaussiche)の表現だが、ご存知の通りドイツ語ではWurst、何故か女性名詞、"die Wurst"。日本は侍の時代が長く続いたので、「腹」に関した慣用句が多い。「腹を決める。」、「腹のうちが黒い。」、「背に腹は変えられない。」などなど、ドイツ人には理解できない慣用句がたくさんある。同じように、ドイツ語にはWurstを使った慣用句が非常に多い。例えば"Es geht um die Wurst."と言われても、日本人は意味がわからず「へっ?ソーセージですか?」と聞き返してしまうことだろう。しかしこれは、「一世一代の大事だ!」という真面目な意味になる。それほど Wurstは大事なものかと思いきや、"Das ist mir vollkommen Wurst."という表現があり、これは「そんな事はまったくどうでもいい。」という意味になるから不思議。このような慣用句を理解するには、その文化の中で育つ必要がある。これなくして成人してから接する異文化の表現というのは、その国の文化を端的に表していてとても面白い。

日本でソーセージの定番と言えば、日本ハムのシャウエッセン(荒挽き)だろう。ただ、名前の意味がよくわからない。エッセン(名詞なら食事という意味。)というからには、ドイツ語なのだろうが、シャウ(Schau)は展覧という意味なので、Schauessenでは意味を成さない。まあ、おいしいので名前はどうでもいい。ドイツに来る前、「日本(ハム)のソーセージがあんなに旨いのだから、本場、ドイツのソーセージはもっと旨いに違いない。」と密かに期待していたが、その期待は見事に裏切られた。てっきりドイツにはシャウエッセンのような皮がパリパリで中身はジューシーなソーセージがあるのかと勝手に思い込んでいたがこれは大きな誤りで、ドイツのソーセージは、日本のソーセージ(シャウエッセン)とは全く異なるものであった。

ドイツで最も一般的なソーセージはBratwurstと呼ばれるもの。一般には焼きソーセージと訳されるが、Bratはbraten(焼く)ではなく、Braet(ひき肉)からきている。これはドイツ人でも間違って理解している人がほとんど。ドイツ人でこの有様だから、日本人が「焼きソーセージ」と訳してもご愛嬌だろう。それに焼きソーセージの方が「ひき肉ソーセージ」よりも、語源は間違っていても、ぴったり合っている。この焼きソーセージは、ドイツ中、何処へ行っても街中のスタンドで売られており、パンにはさんでいただく。ちなみにこの焼きソーセージ、Tueringen産のソーセージを使うのが「本家」とされており、正式名称はTueringer Bratwurst(テューリンゲンの焼きソーセージ)と言いう。この名前を冠するには合挽きを使用しており、最低でも全長15cm必要との事。肝心の味は、外出先(クリスマスマーケットなど)で食べるとおいしいが、自宅でフライパンで焼いても何故かおいしくない。ちなみに、ドイツ人はこのソーセージにケチャップをかけて食べるのが大好き。ソーセージを一口サイズに切って、ケチャップをかけたものをCurrywurst(カレー風味のソーセージ)と言い、どこでも売られているが、カレーの味はしない。ケチャップにカレー粉を混ぜているので、この名前が付いただけ。欧州のカレー粉は風味がないので、ケチャップの味しかしない。ケチャップ好きな人には受けるかもしれないが、そうでない人は敢えて試す必要はない。
          
日本で一番知られているのは、日本人観光客の多い、ミュンヘンのWeiss-wurst(白いソーセージ)だろう。地元の人は皮(腸)を取って、中身だけ食べるのが正しいと主張、ご丁寧に皮の取り方を教えてくれる(そしてこれに難しているのを見て笑う。)が、面倒なら皮ごと食べても一向に差し支えない。が、バイエルン特産の蜂蜜を入れたマスタードは必需品。話は横道に逸れてしまうが、ドイツで売られているマスタードは、製造の段階で大量の酢を加えるので酸っぱいだけ、辛くない。不味い。是非、ドイツにソーセージを食べに来られる方(?)は、日本の粒マスタードを持参されることをお勧めします。(探せばあるもの。スーパーでフランス産マスタードと称して売られていました。)次に日本で有名なのはBlutwurst(血のソーセージ)だろう。豚の血に脂肪を混ぜて固めたもの。バリエーションとしてこれに肉(内臓、頭、舌)などを入れた肉入りもあるが、どっちにしてもあまりおいしくないので、お土産には向いていない。(どのみち肉類の持込は禁止されています。)似たようなものにLeberwurst(肝臓のソーセージ)がある。通常は、燻製にしていただく。これも日本人の口にはあまり合わない。又、むくれている人をドイツ語で"beleidigte Leberwurst"(侮辱された肝臓のソーセージ)と言う。意味の起源は不明。ご存知の方、教えてください。

勘違いしてしまいそうな名前のソーセージとしてBierwurst(ビールのソーセージ)がある。これは豚、牛、心臓を用いて作るバイエルン州特産のソーセージ。他のソーセージとの大きな違いは、すでに茹で上がった状態で売られているので、スライスして食べるだけ。ビールの「おつまみ」に合う(らしい)ので、この名前が付いた。ビールが製造過程で使われているわけではない。ドイツのソーセージで日本人の口に一番合うのは、Nuernberger Bratwurst(ニュルンベルクの焼きソーセージ)だろう。これは小指大の大きさのもので、荒挽き豚肉を使用しているので口に入れて噛むと、肉汁が口の中ではじけて美味。ただ、小さいので幾ら食べても足りない。結局いつも食べ過ぎて、脂で気持ち悪くなる。又、Krakauer(クラカウ産のソーセージ)もおいしい。名前の通り、今のポーランド(昔のシュレージエン地方)で生まれたソーセージだ。豚肉、牛肉を混ぜて作るのは他のソーセージと変わりないが、燻製しているのが特徴で、噛むと皮がパリ!と破けるのが快感。似たような感触を楽しめるのがWiener Wurst。名前の通り、ウイーン産のソーセージ。ドイツ人は愛国心を込めてFrankfurter(フランクフルト産)と呼ぶ。その訳は、フランクフルトに住んでいたドイツ人の肉屋がウイーンに移住して、そこで製造(発明)したWurstなので起源はドイツ(人)にあるという理屈だ。このソーセージはお湯に入れて暖かくするだけ。(皮が裂けないように暖めるのがコツ。)男の一人住まいには強い見方。ちなみにWiener Wurstのドイツ版はBockwurstと呼ばれており、製造方法はWienerと同じでただ太いだけ。発明したのはベルリンの一膳飯屋。ベルリン産のBockbier(ボックビール)のおつまみとして食されたので、この名前が付いた。

ここまで書いたので、最後に日本でほぼ100%勘違いされている名前の起源ついて。ハンバーグ、英語でHamburgerと言うので、ドイツで生まれたという説が日本では一般的。しかし、このHamburger、ドイツ語ではBulette、あるいはFrikadelleと呼ばれるので、ドイツで生まれた物でない。前者はフランス語のboulette、後者はイタリア語のFritatellaから派生しており、このドイツを代表するように思われた食べ物は、実は外国産のものである。「じゃ、どうしてHamburgerという名前なの?」と言う事になるが、アメリカのニューヨークにHamburgという街がある。ここで豚肉不足に困った肉屋が仕方なく(あるいは試しに)牛肉を代用品に使った(1885年)のがハンバーガーの名前の起源とされている。逆にいかにもアメリカ的な食べ物、Hot Dogは、ドイツ人移民がアメリカで売り始めたBratwurstだ。


ドイツ人の大好きなカレーソーセージ。



          





          
            


仮装行列。 (13.12.2008)

ドイツに留学すると、ドイツ人の「仮装行列」に出会うことができる。春先に見かける仮装行列は、カーニバルの一環の仮装行列だ。このカーニバル、日本語で謝肉祭と言うが、それでは何のことかわからない(と思う)。元々は、ゲルマン民族の冬を追い払うお祭りで、これにキリスト教の影響が加わり、最後には(ライン川河畔では)占領軍のフランス人を馬鹿にするという国粋主義的な要素が加わって、現在のカーニバルになっている。この為、地域によって呼び方(名前)、時期が異なる。南ドイツ、スイスではキリスト教の影響が強くFastnachtと呼ばれ、仮装行列は(確か)2月に行われている。主に冬を追い出すのが目的なので、できるだけ醜い仮装をするのが正しとされている。著者の住むデュッセルドルフ地域は国粋主義の影響が強く、カーニバル(Karneval、正確にはカ-ネヴァル)と呼ばれ、「馬鹿馬鹿しさ」にアクセントが置かれている。カーニバル参加者はNarren(日本語では)あるいはJecken(意味はNarrenと同じ。)と呼ばれ、主に中高年層のおじさん、おばさんがおかしな仮装で、奇声を発しながら、すっかり(ビールで)いい気分になって街を徘徊している。真面目一徹の日本人がこうしたドイツ人を見ると、「いい年をして、、。」という感想をいだいてしまうが、まあ、タイの水掛祭り同様、現地人の風習なので外国人がどうこう言う筋合いのものではないだろう。もっとも中にはちゃんと順応して、一緒に酒を飲んで奇声を上げている日本人も居る。余談ながら、この時期は(へべれけに酔ぱらっているので)、「男女交際」のチャンスでもある(そうだ)。

次にドイツ人の仮装行列を見るのは、Schuetzenvereinと呼ばれる団体が、楽器を演奏しながら道路を我が物顔で横断、交通渋滞を起こしている場面だろう。このSchuetzenverein、日本語に直すと「射撃同好会」みたいな意味になるのだが、ドイツだけ(スイスにもあるらしい。)に見られる現象(同好会)で、その起源は古く中世の頃にまで遡る。ご存知の通り、ドイツが統一されたのはビスマルクの時代で、それまでは諸侯乱立の一種の戦国時代だった。当時は常備軍などはなく、「いざ鎌倉!」になった際、すぐに戦闘に導入できる部隊が必要だった。そこで諸侯が有事の際に使用できるBogenschuetze(弓手)を育成する目的で、この同好会を設置、射撃(弓撃ち)の腕を競ったのが、この同好会の起源である。その後、ビスマルクの時代にドイツ(軍)は統一されたが、射撃同好会だけは何故かそのまま存続して、今日に至っている。この射撃同好会、ほとんどの村にあるので、その数は数千、数万とも言われている。どうしてドイツだけ(ドイツ人の居る場所だけ)このような風習が残っているのか、意見が分かれるところである。「ドイツ人は制服が好きだから。」とか、「ドイツ人は射撃をするのが好きだから。」とか、「酒を飲みたいだけでしょ?」とか、いろいろ原因が推測されているが、どれも正論のようで、その原因をひとつに限定するのは難しい。

この射撃同好会、年に1度、Schuetzenfest(射撃祭り)というものを行う。おそろいの制服を着て、楽器を叩きながら、道路を射撃場に向けて我が物顔を行進していくのである。当然、道路は大渋滞になる。射撃場に着くと、この同好会の本来の目的、射撃をするわけだが、これをVogelschiessen(鳥の打ち落とし)と言う。これは中世の時代に、標的になったのが鳥だったので、今の時代でも鳥を標的をして使用している。もっとも現代では本物の鳥ではなく、木製だ。この鳥(柱に打ち付けてある。)を標的に子供から大人まで同好会のメンバーが順番に射撃を行い、見事に打ち落としたメンバーはSchuetzenkoenig(射撃の王様)として、1年間クラブの長として君臨することになる。その後は居酒屋になだれ込み、前後の見境なく酒をあおる。中には行進と射撃を省いて、最後の部分だけ祝う同好会も在り、この射撃同好会は(同好会に属していない人から)酒飲み同好会とも呼ばれている。

余談だが、ドイツ人はやっぱり行進が大好きだ。第二次大戦中パリを占領していたドイツ軍は、毎日、パリ市内をパレード行進したと言われているし、リーフェンスタールの記録映画を見ても、ナチスの党大会では党員は延々と行進している。1933年にヒトラーが首相に任命された夜は、たいまつをかかげて首相官邸前をたいまつ行進していた。しかし今日では党大会や軍のパレードを(昔のように)街でやるわけにはいかない。この為、ドイツ人の行進衝動が、カーニバルや射撃同好会の形を取って現れているのだと思われる。
          


南ドイツの仮装と、


ライン河畔の(ちょっと痛い)仮装。仮装(服装)はフランス軍を模倣している点に注目(?)されたい。
          





          
        


東西詐欺比べ (05.12.2008)

ここでは主にドイツで人気のある詐欺を紹介しているので、「ドイツは詐欺師ばっかり。」と思われるかもしれないが、詐欺の本場はアジアだ。日本も含めてアジアでの詐欺の数、種類はドイツの詐欺の比ではない。そこで、たまには趣向を変えて(?)アジアと西欧の詐欺を比較してみたい。

まずアジアの詐欺のクラッシック(典型的なもの)としては、トランプ詐欺があげられる。(例えば)タイの王宮前やエンポリウムを一人でうろついていると、「失礼ですが、あなたは日本人ですか。」と英語で尋ねられる。否定する理由もないので、「そうですよ。」と言うと、「実は、今度妹が日本に留学するので、日本についていろいろ調べているのですが、協力してもらえませんか。」とか、似たような話で相談を持ちかけられる。しばらく他愛のない話をしていると、「お礼に食事に来て下さい。」と言われて、これを承諾するとタクシーでバンコクの迷路をぐるぐる回って、郊外のアパートに連れ込まれる。自宅には自称、(以前はカジノで働いていたという)父親が待っていて、見事なカード裁きを披露してくれる。

飯をいただいてしまうと、親父から、「実はこれから鴨がカードをやりに来るので、一儲けするのを手伝ってもらえないだろうか。」と頼みごとをされる。「ただ飯をもらったし、お礼をしないと悪いかなあ。」と思う律儀な日本人の心理を利用した見事な作戦だ。そのうち、鴨が到着する。最初の数分間で数千ドルの金を失った鴨は、一回ですべての損失を取り戻す為に、最後の大勝負を挑む。すると、ここで親父はカードを細工して、鴨に勝たしてしまう。あるいは、鴨が大負けして「手元に現金はないかから、金は口座に振り込む。」と言ってその場を立ち去る。前者の場合は、すでに詐欺が成立して、親父の監視の下、銀行に連行されてクレジットカードから有り金すべて引き下ろされる。後者の場合は、「勝った金を引き下ろすのに、お金が必要だ。お金を引き下ろしたら、儲けを半分上げるから、今持っている金を貸してくれ。」という話になる。数千ドル、特には数万ドルが手に入るとなれば、もう頭は幸せ指数100で、まともな思考ができる状態ではなくなってる。そこで財布からありったけのお金を、所持金がないときは銀行に行ってATMから金を下ろして、親父に渡してしまうのだ。

その後、「明日にはお金を渡せるから、明日、ここで会おう。」と言われて、銀行前で別れることになる。勿論、その後、日本に留学するという妹、その姉、その親父に会うことは二度とない。又、観光客なので、一体何処へ連れられて行ったのかわからないから、警察に行って被害届けを出しても、詐欺師の住所、名前(どうせ偽名です。)などがわからないので、泣き寝入りになる。このトランプ詐欺は、アジア各地で(欧州でもあるらしい。)毎日被害者が出ており、この記事を読んでいる瞬間にも鴨になっている日本人観光客が要るほど、クラッシックな手法だ。

面白い事に、ドイツでも似たような詐欺がある。駅などで電車を待っているとドイツ人が寄ってきて、「荷物と財布を盗まれてしまって、家に買える金がない。家に着いたらお金を返すから、自宅までの電車代金を貸してもらえないだろうか。」と相談されて、しわくちゃに折り込まれた警察の盗難届けを証拠として提示される。これは大抵、麻薬中毒か浮浪者が使用する小銭を稼ぐ方法なので、トランプ詐欺ほど被害は大きくない。又、身なりがだらしないので、簡単にうさんくさいのがわかる。もっともデュッセルドルフには、この手で小銭を稼ぐ日本人が居た。(今でも居るかもしれない。)騙された本人は、皆から「それは詐欺よ。」と言われても、「ちゃんとお金が帰って来ると信じています。」と言い切るほど見事な演技ぶりだった(らしい)。

次にアジアで派手に活躍しているのがナイジェリア コネクションと呼ばれる詐欺団で、別名ブラック マネー詐欺団とも呼ばれている。詐欺の方法は、いつも同じでナイジェリアから大金を持ち出してきたという話から始まる。お金が盗まれないように、特赦な溶液で外見を変えており、これを使用できる元のお札にもどすのに、溶液を買う、あるいはこれを作るお金が必要だという。この費用を援助してくれたら、数万ドル報酬を払ってもいいという御伽噺。興味を見せると、この実演に郊外の「隠れ家」に連れて行かれ、実演を見せてもらえる。まずは黒山ような量の札束の中から、特赦溶液で変色した真っ黒いお札を1枚渡される。どうみても、触っても、本物のお札とは見えない。ところがこれに溶液をかけると間の前で100ドル札に変身するのだ。最初は信じていなくても、目の前で実演されてしまうと疑いが吹っ飛ぶケースがほとんど。おまけに、「この100ドル札を信用している証拠として貸すので、銀行で本物かどうか、確かめてきてもらいたい。」と言われる。早速、銀行でこのお金を換金すると、全く問題がない。「あの札束の量からすると、億単位の金だ。」と、大儲けに目がくらんでATMからありったけのお金を降ろして詐欺団へお金を渡してしまう。この実演の際に使ったお札だけが本物で、実演の前にすり替えた事は言うまでもないが、この詐欺にひっかかる人は数しれず。

このナイジェリア コネクション、実はドイツにもあります。ある日、自宅の郵便受けに、「大富豪の○○さんが死去。あなたが相続人として指定されています。ついては、○○法律事務所まで身分証明書を持参していただきたい。」という内容。この手紙をもらった本人は、親族にそんな大富豪はおらず、夢の中でさえこの大富豪に会ったことがないにも拘わらず、指定された街までのこのこと出かけて行く。(通常、隣国。)少し疑っていた人でも、これまでテレビでしか見たことがない高級ストレッチリムジンが空港(ホテル)まで出迎えに来ると、疑いは吹っ飛んでしまう。弁護士事務所では、これまで聞いた事がないような額面が遺産額として伝えられる。しかし、問題があると言う。遺産の相続人を探すのに2〜3年かかったので、遺産を置いている口座の保持料金が不足してしまっているというのだ。これがないと、お金を引き降ろせないと言われるとこの幸せ者の相続人は、ドイツの親族に電話して弁護士の言う口座に数千ユーロ、時には数万ユーロも送金してしまう。億の金が手に入るのに、わずか数十万、数百万の金をけちる必要はないと言うわけだ。お金を送金して2〜3日経っても弁護士から連絡がないので、事務所に出かけていくと、オフィスはもぬけの殻という具合。

規模(被害)はそれほど大きくなくても、休暇先の高級ホテルが信じられないくらい安く泊まれるとか、車が半額の値段で買えるとか、高級カメラが自称、在庫処分の為、安価で買えるとか、とにかく詐欺の分野は限りがない。しかし詐欺の手段はいつも同じで、何もしていないのに大金が手に入る話か、欲しいものが安く買えるという話のどちらか。そんな話を聞いて、すぐに宙に浮かないで、まずは、周りの友人に意見を聞いてください。他人の身の上に起こった話は、客観的に判断できるのものです。


アジアは、


詐欺の、
          

立派な、


宝庫です。
          
        


ドイツ携帯電話事情 (12.11.2008)

詐欺を働く人の創造性は、その良し悪しは別にして、素晴らしいものがあると思う。何度、ここで新たな詐欺の方法を紹介しても、終わることが無い。健全な方向でその創造性を生かせれば、詐欺なんかしなくても、特許(パテント)で十分なお金が稼げるのではないかと思う。もっとも、健全な方向では創造性が働かないものらしい。そこで、また新た手の携帯電話を利用した詐欺が登場したので、ドイツの一般的な携帯電話事情も付け加えて紹介してみます。これから携帯電話を購入される方はご参考に。

まずドイツで最初の携帯電話を買う場合、プロバイダー(自社の電話線網を持っていないので、他社の電話線網を借りて運営している電話会社)か、Netz-betreiberと呼ばれる自社の電話線網を持っている電話会社が、販売促進の目的で補助金を出している携帯電話(Handy mit Vertrag)を「安く」買うか、それとも補助金が出ていない携帯電話(Handy ohne Vertrag)を買うかの選択に迫られる。多くの人は前者のケースを選ぶだろうが、"Wer billig kauft, zahlt teuer."(安く買う者は、高く払う。)と賢いドイツ人が言っているように、安く買うと、結局は高くつく事が少なくない。この一件安く見える携帯電話は、ほぼ例外なく2年間の契約がついているので、ドイツに1年留学して日本に帰国した後も、残り1年間基本料金を納めることになる。これを避けたい人は(避けたい人がほとんどだろうが)、契約のついていない携帯電話(ohne Vertrags-bindung)か、契約付きの携帯電話でもプリペイド式の電話を買おう。プリペイド式なら、例え数ヶ月で帰国しても、無くなるのはすでに購入したクレジットだけだ。

弊社のお客様から時々寄せられるお問い合わせに、「(例えば)フランスで買った携帯電話を持参して、ドイツでSIMカードを買えば、この携帯電話は使えますか。」というもの。こうした質問は、部外者には状況が見えないので非常に回答しにくいのだが、通常は使えないという回答になってしまう。何故なら補助金(契約)によって安くなった携帯電話を購入されると、プリベイド式であっても上述の通り、2年間の契約(制約)が付いている為。わかりやすく説明してみよう。電話会社にとって、「補助金を出して電話を安く購入できるようにしたのに、1年やそこらでSIMカードを交換されて他のプロバイダーに移られては投資した金が回収できない。」という事になる。だから、携帯電話にロックをかけていて、他社のSIMカードを入れても、これが作動しないようにしている。だから、(例えば)フランスで購入された携帯電話をすでに2年間使用していれば、ロックを解除してこれをドイツで使用する事は可能だ。しかし、そんなケースは滅多にないだろう。

又、携帯電話のロックは、携帯電話購入時に契約された電話会社が行っているので、ロックを解除するには、その電話会社に連絡を取ってください。しかし、すでに引越ししていたりして、所持している携帯電話の購入時のデータが手元になかったり、電話会社から(返事を出してもお金が儲かるわけでもないので)ロック解除の返事が来ない事もある。そんな時は休暇に出かけるときに携帯電話をカバンに入れ、タイの電気屋に行くとこのロックを専用のソフトで「あっ!」という間に解除してくれる。もっともわざわざロックの解除でタイまで行く人は居ないだろうから、そんな場合は街角にある個人経営のうさんくさい携帯電話屋(こうした個人経営の店は、競争が激しく儲けがほとんどない。)に行って、こっそり相談すると(少々の手数料を取られるが)、ロックを解除してくれるかもしれない。

次に電話会社についてざっと紹介してみたい。自社の電話線網を持っている会社はEplus, Vodafone, T-Mobile, O2の4社に限られる。最後に挙げた会社は、以前はT-Mobileの回線使用料の高さに抗議して、2007年から自社の電話線網を構築している。最近はかなり通話状態がよくなったらしいが、2007年は街中でも電波が入って来ないケースが多かった。携帯電話のプロバイダーの数は多いので、こちらのページを参照してください。もしロックが解除された、あるいは契約なしの携帯電話をお持ちの場合、契約する電話会社(SIMカード)を選ぶ事になりますが、どういうわけか自社の電話線網を持っている会社よりも、これをレンタルして営業いるプロバイダーの方が料金が安い。多分に人材費を削って、最小限度のマンパワーで営業している結果だろう。だから、困ったときのサービスは全く期待できないが、「安けりゃいいのよ。」という方には、お勧め。ちなみにSimyoはEplusの、CongstarはT-Mobileの子会社だ。

最後に、最新の詐欺について。手口はこれまでと同じで、「私を覚えていますか。」あるいは似たような内容(見出し)のSMSが届くことから始まる。日本人にドイツ語で"Vermisse Dich!"というSMSが届いても、まず辞書を開く事から始まる事も多いので、効果は薄いかもしれないが、10代〜60代のドイツ人にこのSMSを送ると、好奇心が勝ってこのSMSを読む。このSMSにはウイルスが隠されていて、SMSを読むことによって、あるいはこのSMSに返信することにより、悪質なプログラムがインストールされる。このプログラムの使命はただひとつ。大抵は犯人自身が経営するテレフォンセックスに電話をかけまくること。月末に電話会社から請求書が届くと、請求額は4桁になっている。幸い、このテレフォンセックスの犠牲者になったドイツ人が、テレフォンセックスをしている時間帯に友達と一杯ひっかけていたことを、飲み仲間の証言で、証明できた。もっとも電話会社は、「本人が使用していなくても、料金は払ってもらいます。」と言い張って1cmも譲らなかったが。これに不服なドイツ人が裁判所に訴えて、勝訴した。判決にて裁判官は「怪しいとわかりながらも、一向に処置を取らず、一緒に大儲けをしている電話会社に責任あり。電話料金を支払う義務は無い。」と明確に判決理由を述べたので、今後、同じような被害にあっっても、この判例を挙げるだけでよくなった。とは言っても、そんな被害に遭わないにこした事はない。恋人探し中であろうともなかろうとも、差出人不明のSMSはすぐに消してしまおう。又、最初からこんな被害に遭わないように(遭っても被害が少ない)、プリペイド式の携帯電話をお勧めします。


 


携帯電話は危険が一杯。


        


Winterreifen (31.10.2008)

今回は、毎年この時期になると決まって話題になるテーマ、Winterreifen(直訳すると冬タイヤ、日本ではスノータイヤと呼ばれている。)について。言うまでもなく、ドイツの冬は寒いし、雪も降る。温暖化の影響で街中に雪が積もることは滅多になくなったが、高速道路などは人気のない山を越えていくので、標高が高く、雪が降りやすい。そんな道路を通常のタイヤ(Sommerreifen/夏タイヤ)で走行すると、間違いなく衝突事故を起こす。それも数台の車を巻き込んで。そこでドイツ政府は思い腰をやっとあげて、雪が振っている状況での冬タイヤの装着を義務付ける事にした。ところが、ドイツらしいことにあちこちの利害団体から政治家に陳情(賄賂)があり、わかりにくい法律ができあがってしまった。この為、ドイツ人でさえも間違ってこの法律を解釈している始末だ。そんな具合だから、我々外国人が、ドイツ人同僚などからこの法律について間違った解釈を受け、これを信じてしまっているケースがとても多い。そこで、ここは誤解のないように事実関係をはっきりとさせてみたい。

夏タイヤの「神話」には2つある。最初の誤解は、「気温が8度を割ると夏タイヤのゴムが硬くなり、ブレーキをした際、制動距離が長くなる。」というものだ。雨が降っていたり、あるいは雪が積もっておれば、夏タイヤでは冬タイヤに比べて制動距離が長くなる。しかし、道路が乾いている限り、夏タイヤの方が制動距離は短くて済む。冬タイヤが効果を発揮するのは、雪が降っているか、道路が濡れている時だけ。日本語のスノータイヤという言葉は、ドイツ語の冬タイヤという言葉より、その効果の程を的確に表現している。この神話は冬タイヤを売りたいタイヤ業界が考え出して、市民に幅広く受け入れられた神話のひとつである。

二番目の誤解は、「冬(11月から)になると、冬タイヤの装着は義務である。」というもの。ドイツの交通法規(Strassenverkehrs-ordnung、略してStVO)の2部、3章aには、"Bei Kraftfahrzeugen ist die Ausruestung an die Wetterverhaeltnisse anzupassen."(自動車には気候に適した装備を行うべし。)としか書かれていない。わかりやすく説明すれば、「雪が降っていたり、積もっていれば、冬タイヤの装着は義務。」という事になるが、多くのドイツ人はそう解釈しないで、寛容の精神で「冬季の冬タイヤの装着は義務。」とやってしまった。もっともこれには他の原因もある。

2006年にこの法律が施行されると、車のタイヤメーカーと車の整備工場は笑いが止まらなかった。これで冬タイヤの爆発的な売り上げが期待できる。在庫切れで儲けのチャンスを逃さないようにあらかじめ大量のタイヤを注文(生産)、客が怒涛のように押し寄せてくるのを待っていた。ところが温暖化の影響で雪が降らず、客足は一向に伸びなかった。多くのドイツ人は高い冬タイヤの費用(タイヤだけでなく、冬タイヤ用のホイールも必要になる。)を節約、少々雪が降っても夏タイヤで走行、「俺はシューマッハ並みの腕があるから、そんな物は要らない。」と言い出す始末。これでは大儲けどころか、在庫がはけず大赤字になる。これを避ける為に、タイヤメーカーと修理工場は一眼になって「冬タイヤの装着が義務化されました。これに違反すると罰金です。」とテレビ、ラジオ、新聞で大宣伝。「テレビで言っているくらいだから、これは本当に違いない。」と多くのドイツ人は思い込んで、冬タイヤを購入、タイヤメーカーと修理工場は在庫を失くすことに成功した。その結果、ドイツ人の頭の中には、「冬には冬タイヤの装着は義務。」と刻み込まれてしまったのである。

実際面から言うと、デッセルドルフに住んでいると通勤に車を使わない限り、冬タイヤは要らない。年2回(いつも決まって冬も終わりの2月〜3月になって。)雪が降って、2〜3時間道路に雪が積もることもあるが、雪が降るとすぐに市の塩撒き自動車が登場、塩をまくので雪はすぐに解けてしまう。車で出かける際に雪が降っていれば、その日は車は車庫に置いて、電車かタクシーで出かけるだけで、高い冬タイヤの費用が節約できる。車で通勤されたり、あるいはデッセルドルフ近郊WuppertalやSolingenに住んでいると、冬タイヤは避けて通れない。ただ、一言に冬タイヤと言っても大きな違いがあるので、幾つか注意すべき点を挙げてみます。

まず、冬タイヤを買うことに決心したら、安い中国、韓国製のタイヤは避けよう。日本では「安物買いの銭失い。」という表現がある。ドイツでも"Wer billig kauft, kauft zwei Mal."(安物を買うものは、買い直す事になる。)という通り、安いタイヤは、ドイツ製のタイヤ、コンチネンタル、日本の資本が入っているダンロップ、おフランスのミヒェリンに比べて、制動距離が長が過ぎてあまり意味がない。また「本物の」冬タイヤはM+Sと表記されている。これは泥+雪に対して有効という意味。偽物の冬タイヤにはこのM+Sのシンボルが欠けている。そんな冬タイヤはデイスカウントスーパーなどで大特価で買う事ができるが、役に立たず、お金だけ失うだけ。ただ有名メーカー製のタイヤでも、買う前にタイヤの製造年月日を確認しよう。冬タイヤの寿命は(ゴムが硬くなるので)4〜5年。(勿論、走行距離次第です。)10〜11月に冬タイヤを購入、あるいは注文すると間違いなく去年の在庫だ。すると、それだけで寿命が1年短くなるが、これは仕方ない。でも2年前の古タイヤを掴まされないように注意しよう。ちなみに12月以降にタイヤを買うと、在庫が売り切れてその年に製造されたタイヤを買うことができるようだ。

最後に、「どこで買うか。」ということになりますが、快適にタイヤ交換を済ませたい人は、お持ちの車の正規代理店に行くのが一番。いつ行っても在庫がある(筈)。又、タイヤへの交換には冬タイヤ専用のホイールが必要になるが、その際ホイールの大きさ、幅の他、」ET(Einpresstiefe)にも注意する必要がある。いい加減な修理工場だとこれを無視して、あるいは間違えてしまうこともある。正規代理店なら、そんなこともなくて安心。だが、少々高い。少しでもお金を節約したいなら、インターネットでタイヤを注文して、近くの修理工場に届けてもらう方法。どちらの方法が自分にあっているか、それは懐具合とドイツ語能力次第。

そうそう、冬タイヤと夏タイヤだけでなく、1年中使用できるAllwetterreifenというタイヤもあります。これは冬タイヤと夏タイヤの中間。つまり冬(夏)には冬(夏)タイヤほど効果はないが、夏(冬)タイヤよりはマシという代物。特にお金を節約したい人には、このタイヤを購入する人が多いが、肝心な場面であまり役に立たない(制動距離が長くなる)ので買わないほうがいい。又、雪の中を(冬タイヤで)走行したら、車は塩漬けの状態。そのままにしておくと、錆びます。翌日は車の洗車に行ってUnterbodenwaesche(車の裏洗浄)のメニューを追加しよう。

編集後記
冬タイヤに関する法律は2010年に改正され、積雪、降雪、凍結時は冬タイヤが義務化されました。これについては、あらためて別の記事で取り上げます。


雪が降ると高速道路では100%事故が起きます。下手をすると道路が明け方まで封鎖になるので、雪が降っているときは、車あるいは高速道路は避けたほうが賢明。



        


目指せポイント獲得! (23.08.2008)

日本のガソリンスタンドでは、ガソリンを入れるとポイントカードにスタンプを押してもらえる。スタンプが一杯になっても大した「粗品」が期待できるわけではないのだが、それでも「ただでもらえる。」となるとつい、スタンプを集めているスタンドに向かってしまう。顧客を獲得するうまい方法だ。

著者がドイツに来た当時、ドイツらしい事にこうした顧客獲得の手段はまだ存在していなかった。21世紀になってドイツでもやっとポイントシステムが導入され始め、お金を節約するのが大好きなドイツ人に人気を博した。すると、当然真似をする輩が出てくる。その結果、当初はいろんなシステムが誕生して顧客獲得を争ったが、現時点ではPaybackというシステムにほぼ統一された。このシステムはドイツに滞在している日本人の間でも人気のようで、得点の商品への変換方法など、あちこちで話題が交換されている。

しかしこのポイントシステム、そういい事ばかりではない。冷静になって考えてみよう。一体だれが、何の為に(景品の)お金を支払うのだろう。人に景品を配るだけでは商売にはならない。商売である限り、お金を儲けなければならない。それも効率よく。なら景品を配って、どうやって商売(金儲け)しているのだろう。こう考えると、答えが見てくる。ポイントを獲得したい客は、お買い物の度にカードを出して得点を登録するが、これにより消費者の購買習慣が一目瞭然になる。通常、消費者の購買習慣は、こうした調査を行っている機関にお金を払って調査を頼むのものだが、データは主にアンケートによって集めるので、時間がかかり、又、不正確でもある。しかし、Paybackからデータを買えば、正確なデータがすぐに入手できる。あとは簡単。例えば、PCのゲームを購入する人には、メールや郵便で、PCゲームの宣伝を送る。こうして、売り上げを確実に上昇させることができる。このように会員のデータを販売することにより、Paybackは景品を配る以上の利益を上げている。

中には、「興味のある品物の宣伝が届いて、景品までもらえていい事ばかりではないか!」と、思われる方もおられるだろう。そんな方には、Paybackはお勧めかもしれない。しかし、中には登録の際に銀行口座を書き込む事が要求される場合がある。例えば、SKL(宝くじ)。ちょうどこのSKLの会員の口座から、お金(いつも決まって70ユーロ)が無断で引き卸される事件が相次いだ。警察が調べてみると、手口はいつも同じで自宅に「絶対当たる宝くじの案内」と称して電話がかかってくる。「そんな物は要りません。」とちゃんと断ったにも関わらず、数日後、ちゃっかりお金が引き下ろされているのである。

これはSKLで働いていた社員が、仕事中に顧客のデータをCDにコピー、詐欺団に売りつけて小銭を稼いだのが事の始まりだ。しかしこうした詐欺は何もSKLだけに限られた問題ではない。その後の調査では、ドイツ最大手の電話会社ドイツ テレコムの顧客のデータが、インターネットで売られている事が判明した。言うまでもなく、テレコムの社員がデータをコピー、小遣いを稼ぐためにデータを販売していたのである。これはドイツ人労働者のモラルの低さが原因だ。上は会社の取締役から、下は下っ端の従業員まで、自分の地位を利用して少しでも自分の懐を厚くする事しか考えていない。取締役は取締役会、つまり自分で自分の給与を20〜30%も昇給できるが、下っ端はそうはいかない。だから、会社の顧客のデータを盗んで、インターネットで販売している。

また、この詐欺には、ドイツの銀行システムの弱点も見事に利用されている。ドイツでは第三者が勝手に銀行口座からお金を引き下ろすことができる。それには銀行口座の番号と、口座保有者の名前が必要だが、これは上述の会員システムから買う事ができる。あとは銀行に行って、「この人が、〇〇を購入して、費用の銀行引き落としを希望している。」と言い張って、自分で記入した書面を提出するだけでいい。すると銀行は、この詐欺者の言う通り、会員の口座からお金を引き下ろして、詐欺者の指定する口座に入金してしまうのだ。ドイツの銀行では、口座保持者がこの引き下ろしに承諾したサイン入りの契約書の提示を求めないので、詐欺師にとっては理想的な環境となっている。
          
こうした詐欺に遭いたくなければ、できるだけ自分のデータを他人に渡さないようにしよう。何処かで「会員になると、粗品を無料進呈!」なんて「うまい話」があれば、これはあきらかにデータの取得を目標としているものだから、粗品目当てに大事な個人のデータを明け渡すべきではない。もらえる品が、高価な品であるほど、詐欺に遭う確立は高いので、「こんな商品が無料でもらえるなら、喜んでアンケートに記入します!」なんて考えは危険だ。またドイツテレコムなどの電話代の支払いでは、自動引き落としではなく、請求書を送ってもらう方法を取ろう。個人のデータを知っている人、会社は少ないほど、詐欺にかかる確率は少ないからだ。それでも口座の明細に怪しげなお金の引き下ろしがあったら、即時に銀行に行ってお金の振り戻しを要求しよう。口座保持者のサインがないのに不法にお金が引き下ろされた場合、6週間以内ならお金の振り戻しを要求できる(筈だ)。

編集後記
以前、3000ユーロ近いお金が見知らぬ人から口座に振り込まれたことがある。本来なら銀行に言って、「この入金は何かの間違いです。」と報告すべきかもしれないが、放っておくと3週間ほどすると勝手に引き下ろされていた。ドイツ人だったら、この勝手な引き降ろしに苦情を言っただろうが、そこまでがめつくしたくない。しかし中にはそれほど運が良くないケースもある。

あるドイツ人がオンラインで送金したのだが、口座番号を入力間違いしてしまった。オンライン送金では、名前などは確認されずに、口座番号と銀行番号だけで送金されてしまう。この為、送金エラーが出ないので、送金をしたドイツ人は間違いに気がつかなかった。間違いに気づいたのは1ヵ月後。急いで銀行に頼んでお金を取り返してもらう手配をしたが、運悪く、間違って送金されたのは生活保護者の口座。「天からの恵み」と、生活保護者はこの金で滅多にできない豪遊をしてしまった。この為、間違って送金された金を引き卸そうにも、その金はすでに使い尽くされた後。間違って送金をしたドイツ人は銀行と生活保護者を訴えたが、敗訴した。オンライン送金では、銀行は口座番号と受信人の名前が一致しているか確認する義務はないとの判決だった。又、生活保護者には、お金が間違って入金されたことに対して罪はなく、本来はこれを返すべきだが、返す金がない場合、送金者のミスが原因なので、「諦めるしか他に方法がない。」との事。オンラインで送金される場合は、受信人の名前はどうでもいいので、口座番号には得に注意しよう。


ドイツのポイントカード。ご使用は各人の責任にて。





  
Kaffeefahrt (15.08.2008)

今日はドイツで流行っている詐欺を紹介しよう。その名は、Kaffeefahrt。直訳すれば、「コーヒードライブ」。詐欺の方法は至って簡単、というか、どの詐欺でも手口は同じ。この詐欺も、「おめでとうございます!あなたは1万ユーロの懸賞金が当たりました!懸賞金は直接ご本人にしか渡せないので、〇月〇日に何処何処までお越しください。」という文句を書いた手紙が郵便受けに届く事から始まる。懸賞金に応募した事もないのに、こんな手紙を受け取って狂喜する人の思考回路を疑いたいが、どうも1万ユーロと読んだ途端、回線がショートするようだ。中には用心深い人も居て、「そんな馬鹿な話があるものか。」と思いながらも、1万ユーロの誘惑には抵抗しがたく、真面目に指定された場所に趣くのである。

言われた場所に到着すると、懸賞金に当たった幸運な人が百人近く集まっている。欲の皮が突っ張っていなければ、「全員に(応募したこともない)懸賞金を払うと、億単位の金が要る。これはおかしいぞ。」と思う筈だが、もう金に目がくらんで「これだけ懸賞金に当たった人が多いと、最初にお金をもらわないと、自分の番が来るまでにお金がなくなってしまうかもしれない。」と余計な心配をするようになる。そこにバスが到着する。懸賞金に当たった人はバスに乗車するように求められると、行き先も聞かないでバスに乗車するのだから懸賞金の効き目は抜群だ。

懸賞金に当たった幸運な人を乗せたバスは、しばらくすると郊外にあるレストランに着く。レストランで食事でも出るかと思いきや、そうではなく、隣接する会議用の建物に入るように指示される。そこには椅子がひきつめられており、「参加者」が椅子に座ると、司会者が壇上にがあがってマシンガンのような勢いで、猛烈なセールス(洗脳)を開始する。マットレスから、コーヒーメーカー、スリッパ、(何の効果もない)健康器具、台所用品など、誰も必要としないガラクタを、「このマットレスはNASAで開発された特殊な素材を用いて製造された健康マットレスです。不眠症、腰痛、イビキ、おねしょ、偏頭痛まで治ります!」と、市価のマットレスの4〜5倍の値段を今日だけの特価と称して売り込む。すると洗脳にかかって、欲しくもないマットレスを買う人が続出。このセールスは4〜5時間も続き、合間に(安物の)ケーキとコーヒーが出るので、この名が付いた。

結局、懸賞金をもらえるどころか、ひどいケースでは数千ユーロも出費してしまう。この詐欺はかなり有名なのだが、詐欺に引っかかる人が後を絶たない。被害者の多くはお年寄り。ひどいケースでは1回騙されただけでは済まず、懸賞金が当たる度にKaffeefahrtに参加、年金の大半をこれに費やしてしまうケースもあり、社会問題にもなっている。

しかし、このKaffeefahrtは詐欺団の一方的な勝利で終わるばかりとは限らない。この懸賞金の知らせを受け取った初老の女性が、このKaffeefahrtに参加した。いつものように郊外の会議室に連れて行かれたが、セールスばかりで一向に懸賞金が渡されない。不思議に思って、「いつ10万ユーロはもらえるの?」と聞くと、「応募もしていないのに、当たるわけないでしょう。」と笑い者にされて、この女性は初めて騙されたことに気づいた。普段なら、それで終わってしまうのだが、今回はちょっと違っていた。この初老の女性の旦那が弁護士だったのである。

旦那は10万ユーロの懸賞金の即時支払いを求めて、このKaffeefahrtのオーガナイザーを地方裁判所に訴えた。訴えられた側(詐欺者)は、「応募してもいないのに、懸賞金が当たる事があり得ないのは、子供でもわかること。そんな話を信じる方が悪い。」と弁護。ところが地方裁判所は、「応募した、しないに関わらず、懸賞金を約束したからには、払わなければならない。」と判決。この一件は、上告されて高等裁判所まで行ったが、結局は原告の勝ち。この初老の女性は、まんまと10万ユーとその利子まで受け取ることができたのである。流石、ドイツ。

「それじゃ、私も10万ユーロ稼ぎたい!」と思われる方がおられると困るので、少し注意事項を。こうした詐欺の責任者は100%外国に籍を置いている。だから裁判をするには、この外国にある会社を訴える必要があるのだが、通常、この会社は郵便受けだけの会社。だから訴えようにも、相手の名前、氏名、住所がわからない場合が多い。上記のケースでは、このKaffeefahrtの責任者(会社の持ち主)を訴えたのではなく、主催者を訴えたにもかかわらず、裁判所はこの主催者に懸賞金の支払いを命じた珍しいケースだ。他の裁判所では、会社の所有者を訴える必要があると判断される可能性があるので、真似をするのはお勧めできない。10万ユーロは、そう簡単に当たったり、棚から落ちてくるものではない。


懸賞金に当たった幸福な人達と、


詐欺に遭った不幸な人。
        



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