ドイツの最新情報 社会問題 タブー

コロナウイルス 関連ニュース集 【最新版】

投稿日:2020年3月23日 更新日:

コロナウイルス 関連ニュース集 【最新版】

今回はコロナウイルス 関連ニュース集 【最新版】 です。

日本でも日々、コロナウイルスに関して報道がされていますが、「欧州のコロナウイルス感染状況」と言えば、感染が蔓延して医療崩壊したイタリアか、特派員の居るロンドンからパリだけ。

ドイツの情報に関してはかなり稀で、メルケル首相の発言が10秒ほど紹介されただけ。ドイツ留学を控えているから、「ドイツの今の状況を教えてください。」というご要請を、何度かいただきました。

そこで今回はコロナウイルス関連で、ドイツで報道されているニュースを個々に紹介していきたいと思います。

コロナウイルス 関連ニュース集 – 何故、ドイツは致死率が低い?

ドイツにおけるコロナウイルス感染者の数も、日々、うなぎ登りです。4万人近い人が感染しているのに死者の数が少ないので、「どうしてドイツは致死率が低い?」と謎に思っている方が多いです。その答えは意外とシンプルで、感染者を早く見つけて隔離、あるいは医療機関に収容しているからです。

日本のように「重症化していないと、PCR テストは行わない。」という施策では、無症状の感染者がゾンビのように街を歩き回り、多数の集中感染が発生します。日本でPCR テストをやってもらうには、ウイルスが体内で十分に蔓延して症状が出ていることが必要です。

その時点でテスト結果が陽性で入院しても、翌日死亡する例が次々に発生しています。措置が遅すぎます。ウイルスが体内で蔓延する前に早くテストを実施、患者に医療措置を施せば、致死率は下げることができます。

ドイツは1日5万8000件のテスト能力!!

感染者を早く見つけて感染を抑えるには、そして患者の致死率を下げるには、早期の PCR テストが欠かせません。日本では

  1. 37度以上の熱が4日以上続いたら診療
  2. インフルエンザの検査で陰性
  3. 肺炎が確認される

その時点で、初めてPCR テストを受けることができます。ドイツでは医師の問診だけで、PCR テストを受けることができます。この違いは日本とドイツのPCR テスト能力の違いです。日本では1200件程度/日が能力の限界です(まるで自衛隊の戦車みたい)。

この少ない戦力を効果的に投入するために、上述の厳しい措置を導入、集団発生した際に濃厚感染者をテストできる能力を確保しています。

一方、ドイツは(かってのソビエト軍用のように)テスト能力はほぼ無尽蔵。1日あたり5万8000件もテストしています。

参照 : mta-dialog.de

ところがまだここで終わりじゃないっ!危機対策本部は、テストの数を4倍にする計画をメルケル首相に提出!これが認可されれば1日20万件。片っ端からテストして感染者を隔離して、陽性ならすぐに隔離、必要なら医療措置を施すという戦略です。

日本のテスト能力を拡充するのではなく、テストをする対象を限定する方法では、コロナウイルスの蔓延を抑えることはできず、死亡率の上昇を招きます。

コロナウイルス 関連ニュース集 – メルケル首相 初めての記者会見

長い間、メルケル首相はコロナウイルスの感染蔓延に際して、国民に語ろうとはしなかった。日々の感染状況の発表はロバートコッホ研究所が行い、感染対策決定は危機対策本部に任せ、国民に告知する必要があれば厚生大臣、あるいは内務大臣が行ってきた。

これはメルケル流の政治問題に対する独特の対処方法で、事態が十分に発展して情勢が明らかになってから声明を出す。早めに「東京オリンピックは、当初の決定通り7月に行う。」なんて声明を出し、結局、延期になった際には、「通常通り行うって、言ったじゃないか。」と、上げ足を取られる事を避けるためだ。

「もうコロナウイルスの蔓延は避けられない。」とブリーフィングを受けた首相は、ようやく3月12日に初めての記者会見に臨んだ。この会見でメルケル首相は、「今後、国民の60~70%が感染する事が予想される。今、大事なことは感染の拡大を遅らせて、医療崩壊を防ぎ、ワクチンを製造する時間を稼ぐこと。」と、政府の戦略を述べた。

参照 : bundesregierung.de

正直過ぎた?

個人的には政府の努力の方向がよくわかり、言葉を濁すばかりの日本の閣僚の会見に比べて、とても印象が良かった。もっともドイツ国内ではあまり評判がよくなかった。「あまりに正直に言い過ぎた。」というのだ。

国民はただでもパニックになりやすい。その国民に、「今後、国民の60~70%が感染する。」と正直に明言すると、「あなたも感染しますよ。」と言っているもの。首相の会見は、「国民に安心感を与えず、不安にさせた。」とマイナス評価されている。

日本風の「東京オリンピックは完全な形で行う。」という意味不明な言い方の方が、評論家には好まれるのだろうか?

コロナウイルス 関連ニュース集 – メルケル首相 国民に語る

「人が集まる場所は避けるように。」との政府の要請にもかかわらず、これに従う人は少なかった。結果、感染者の数が1日数千人単位で上昇を始めた。病院は新しい隔離病棟を準備、看護師に人工呼吸器の使い方を教え、引退した医師を職場に呼び戻したが、感染の速度が鈍らない限り、ドイツの医療体制が崩壊するのも時間の問題だ。

この危機の場面でメルケル首相はテレビを使って直接、国民に呼びかけた。「今、大変険しい状況にある。第二次大戦後、これほどドイツが厳しい状況に置かれたことはなかった。この状況では一人一人が共同体のメンバーとして、責任のある行動を取ることが欠かせない。」と語った。

ドイツ人がこれでおとなしく言われた通り、家に留まっていると思ったら、大間違い。

ドイツは個人主義

日本は集団思考の文化。集団から逸脱した行動は言うに及ばず、個人主義的な思想をもつことさえ、悪とされている。ところがドイツは日本では悪とされている個人主義の国。「折角、長い冬が終わったのに、家に閉じ籠っていろなんて、冗談だわ。」と、大挙して外出した。

天気がよくなると、アイス屋の前にはマスクもしてない長蛇の列ができた。若い人は学校が休みになっている事を利用して、「俺たちには関係ない!」と、コロナパーテイーを開催、数百人が集まった。結果、警察が何度も出動してコロナパーテイーを強制解散させなければならなかった。

参照 : www.baden.fm

結果、1日の感染者の数が2000~3000人も上昇した。これがこそがイタリアでコロナウイルスが蔓延、医療システムが崩壊して、1日に800人も死者が出た原因だった。市民は罰金を課さないと、個人の自由を制限する制限には従わないのだ。

外出制限令

これではドイツの医療体制が崩壊するのは、時間の問題だ。とりわけ1日で感染者が1000人近く増えたバーデン ヴュルテンベルク州では、州知事のクレッチマン知事は怒りをぶちまけた。「若者が規制に従わないなら、全土で外出禁止令を出すぞ。」と脅した。

参照 : bnn.de

そしてドイツの大都市では初めてフライブルクに外出制限令を出した。数日後、これにコンスタンツが続いた。

バイエルン州全土に外出制限発令!

このような緊急事態になると、一番動きが早いのがバイエルン州だ。3月21日、州として初めてバイエルン州は全土に外出制限を発令した。

この禁止令は2週間の期限付き。今後2週間は、まだホームオフィスを導入していない場合は出勤、それに食料品や医療品など生活に必要な物資のお買い物、医療所の訪問、一人で行う散歩、ジョギングは許される。禁止されるのは一緒に住んでるパートナー以外の人物と会うこと。レストラン、ホームセンター、バーの営業は禁止だ。

ドイツ全土で外出制限令?

バイエルン州での思い切った措置に触発されたのか、勇気づけられたのか、幾つかの地方自治体がこの外出制限を次々に導入した。ここで連邦制の問題点が浮き上がった。例えばバイエルンでは二人以上の集まりは禁止だが、他の州では3人、4人あるいは6人以上の集まりは禁止と、ばらばら。

又、人口1000人あたりの感染者数では、バーデン ヴュルテンベルク州に追い越されたが、これまでトップの座を守ってきたハンブルクでは、レストランなど通常通り、営業中。これでは感染拡大が防げるわけがない。

これが連邦制の問題点。州に決定権があり、中央政府からの指図にはアレルギー症状を出して反対する。危機に際して、国としてまとまった施策が取れない。そこで3月22日に各州の州知事が集まって、連携の取れた政策を協議する。週末の感染者の数の上昇次第では、ドイツ全土でバイエルン州同様の外出制限がかかる可能性もある。

外出制限 / Ausgangbeschränkung と 外出禁止令 /Ausgangsperre

用語の説明もしておこう。フランスやイタリアで出されているのは、外出禁止令 / Ausgangsperre 。外出は基本禁止されており、散歩、買い出しでも許可が必要になる。今、バイエルン州で出ているのは外出制限 /Ausgangbeschränkung で、必要のない外出が制限されている(だけ)。

一緒くたにして、「ドイツでも外出禁止令が発令!」と書いている人が多いので、ご注意ください。

ホームオフィス と テレワーク

日本では家で働く事をテレワーク / Telework と呼ばれています。聞いた瞬間にかなり違和感があり、「なんで在宅勤務がテレワークなの?」と聞くも、回答できる人は皆無。意味の分からない言葉を聞いても、その意味を調べず、そのまま自分の語彙に取り入れる方が多いようです。

これがさまざま都市伝説やフェイクニュースを生む温床です。皆さん、「おかしいな?」と思ったら、調べてみましょう。

テレワークとは、勤務先の会社を離れて( tele )、外で働く事を指します。在宅勤務の正しい英語は、ホームオフィスです。コレは世界共通で、ドイツでも「ホームオフィス」で通じます。何故か日本だけはテレワーク。

コロナウイルス 関連ニュース集 – 対人コンタクト 禁止令

3月22日、メルケル首相と各州の州知事がテレビ会議を開き、全国で統一したコロナウイルス対策を協議、以下の事項が決定されました。

  • 人とのコンタクトは(身内の人間を除き)自粛すべし
  • (身内の人間を除き)対人とは1.5mの距離を置くべし
  • 公共場で(身内の人間を除き)二人以上が集まるのは禁止
  • 仕事、お買い物、散歩、医療所の訪問など、絶対に必要な外出は今後も可
  • 公共の場、私有地を問わず、グループで祝うのは禁止 – 違反した者には制裁が課される
  • レストラン営業停止令が発令 – デリバリーは可。
  • 理髪店、マッサージ店、入れ墨店、ネイル店などは営業停止令が発令

この対人コンタクト禁止令は3月23日(月曜日)から施行され、その期間は(とりあえず)オスターン(イースター)のお休みが終わるまで(4月13日まで)とされています。

どうして欧州ではコロナウイルスが急速に広まったの?

「どうして欧州でコロナウイルスが急速に広まったの?」という素朴な疑問をよく聞きます。それは単純に地理的な理由にもよります。

すでに1月から日本では、中国国内でのコロナウイス感染が話題になっていました。日本国内でも感染者が出始めていたので、医療機関は言うに及ばず、市民の間でも意識が高かったです。肺炎を起こした人がいると、数こそ少ないですが、 PCR 検査が行われ、感染者、及び濃厚接触者の隔離が行われました。

中国で春節のお休みになると、日本や韓国ほどでではないですが、欧州にも十分な数のコロナウイルスに感染した中国人観光客がやってきました。しかし「コロナウイルスはアジアの問題。」と長く考えていた為、PCR テストの数は十分にあったのに、テストをしなかったんです。

北イタリアには中国人が多く住んでいることもあり、まずは北イタリアでコロナウイルスが急速に広まりました。

コロナウイルス拡散機 – カーニバル

イタリアでやっとPCR テストが始まり、感染者が見つかります。この時点ですでに集団感染が発生しており、実際には数百の感染者がいたと考えられています。しかし確認された感染者の数が少ない為、注意勧告も出されず、イタリア人はこれまで通りの生活を送り、一気に感染が広まりました。

数千の感染者が見つかっても、典型的なラテン系のあっけらかんとした性格からか、習慣を変えるなど考えもしませんでした。こうしてコロナウイルスはさらに蔓延、政府が北イタリアの村を隔離した頃には、すでに感染者は隔離された地域外に広がっていました。

ここでキリスト教文化に欠かせないカーニバルが開催されます。ヴェニスのカーニバルは有名なので、欧州各地からカーニバルにやってきた観光客が感染、これを故国に持ち帰ります。すると感染者は故郷のカーニバルに参加、一気にコロナウイルスが欧州中に拡散しました。

いい例がドイツの片田舎、ハインスベルクという誰も知らないベルギー国境の街。イタリア帰りの感染者がカーニバルに参加して、集団完成が発生。現時点で916人もの感染者が確認されています。この数は密閉空間のダイヤモンド プリンセンスの感染者を上回るので、カーニバルがどれだけコロナウイルス拡散機として絶大な効果を出しか、わかると思います。

カーニバル

致命的 EU 対処の遅れ

この時点で EU が国境を閉鎖、外出禁止令を出していれば、感染の爆発はまだ抑えられていたかもしれません。しかしイタリアを除く各国の首脳はまだ、「コロナウイルスはアジアの問題。」と考えており、市民の生活、行動を制限する措置を敬遠。

実際ドイツでも3月の初旬まで、競技場で数千の観客を入れてサッカーが開催されていました。カーニバルの教訓から、何も学んでいませんでした。こうしてドイツ全土で集中感染が発生、わずか半月ほどでドイツにおける感染者は2万人に達しました。

EU 委員長のフォン デア ライン女史はコロナウイルスを過小評価した、すなわち 「コロナウイルスはアジアの問題。」と考えていたことを認め、EU への入国を今後30日制限すると発表した。

参照 : rp-online.de

欧州が最悪の感染地域となった今、この措置でどれだけウイルスの蔓延を抑える効果があるのだろう?

コロナウイルス 関連ニュース集 – 欧州中央銀行 / ECB

日本の日銀に当たるのが、欧州中央銀行 / ECB でフランクフルトの高層ビルに本拠を置く。2019年まではイタリア人のドラギ総裁が就任しており、2008年のユーロ危機ではユーロを救った立役者だ。ドイツ政府は氏の退任後、メダルまで贈ってその仕事ぶりに感謝している。

ユーロ危機の際、ギリシャは言わずもがな、スペイン、ポルトガルに続き、イタリアの国債まで利率が急上昇して、ユーロは崩壊する危機に直面した。

何故なの?

イタリアは EU でドイツ、フランスに次ぐ「経済大国」だ。ギリシャ、ポルトガル、それにスペインならまだECBが導入した EU 救済傘/ EU-Rettungschrim で救済できるが、イタリアまで経済破綻すると大き過ぎて、支える金がないのだ。

コロナウイルス 関連ニュース集 【最新版】

Whatever it takes

この危機的な状況でドラギ総裁は、「(ユーロを救うためなら)何でもする。/ Whatever it takes.」と語った。このセリフが利いた。総裁の会見後、イタリア国債の利率がゆっくりと、しかし着実に下がり始めた。その後、総裁はマイナス金利を導入、ドイツ人の政敵に変身したが、それでも当時の功績だけは忘れていない。

ヘリコプター金 / Helikoptergeld

もうひとつ、最近よく使われる有名なセリフがあるので紹介しておこう。それはヘリコプター金 / Helikoptergeld だ。これは米国の前々バーナンキー連邦銀行総裁が議会での証言の際、「金融危機が起こったら、ヘリコプターに金を積み、これを(市民に)ばら撒くことも辞さない。」と、その覚悟を示すために使った言葉だ。

とても印象的であった為、市民にお金をばら撒く政策をヘリコプター金と言うようになった。

中央銀行ラガート総裁

当初、ドイツはドラギ総裁の後釜を狙っていた。しかしドイツ連邦銀行総裁のヴァイドマン氏は、マイナス金利反対派の旗手だ。マイナス金利の恩恵を受けているイタリアで、とりわけ評判が悪い。このためヴァイドマン氏の中央銀行総裁就任は難しいというのが、大方の見方だった。

そこでメルケル首相は中央銀行総裁の地位ではなく、EU委員長の座を目指す方向転換をした。その結果、中央銀行総裁に就任したのは、フランス人のラガート女史。IWF の長官としてギリシャに厳しい節約を課すなど、ドイツ人が好きな倹約財政政策派だったので、ドイツも納得した。

そのラガート総裁は就任1年足らずで、ECB のコロナウイルス対策を発表する晴れの舞台が与えられた。

ECB は水鉄砲

株価が1日で10%以上も値を下げ、株式市場は大混乱。大規模な景気後退がやってると(珍しく)経済アナリストが口を揃えて警告していた。株式市場の目はドラギ総裁の、”Whatever it takes”効果を期待していた。すると総裁は、

  • 年末までに1200億ユーロ(10兆円ほど)の国債を買う
  • 銀行への低金利の長期融資

参照 : manager-magazin.de

を発表した。この内容を聞いた株式市場は、下げ幅をさらに拡大した。米国の連邦銀行はすべての大砲からありったけの弾薬を打ちまくっているのに、「ECBは水鉄砲で対応した。」と散々だった。これよりもさらにマズかったのが、記者会見でのラガート総裁の回答だった。

中央銀行の仕事ではない。

記者会見である記者が、「ギリシャの国債の利率があがっているが、中央銀行はどう見ているか?」と尋ねると、ラガート総裁は、「それは中央銀行の仕事ではない。」と回答。この回答により 「ECB はギリシャを見放した。」と解釈され、ギリシャの国債はさらに利率が高まった。

ドラギ総裁の”Whatever it takes”を期待していた市場関係者は肩透かしをくらい、ECB 内部でもラガート総裁が危機に対処できる能力を持っているのか、女史の能力が疑われ始めた。

中央銀行バズーカ

ECB の水鉄砲から1週間後の3月19日、それも真夜中の23時48分、ラガート総裁は中央銀行の国債購入枠に7500億ユーロを追加すると発表した。

参照 : welt.de

この追加プログラムにより、中央銀行の国債購入プログラムは(ほぼ)1ビリオンユーロ(80兆円)に達する、かってない大規模の国債購入プログラムとなった。ラガート総裁はこの決断を、「大変な時期には大変な決断が必要だ。」と説明、少しドラギ調を漂わせた。

このプログラムではギリシャの国債も大量に購入されることになり、ギリシャの国債の利率は下降に転じた。

ラガート総裁、時間はかかったが、総裁としての貫禄を出してきた。素直に側近の意見を聞き入れて、自身の決定を覆すだけの柔軟性も持っているのは、大いに評価できる。

100兆円!!ドイツの景気テコ入れ & 救済対策

ドイツ政府はコロナウイルの影響で、経済成長率が5%落ち込むと予想している。2019年のドイツの経済成長率が0.6%だった事を考えれば、マイナス5%近い大不況になる。これに対処する為、ドイツ政府は大規模な景気てこ入れ & 救済対策を考えている

その財政出動枠は、驚くなかれ1兆2000億ユーロ(100兆円)に上る。

参照 : handelsblatt.com

この大規模な財政出動の大まかな中身は以下の通り。

  • ルフトハンザなど、とりわけコロナウイルスの影響が大きい大企業を一時国営化、あるいは株式を取得して支援する
  • 金めぐりが厳しくなった企業を救うため、政府の投資信託銀行 KfW が上限なしの融資を提供する
  • 休業により収入のない個人、中小企業、個人事業主を救済する。

ただ100兆円ものお金はドイツと言えど、ポケットから出せる額ではない。補正予算 / Nachtragshaushalt を組む必要があるが、その額は100兆円ではなく、1500億ユーロ(12.5兆円)。残りは「ポケットから出せる。」というのだから凄い。

参照 : tagesschau.de

ただ、補正予算を組むのは、毎年補正予算を組んでいる日本と違って、ドイツではそう簡単には行かない。

借金ブレーキ法 / Schuldenbremse

ドイツはここ5~6年、国家予算で赤字を出していない珍しい国。先進国ではシンガポールかドイツくらいだ。もっともここに来るまでは長い道のりで、21世紀初頭、ドイツの国家財政は東ドイツ併合時の寛大な財政出動で真っ赤だった。

「ドイツ人はケチ」というのは、大方の人が一致している見方だ。そのドイツ人にとって今、借金をして、その清算をわが子にさせるというのは我慢ならなかった。そこでドイツ政府が国会で決議して憲法に書き込んだのが、借金ブレーキ法 / Schuldenbremse だ。

この法令により政府が国民のご機嫌を取るために、借金財政を行うことを禁じた。もっとも憲法で規定してからといって、景気がよくなるわけではない。ようやく2015年になって借金のない国会予算の成立に成功、以来、歳出よりも国の税収入の方が多いという、日本では考えられない状況が続いた。

例外措置の発動

あれから5年。ドイツには十分な財政的な余力があり、超大型の財政出動にも関わらず、2021年の国会予算は新たな借金をしなくてもできるという。

参照 : fr.de

もっとも補正予算を組むと、いったん、借金ブレーキで定められた借金の枠組みを超えてしまう。

幸い借金ブレーキ法には、「異常な状況下では、例外措置も可能。」とある。この例外措置を発動するには、国会にて2/3の賛成票にて可決される必要がある。しかしながらコロナウイルスの影響で二人以上の集会が禁止されている。

今、どうやって国会を開いて例外措置を合法的に発動できるか、調整中だ。

個人、小規模事業主、個人事業主救済案

個人事業主、及び従業員10名までの小規模事業主の救済案は500億ユーロ(4.1兆円)の予算が取られている。内、300億ユーロは融資に、200億ユーロは補助金になる。例えば上述の対人コンタクト禁止令により、マッサージサロン、ネイルサロンが経営できない場合、補助金を申請できる。

その額は5名までの従業員がいる場合9000ユーロまで!!10名までの従業員では1万5000ユーロまで!支払い額は去年の確定申告で出した金額に左右されるが、日本と違い融資ではなく、補助金であること。すなわち返す必要なし!Huraaa!

日本と違うのはそれだけはない。日本では融資を申し込んでも、払われるのは7月から。これでは融資が出る間に大半の事業主は破産している。ドイツでは即刻救済 / Soforthilfe なので、一か月以内に支払われる。例外はホームオフィスで働けるケース。残念~。

又、対人コンタクト禁止令により収入がなくなると、最初に心配になるのが家賃の支払いだ。ドイツでは2か月連続で家賃が滞納した場合、大家は賃貸契約を解約できるとなっている。ドイツ政府はこの民法の規定を時限付きで停止、コロナウイルスにより外出や仕事が制限されている間は、賃貸契約の解約を禁止する方向で最終調整に入っている。

病院への補助金

コロナウイルス感染の最前線で戦っている病院には、感染が蔓延する前から(お金の儲かる)手術を延期するように指示が出ていた。感染が蔓延した際に、重症患者を収容できるベットを確保するためだ。しかしベットを用意しただけでは、効果的な治療はできない。

コロナウイルス感染者(重傷者)の効果的な治療には、人工呼吸器が欠かせない。しかし人工呼吸器の導入は高いっ!お金の儲かる手術を延期している中での投資は、病院の経済状況を悪化させる。そこでドイツ政府は病院への補助金として78億ユーロの予算を救済案に盛り込んでいる。

具体的に言えば、人口呼吸器付きのベットをひとつ増やすと、5万ユーロ(6百万円+)の補助金が支払われる。こうした処置により病院が積極的に人口呼吸器付きのベットと看護師を準備するように、動機づけしている。日本の政府も掛け声だけではなく、是非、お金も出してもらいたい。

コロナウイルス 関連ニュース集 【最新版】ワクチン

コロナウイルスの終焉宣言には、コロナウイルスの抗体、すなわちワクチンを開発することが欠かせません。世界中の薬品会社にとって、これは一世一代のチャンス。金銭的なリターンもさることながら、世界で最初にワクチンを開発すれば、知名度は一気に上昇します。

WHO によると世界中で48の研究所、製薬会社でワクチン製造のプロジェクトが始まっています。

参照 : fr.de

ドイツでも複数の製薬会社がワクチンの製造の研究を進めていますが、一番大きなニュースになったのは、テュービンゲンにあるバイオテクノロジー製薬会社 ”CureVac”です。

米国のトランプ大統領が、同社のワクチンの研究成果を米国の製薬会社に売り渡すことを要求。目玉の飛び出るような大金がオファーされたのですが、「開発されたワクチンは米国でのみ使用できる。」という条件だったので、同社はオファーを蹴りました。

参照 : welt.de

同社の発表によると夏にはワクチンの臨床試験に入り、秋にはワクチンの大量生産に入れるとの事。その数は1億本!

-ドイツの最新情報, 社会問題 タブー

執筆者:

nishi

comment

関連記事

ノルトライン ヴェストファーレン州選挙 - Kraft(力)及ばず | Pfadfinder24

ノルトライン ヴェストファーレン州選挙 – Kraft(力)及ばず

兵どもが夢の跡 5月14日、デユッセルドルフが州都のノルトライン ヴェストファーレン州(以後、NRWと略)で州選挙があった。この州にはドイツの全人口のほぼ1/4が住んでいるので、「小さな全国選挙」とも …

ドイツの環境保護政策 - 二酸化炭素税

ドイツの環境保護政策 – 二酸化炭素税

ドイツ(欧州)では、ニュースのトップメニューから消えることがない3つのテーマがある。どんなテーマか想像がつくだろうか。それは、 環境保護政策 難民問題 イギリスの脱EU の3っだ。どのテーマをとっても …

オペル復活?- 敏腕のポルトガル人社長 20年ぶりの黒字達成!

オペル復活?- 敏腕のポルトガル人社長 20年ぶりの黒字達成!

全然カッコよくなったオペル。 もう1年以上前の話になるが、米国大手の車メーカーGMは小会社であるドイツ車メーカーオペルを、フランスの車メーカーに売却した。過去18年間赤字を出し続けて重荷になっている子 …

ロシアの野望 - 北海パイプライン Nord Stream 2 | Pfadfinder24

ロシアの野望 – 北海パイプライン Nord Stream 2

EUの遠大な目標は “United Europe”として、アメリカの対抗馬になること。しかし加盟国の結束力に欠けている。”Brexit”に始まり、フラン …

テューリンゲン 州知事選挙の波紋 - CDU 党首カレンバオアー辞任す

テューリンゲン 州知事選挙の波紋 – CDU 党首カレンバオアー辞任す

テューリンゲン 州知事選挙の波紋は全国に広まった。極右政党と組んだ政治家は「知らなかった。」、「事故だった。」言い訳をしたが、信じてもらえなかった。 党の首脳部は火の粉がわが身に降りかかってこないよう …