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中国の将来戦略 vs. ドイツの将来戦略 インダストリ4.0

投稿日:2016年4月15日 更新日:

中国の将来戦略

日本ではビックデータという言葉が、将来の企業戦略として頻繁に使用される。ドイツでは「全く聞かれない。」というと誇張だが、「将来はこれで決まる。」というような扱いはされていない。勿論、無視されているわけではないが、「それも欠かせませんね。」程度の扱いだ。

正直なところ町工場が、どれだけビックデータの恩恵を受けるのか、疑問がある。さらにはビックデータを利用するには、これを分析できる高機能のK.I.(人工頭脳)が欠かせないが、この分野で世界をリードするのは中国だ。

欧米では車にカメラーやセンサーを搭載して、運転手なしで車を運転するシステムを開発している。しかし自動運転した車が引き起こした死亡事故が照明しているように、未だに大きな障害がある。中国では異なる試みを行なっている。道路や信号機、交通カメラ、そして市内で登録されている車まで、すべてセンサーを搭載して情報を交換している。

結果としてより正確な情報を集めることができ、人工頭脳が膨大なデータから状況を的確に分析することが可能になる。車が交差点にたどり着く前に、信号が赤になるか、それとも青で通りぬけることができるか、情報が示される。

仮に車に搭載されているセンサーが赤信号を認知できなくても、車は情報を得ているので、事故を防ぐことができる。交通のインフラは20世紀のままで、車だけをハイテクにして自動運転を可能にするのには限界がある。一緒に交通インフラも21世紀に標準にあわせてデジタル化する中国の試みは、世界でも例がない。

ドイツの将来戦略

その一方、ドイツ政府は”Industire 4,0″がドイツ産業の将来を左右するとして、啓蒙活動を行っている。大方の日本人が「ビックデータ」と聞いて、「それ、何?」と理解できないように、「インダストリ4.0。」って聞いても、「それ、何?」と理解できないケースが大半だ。そこで今回はこのインダストリ4.0について紹介してみよう。

ドイツで生活を始めると、「日本とは考え方が全然違う。」と実感できる。例えば電気、ガス料金の請求。日本では毎月、ガス、電気の使用量をわざわざ計測、「先月の使用量は○○です。」というお知らせが届く。そして支払いが済むと、お支払い明細まで届く。日本では当たり前の事なので、誰も仕組みの意義を考えないし、これを変えようなんて夢にも想像しない。ところがドイツでは毎月、メーター計測なんかしない。

ドイツ式の利点

ドイツでは契約初めにメーターを読み、1年後、あるいは数年後に契約を解約する日にメーターを読むだけだ。さらにそのメーターの「読み」も自分でして、自分で電力会社に報告する。この数字を元に、1年間に消費された電気、ガス量を換算する。それからこれまで支払った金額と比較して、払った以上に消費していれば費用を追加支払い、払った量より消費量が少ないと、お金が戻ってくる仕組みだ。

ドイツ式の利点は明らかだ。毎月、メーターを計測、使用明細や、引き下ろし明細を発行してすべての家屋に配っていると、この作業だけで膨大な作業量になり、これだけを行う社員を雇わなければならない。

日本中で数百人もの人間が、ドイツでは必要とされない仕事に従事している。しかしいくら熱心にメーターを読んでも、会社の売り上げ上昇に繋がるものではない。電力会社、ガス会社の儲けは、電気&ガスの販売であがる。こうした手間を省きドイツ式にすれば、膨大な仕事量が節約出来て、仕事の効率、すなわち社員一人で上げる収益率が上昇する。

わかりやすい例を挙げてみよう。以前は自宅にエンサイクロペディア、すなわち百科事典があった。医者にかかって聞いた事がない病名を聞くと、この辞書を開いてその意味や解決方法を検索したものだ。これが日本式の電気、ガス使用量の測定方式に当たる。ところが今や誰が百科事典を開くだろうか。百科事典さえない家庭がほとんどだ。

インダストリ4.0

何故?それはウィキペデイアを始めとして、ネットで圧倒的に早く圧倒的に多い情報が収集できるからだ。これがドイツ式の電気、ガスの測定方式に当たる。どちらの方法が効果的なのか、考えてみるまでもない。お陰で国内総生産量を労働時間で割って仕事の効率性(生産性)を比較すると、日本人の仕事の生産性は、ドイツ人と比較して2割以上も低い。

このように個人消費分野では、インターネットにより効率が大幅に改善された。しかし工場生産部門では、まだ大きな効率の上昇につながっていない。インダストリ4.0とは、まさにこの仕事の効率を上げるための手段である。18世紀にイギリスで始まった産業革命の前まで、人類は中世と大きくかわらない生活をしていた。

製品の生産は手工業のため、まるで電気ガスメータを毎月読むように生産性が低く、生活のあらゆる部分で品物、製品が不足がしていた。ところが産業革命が起きると、手工業から蒸気を利用した機械化に生産過程が以降、生産性が一気に向上した。人類は始めて余剰に製品を生産する事が可能になり、市民の生活は飛躍的に向上した。これをインダストリ1.0と読んでいる。

インダストリ2.0は蒸気から、電気による大量生産過程への移行を指す。巨大な蒸気施設を必要とせず、コンセントひとつで巨大な生産機械を動かすことが可能なり、生産性が向上した。インダストリ3.0は70年代に始まったコンピューター制御による自動化だ。車の組み立てロボットなどがその典型で、生産過程のコンピューター化により、生産性が大きく向上した。

そしてその次にやってくるのがインダストリ4.0で、すべての生産工程がネット上で管理できるようになる。これまでは工場で生産を開始しても、月末、あるいは四半期になって生産表があがってこないと、生産性について知ることができなかった。この為、対策を取ろうにも時間がかかってしまい、改善するまで無駄に時間が過ぎてしまう。

ところがインダストリ4.0ではすべてがネットで繋がっているので、管理者は月末の報告を待つ必要なく、1時間ごとに生産管理ができる。さらには在庫が少なくなると自動的に管理者にメッセージが届くので、「在庫切れで生産ラインが止まる。」という危険性も避けられる。在庫管理者からの報告を待つまでもない。さらにプログラムが在庫を監視、在庫が少なくなると自動的に注文を出す。今は在庫が減ると、倉庫から調達部に連絡が届き、注文を出す度に社員がPCの前に座って発注書を作成しているが、これがすべて自動化される。

こうして仕事の効率が上がり、人件費の高いドイツで生産しても、人件費の安い国の製品と世界市場で競争できる。逆に仕事の効率を上げなければ、かっては「世界の工場」だったイギリスで生産業が消滅したように、ドイツでも生産業が消滅する危険がある。これを回避するための戦略がインダストリ4.0だ。

しかしインダストリ4.0は、「すべてが薔薇色」というわけではない。すべてがネットで繋がっているので、外部からハッカーが侵入して、生産技術を盗んだり、生産過程を操作して止めてしまうことも可能になる。これを防ぐには外部からの侵入を防ぐ手段、侵入されたらこれを早期に発見して必要な対策を打つ手段が必要だが、中小企業はまだ闇の中で手探りの状態だ。

これまでのインダストリ1.0、2,0、3.0がそうだったように、まずは大きな企業から導入化が進んでいる。ドイツ政府は中小企業でも2025年までに、インダストリ4.0を新しいスタンダードにすることを目指している。日本のビックデータとドイツのインダストリ4.0、どっちが勝利するか、10年後のお楽しみだ。

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執筆者:

nishi

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