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ドイツ車メーカー 三つ巴の談合密告合戦 – 一番乗りは?

投稿日:2017年11月24日 更新日:


トラック業界に続き、自動車業界も談合?

トラック談合

2016年、EU委員会はトラックメーカーが90年代から値段を談合、客に高い値段でトラックを購入させたとしてトラックメーカーに合計して30億ユーロ、邦貨でほぼ390億円にも上る罰金を課した。ダイムラー ベンツに課せられた罰金は11億ユーロ、単独の会社として罰金額のポールポジションを獲得した。正確には販売台数の最も多いフルクスワーゲン社(以下、VWと略)は、傘下のMAN, Scaniaに対してさらに高額な罰金、12億ユーロを課せられたが、「最初に同業者を密告した。」功績を認められて、罰金がチャラになったからだ。密告された同業者が喜ぶ筈もなく、多額の罰金を課せられたダイムラーは復讐を誓った。

ドイツ製品は値段が高い。品質もいいのだが、値段が高い。ドイツ製のマットレス、化学薬品で安く作ったマットレスを4桁もの値段で販売している。同じ事がドイツ製の旅行鞄など、ほぼすべての製品に当てはまる。メーカーは小売店が値段を下げないように圧力をかけ、同業者間で値段を談合、業界で値引き競争が起きないようにしている。時々、談合取り締まり局にこの談合が摘発され、罰金を課せられるのだが、談合による儲けのほうが、談合により罰金よりも高く、談合を失くすことにはなっていない。値段の高いドイツ製品を買ったことがある方は、間違いなくこの談合の被害にあっている。

自動車談合

今回、談合がばれたのはドイツの車メーカーだ。VW、メルセデス ベンツ、BMW、ポルシェ、そしてアウデイの5社が90年代から技術、費用、部品メーカーについて談合、車の販売値段ばかりでなく、部品を注文するメーカー、車に採用する技術についても談合していたという。

その一環で、「デイーゼルエンジンをどこまでクリーンにするか。」と談合、試験走行中だけクリーンな車を製造することに同意した。その結果が、VWを筆頭にした排ガス スキャンダルだ。この談合が証明されれば、ドイツの経済史上かってない規模の大スキャンダルになる。

談合15年

ドイツの週刊誌がこの記事をスッパ抜くと、緊急ニュースになってテレビ、ラジヲで絶え間なく報道された。ドイツでは車産業はドイツ産業の旗艦で100万人もの雇用を創出している。この車産業が機能しなくなれば、ドイツ経済自体が傾くので無理もない。この談合は特別なのは、その期間の長さ。15年以上に渡って談合してきたというのだから、この談合が世界中の消費者に与えた被害は計り知れない。

EU委員会は談合の罰金として、その企業の年間売り上げの10%までの罰金を課す事ができる。談合していた車メーカーの売り上げから計算すると、罰金額はかってのトラック談合をはるかに凌駕する550億ユーロに達する可能性がある。このニュースが報道された金曜日から、車メーカーの株価が下落に転じたのも無理はない。

余波

車メーカーはよりによって今、談合がばれると予想していなかったので、その罰金を準備していない。談合があったと判断されてメーカーに罰金が課せられると、メーカーは大赤字を計上することになる。さらには消費者から訴えられ、VW社が排ガス スキャンダルで米国で行なったように、慰謝料を払って中古車を買い取る処置を命令されるかもしれない。

これがどれだけ費用がかかることになるか、想像することさえ難しい。そこで焦点は、「誰が最初に密告したのか。」という点に集まった。当初の報道では、排ガス スキャンダルで書類を押収されたVW社、これに続き、同様の嫌疑で検察が本社を操作して書類を押収したダイムラーが、「ばれるのも時間の問題。」として密告したと報道された。これが本当ならVWはトラック談合について、またしても同業者を密告したことになる。

一番乗りは?

ところがVWの喜びは、長続きしなかった。トラック談合でまんまと出し抜かれたダイムラーが、罰金を支払わされた仕返しに自動車談合をEU委員会に密告していたと報道された。この報道が真実なら、ダイムラーは高い勉強代からしかっり教訓を得ており、今回は罰金から免除されることになる。困ったのはVWだ。黙っていれば(まだ)談合の証拠がないのに、ご丁寧に談合取り締まり局に、「談合しました。」と訴えを上げてしまったので、これが証拠になる。

これはまさにVWが鍋と葱を背負って、談合監視委員会にノコノコとやってきたのに等しい。そして販売台数が一番多いVWの罰金の額は、最も高額になる。火曜日にダイムラーの株価が上昇に転じたのに、VWとBMWの株価は相変わらず落下した。ちなみにBMWは談合をしたことを、全面的に否定した。一体、他にどんな対応ができただろう。今やまな板の上の鯉。処罰が決まるまで、容疑を拒否するしか他に方法がない。

産業と政治の癒着

今回のスキャンダルは、ドイツの政界と車業界の関係が密接すぎる欠陥を明らかにした。車業界のロビイストには元運輸大臣が就任して、政治が車メーカーに厳し過ぎる制裁、環境条件を導入することを阻止している。排ガス スキャンダルでも政治はVWの背中を守り、「ソフトの更新だけでいい。罰金はなし。」と援護射撃をした。この背面援護がある限りドイツの車メーカーは好き放題、悪事がばれても政治が守ってくる。なにしろ自動車業界はドイツ産業の旗艦なのだ。

しかしEU委員会は、そのようなドイツ国内の「配慮」には興味を見せない。それどころかEU議会で決議した排ガス(環境保護)基準を無視し続けるドイツのメーカーを眼の仇にしているので、委員会の判決だ楽しみだ。それともドイツ政府が圧力をかけて、蚊が刺された程度の罰金を課すことになるのだろうか。

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執筆者:

nishi

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