ドイツの達人になる 賃貸

ドイツでアパート入居 – キッチンを探せ!

投稿日:2015年9月17日 更新日:


二重ガラスがドイツのスタンダード。冬でも霜付かず

ドイツでアパート入居

ドイツのアパート入居は実に簡単です。鍵の受渡日(その日から入居が可能)に不動産会社の人間、あるいは大家さんとアパートに入って傷や不備を一緒にチェックする。不備があった場合は、これを賃貸契約書に加筆して、鍵を受け取るとそれで終わり。大家さんと直接契約した場合は入居時点での電気、水道メーターを一緒にチェックする作業も加わる。

大家さんがメーターの値を書類に書き込み、「間違いありません。」と賃貸人のサインを書き込むと、この手紙は水道局、電力会社に送られる。ドイツでは日本と違って部屋が空いても電気、水道、ガスが止められることはないので、入居時にメーターをチェックしないと、前の賃貸人の電気代を払われることにもなるかねない。ご注意あれ。不動産屋がアパートを仲介した場合は、不動産屋がこの仕事をやってくれる(筈だ)。合理的な方法で、簡単明瞭。

ドイツでは電力会社を自由に選択できる。すなわちアパートに入居する場合は、電気の供給先を選び、そこと契約する必要がある。これをしなくてもドイツでは電気を止めることが(条件を満たさない限り)禁止されているので、市の電力会社が電気を供給する。

しかし支払いが一向にない場合は、電力会社は3度の警告の後、電気を止めることが許されている。そんな事にならないように、入居するアパートが決まったら、入居する前に電力会社を選択、電気の契約をすべし。

アパートの基本設備

ドイツのアパートと日本のアパートとの施設面での大きな違いは、ドイツでは家具なし物件が大半である点。「日本でも家具が付いていない物件が一般的です。」と言われる方の為に厳密に説明すると、日本のアパートにはキッチンが付いている。全部ではないにしても、トイレや浴室には照明も付いている。

ドイツのアパートにはキッチンはおろか、照明、キッチンも付いていません。(勿論、家具付き物件もありますが、家賃はかなり割高。)浴室には鏡さえもなく、下駄箱や収納スペースもゼロ。

そこで入居するアパートが決まると、まずは照明の調達が必要になります。車があれば近くの”Baumarkt”(日本で言うホームセンター)で照明は買えます。車がない場合は、インターネットで注文するので、時間がかかる。

照明が届いても、天井に穴を開けて取り付ける必要があります。日本のように、「クリック」ではまるものではありません。工事には足場(梯子)と丈夫な”Bohrer”(ドリル)が必要になります。自分でするのは無理なので、市内の電気工事をやっている会社に値段を聞くと、工事費は200ユーロ。高い。そこでネットで失業中の職人を探すと75ユーロ(5時間)で済みました。照明が完成すると、次はキッチンだ。

キッチンを探せ!

家具屋に下見に行くと、「8月は休暇なので、今(7月)注文したキッチンが届くのは、速くて9月中旬です。」と悠長なことを言う。夏休みでなくても、通常は1ヶ月程度の “Lieferzeiten”(納入期間)があるのがドイツのキッチン。アパートの契約が取れたら、早めにキッチンを注文しよう。

驚きなのはその値段。大きな家具屋では2万ユーロを越えるキッチンが販売されている。スパゲッテイーボロネーゼを作るのに、そんな高価なキッチンは要らない。そこで少し安めの”Quelle”に相談に行くと、「うちのキッチンは5000ユーロから。予算がないならここに来るのは間違いです。」と、とってもドイツらしい対応。

値段と納入期間期間を考慮すると、IKEAで注文するのが最善の方法のよう。相談に行くと、「キッチンのサイズ、とりわけ排水官の位置を正確に測ってください。」という。これをしないと配水管の敷設でトラブルになるという。こうして脅した後で、「キッチンの計測サービスを100ユーロで提供しています。

その100ユーロは、1000ユーロ以上のキッチンを注文するとキッチンの値段から差し引きます。」という。騙されている気もするが、初めてのことなので計測をお願い。計測のアポインが取れるまでにさらに1週間。キッチンの計測が終わると、データがIKEAに送られて、PC上でキッチンの計画ができる。そこでキッチンを計画するアポイントを要求すると、「アポイントなして来てください。そこで一緒にキッチンを作りましょう。」という。

イケアでキッチンを買う

そこでIKEAに行くと、親切なお姉さんの姿はなく、そこには”ET”みたいな顔をしたドイツ人男性。そのドイツ人曰く、「キッチンの計画にはアポイントが必要です。」とのこと。アポイント帳を開きながら、「次のアポイントは2週間後になります。」と言います。「だからアポイントをくれと2週間前に言ったじゃない。」と抗議すると、「それはあなたがキッチンの計画を自分でしないで、従業員にまかせるから。」と客に責任転嫁。ドイツ人は誤りを認めないというのは本当です。

執拗にこれまでの経過を説明するも、「アポイントが空いていないのだから、何も出来ない。」との事。仕方なく2週間先のアポイントで了承すると、請求書を印刷して、「キッチンの相談には50ユーロかかるので、相談する前にこれを清算して。」という。毎回、相談に来るたびに新しい料金が登場。これがIKEA流?

しかし考えれば、考えるほどおかしい。どうしても納得いかず、後日、IKEAに討ち入り。キッチン部門で現場の責任者を呼ぶように要請。すると愛想のいいお姉さんが、「どのようなご用件ですか。」と言う。これまでの事情を説明。すると、「じゃ、これから一緒にキッチンを計画しましょう。」という。アポイントは一体、何だったんだ!結局、1時間あまりで完成。やればできるのに、それをしない都ドイツ人男性。

肝心の費用は冷蔵庫、食器洗い機なしでキッチンが2800ユーロ(送料込み)。キッチン計測費、相談料を含めると2950ユーロ。「これでいいか一晩考えて、よかったら明日、現金を持って払いに来てください。」という。一晩考えて一部変更。現金でお支払い。すでに3日後のには配送だ!IKEAの(少ない)いい点は、夏休みがない事。

キッチンはバラバラの状態で到着。なんと500Kgを越える総重量。今度はこれを組み立てる職人探し。これにはネットが便利。探した職人曰く、総工事費700ユーロ。少々高いが、ケチって素人に頼んでキッチンを壊されても、涙物。ここは高い職人に頼むことに。ちなみにIKEAで組み立てを頼むと、またしても要アポイント。これが取れるのが3~4週間後。IKEAの値段は1mで200ユーロと結構なお値段。計画したキッチンは5mあるので、工事費1000ユーロ。高すぎです。

3日後、職人が到着。組み立ての際、水道の蛇口の問題が発生。大きな流しにしたので、水道を設置するスペースが小さい。結局、流しの横に穴を開けることに。すると選んだ蛇口では、水道口がかろうじて流しの端っこまで届く程度。これは使い勝手が悪い。計画する際にわからなかったのだろうか?

職人曰く、「Baumarkt の蛇口でも構わない。」というので”Bauhaus”で急遽調達。89ユーロ。IKEA製は119ユーロだったので、ホームセンターで買ったほうが安くて、種類が豊富。蛇口の設置が終わると、今度は戸棚。職人曰く、「部品が足らない。」という。

部品が足らない!

計画書に書かれている箱が5箱足らない。その代わり(?)必要ない部品が届いてる。職人曰く、「IKEAでキッチンを買うと、ちょくちょく部品が欠ける。」と言う。またして車に乗ってIKEAまで。領収書を提示してチェックしてもらうと、3箱は注文に上がっておらず、これが理由で足らないと判明。IKEA曰く、「倉庫から自分で探して、レジでお金を払って持っていけば?」とのご提案。その手にはもう乗らない。

「25ユーロ払って、部品を集めてもらえるサービスを利用した。自分で探せというなら、25ユーロ返却してください。」と言えば、「こちらで探してきます。」とIKEA。当然の事も、苦情を言わないと通らないのがドイツ。部品を抱えて自宅に戻り、職人が組み立て。完成すると結構、立派なキッチンに。ボロネーゼを作るだけなら、もったいないくらい。早速、今晩から自炊と思ったら、コンロの電気が入らない。職人の配線間違い。

職人とのトラブル

職人にメールと電話で改善を要求するも、すべて無視されて、やっと1週間後に捕獲。すると、「見に行ってもいいが、100ユーロかかるぞ。いいか。」と傲慢なドイツ人。職人の仕事をチェックをしないで、信用してお金を払うとこうなります。高い勉強代。

100ユーロもらえるので喜んでやってきた職人は、「ここの回線に電気が来てないのが原因だよ。」と5分もかからず迂回路を作り、コンロは完成。「そんな事、組み立てるときにわかっただろう。」と苦情をいい、言い値の100ユーロを半額に値引きさせるも、勝ったのは職人。

翌日、余った部品をIKEAに返却。165ユーロ返却になったものの、買い足した部品もほぼ同額。結局、キッチンが完成するまでにかかった費用は3700ユーロ。

「ドイツでアパートを借りると、そんなに投資が必要なの?」と思われるかもしれませんが、日本でアパートを借りると、不動産屋の手数料、礼金、家賃の保障保険、抗菌措置、鍵の交換などの無駄な費用が40~50万円。入居するだけにそんな大金を払うのだったら、ドイツで自分のキッチンを作ったほうが絶対にお得です!

さらに何も新品でなくても、中古のキッチンを買えば超お得。5000ユーロかけて買ったキッチンも、2~3年使用して中古で売ると700~800ユーロにしかなりません。もっとも分解、搬送、組み立てに大金がかかるので、700~800ユーロで買っても、完成するまでには2000ユーロ近くかかります。

イケアのキッチンの大きな欠点

イケアのキッチンを使った感想ですが、流しが駄目です。「あっ!」という間に詰まります。毎月、引き出しを取り外して、排水官のお掃除。この排水官がとても細いので、油っぽいものを洗うと、すぐに詰まります。排水官のお掃除には1時間以上かかる上、汚れがとび散り、かなり悲惨です。イケアのキッチンはもう二度と買いません。これからドイツでキッチンを買われる方、ご注意あれ。

500Kgのダンボールの山が、

キッチンに変身。

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執筆者:

nishi

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