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コピーだけじゃない!躍進する中国航空機産業

投稿日:2016年11月8日 更新日:

中国製の戦闘機
J-20、それともMiG-1.44?

アジア人は自分で考えず、すぐにコピー?

日本で高級車と呼ばれる国産車、前から見るとメルセデス、後ろから見るとBMWという恥ずかしいデザインが多かった。デザインという独創性を発揮する箇所で独創性を放棄して、堂々とそれもフラッグシップである高級車に、他社のコピーを採用するのはいかにもアジア的。もっともコピーしていない日本車のデザインは、お世辞にも購買意欲を増すものではない。

欧州では日本車は「安いから」という理由で買う車で、人気のある車ではない。その一方で、「イタリア人がデザインした日本車だったら買う。」という人が多いのだが、かって日産とフィアットは全くその逆をした。すなわち日本人がデザインした車をフィアットが製造した。ぱっとしないデザインに加え、イタリア車の信頼性のなさがパーフェクトにマッチ、車は売れず見事なフロップで終わった。

J-20

中国人も同じように考える。ただし日本人のように、「なんとなくメルセデス。」というデザインではなく、「どうみてもメルセデス。」という完璧なコピーにする。いい例がある。この秋に開催された航空ショーで、中国がかなり前から開発中の戦闘機J-20が始めて公開された。レーダーに映り難いと言われているこの戦闘機は、第五世代の戦闘機と言われる。

このような戦闘機を開発、保有しているのは米国とロシアだけだったが、中国もこれに堂々と加わった。もっともこの中国製の戦闘機、ロシアで開発されたもののお蔵入りになった“MiG-1.44”と酷似している。ミコヤン社はこれを次世代の戦闘機として開発したのだが、ライバルのスホーイ社に政府への売りこみ(賄賂競争)で負けてしまった。

この航空機は多目的戦闘機として開発され、戦闘機として、あるいは爆撃機としても使用できる20mもの大型の航空機だ。中国製の戦闘機も22mもの巨大な機体で、MiG-1,44同様に爆撃機バージョンと戦闘機バージョンが公開された。中国が同時に開発している戦闘機J-31米国製のF-22に酷似している。一体どうやって国家機密である飛行機のパテントを盗んだのだろう。

コピーだけじゃない!躍進する中国航空機産業

「中国製の次世代の戦闘機と言っても、外見はコピーで、内部の技術は他国から盗んできたもだ。」と非難されることが多く、また非難は的を得ているが、日本には同様の戦闘機を製造する能力がない。中国は特定分野での先端技術では、西欧に追いついている。

日本政府の財政支援を受けて三菱が製造している国産旅客機の “MRJ90″。日本人の体系にあわせて寿司詰めにしても、90席も確保できない小型旅客機だ。100席以上の客席を提供する航空機ではエアバスのA320(定員150~179)、A318(定員107~117)がベストセラーになっており、世界中の航空会社が注文している。これに対抗しては勝ち目がないので、三菱は競争相手の少ない90席未満の小型ジェットの開発に決めた。

日本国内の、「40年振りの国産旅客機!!」というお祝いムードと異なり、この旅客機の開発はトラブル続きで計画よりも4年以上遅れている。その間にライバルが同様の機種を開発、販売しており、このプロジェクトの未来に影がさしている。(*1)一方、中国も国産旅客機の製造にかかっている。C919は168人までの乗客を収容できる能力をもち、”Platzhirsch”(販売台数一番)のA320に真っ向から挑戦している。

「いやいや、中国の旅客機はすでに注文を取っている日本の旅客機と違って、まだ開発中でいつ完成するかもわかってない。」という非難をよそに、中国政府の発表では517機を超える注文を受注している。小型機である三菱の注文は375機。この数字が本当なら日本の旅客機よりも成功している。

C919 vs. MRJ90

皆まで言えば、中国は90席の定員の国産旅客機、Comac ARJ21の開発を成功裏に終えて、すでに定期便として就航してる。もっともあまり評判が良くなく、欧米での飛行許可が取れていない。

しかし中国の国営航空機製造会社、”COMAC”はこの失敗から多くの教訓を得ており、本命のC919ではこの欠点が改善されて、将来はエアバスやボーイング社を向こうに回して三つ巴の戦いになるかもしれない。一体、中国は戦闘機から旅客機まで製造できるノウハウを、どうやって日本よりも早く習得することができたのだろう。

基礎研究で西欧に遅れをとっている中国は、足りない技術を長い年月をかけて開発するよりも、その技術を持っている外国企業を買収する。数年後にはこの技術を習得して、これを使って製品を開発、販売できるので、まことに効率がいい。この目的で中国企業は最先端技術を持つドイツ企業を次から次に買収している。

中国国営企業の買収攻勢

今年の5月に中国の投資会社、”Grand Chip Investment”が特殊機械を製造してる”Aixtron”を買収するオファーを出した。ドイツ政府は当初、この買収に何の不審もいだかず、”Go”サインを出したが、11月になって急にこの許可を取り消した。

米国の諜報機関がこの投資家は中国政府の隠れ蓑で、”Aixtron”の先端技術を軍事部門、それも核施設に応用する危険があるとドイツ政府に警告したのがその原因といわれている。同時にドイツ政府はすでに許可していたドイツの電灯メーカー、”Osram”の白熱電灯部門の中国企業への売却許可も無効にして、再度、検討をしている

独中関係の険悪化

ドイツは他のEU諸国と違って、外国からの企業買収に優しい環境にある。これを利用して中国企業が次々にドイツの会社を買収していくと、政府はドイツのノウハウが簡単に外国企業、とりわけ中国企業に買い取られていくことに懸念を抱きだした。

通産大臣は、「中国企業がドイツ企業を買収するなら、中国政府が中国国内でドイツ企業に課している制限を撤廃。中国企業と同じ立場で活動できるようにせよ。」と始めて中国の買収に対して、”Nein”を突きつけた。

これは共産党政権のご機嫌を損ねた。通産大臣は”Osram”の中国企業による買収を大臣の勅命でストップした後、定例の中国訪問に出かけたが、中国の通産大臣は予定されていた会談を直前にキャンセルして、中国側の不快感を表明した。首相はまるで阿部首相を迎えるような冷ややかな態度でドイツの通産大臣を迎えはしたが、中国のメデイアには緘口令が出されて、ドイツの大臣が訪問している事は、テレビでも新聞でも報道されなかった。

こうして中国とドイツの関係は、これまでの蜜月ムードから、一気に緊張ムードに悪化した。ドイツ企業は日本と中国政府間の関係悪化を利用して、中国で市場占有率を広げていった。しかしドイツが、「これまでのようにはいかないよ。」と中国に警告を発した今、これまでのような一人勝ちはできなくなりそうだ。そして中国にとっては喉から手が出るほど欲しい最先端技術が欠けることになる。これが日本企業のチャンスとなるだろうか。

*1
旅客機業界は、成功すればリターンも大きいが、新参者の進出がとりわけ難しい分野だ。「日本の技術力があれば、他社同様、あるいはもっと優れた航空機を製造できる筈だ。」という愛国心は理解できるが、旅客機は優れた飛行機さえ作れば勝手に売れるものではない。そのいい例が”Fokker”社だ。

20世紀初頭にオランダ人がベルリンで作った航空機会社フォッカーは、第一次、第二次大戦中、数々の名機を生産した。とりわけ「レッドバロン」の異名で知られるフォン リヒトホーフェン男爵の三翼機は有名で、日本の三菱重工とよく似た過去を持っている。戦争後は、本社をオランダに移して小型旅客機を製造していた。

80年代、政府から補助金をもらって画期的な小型旅客機の製造を開始したが、開発費がうなぎのぼりで、会社の経営が傾き始めた。当初開発されたFokker50(50人乗り) Fokker100(100人乗り)は合計しても500機ほどしか売れなかった。会社の命運をかけてFokker70(79人乗り)の開発をしたが、たったの47機しか売れず、親会社のダイムラーがこれ以上の融資を拒否、同社は1996年に倒産した。

倒産した”Fokker”社はオランダ人の誇りを大きく傷付けた。とりわけまたしてもドイツ人が同社に止めを刺したことが、オランダ人の愛国心に訴えた。同社倒産後、オランダ人は”Netherlands Aircraft Company”を創立すると、航空機部門を”Rekkof”と命名した。これは”Fokker”を逆さに呼んだ名前だった。

同社はフォッカー社の資産を買うと、2016年にはついに新型の旅客機“Fokker130″(定員130人)を開発したと発表した。この定員数はエアバスのA318とA320のちょうど間。果たしてチャンスがあるだろうか。そして”MRJ90″は日本企業の成功話になるのか、それとも第二のフォッカーになるのだろうか。

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執筆者:

nishi

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