ドイツの達人になる 賃貸

ドイツでアパートを借りるコツ – 書類の準備を忘れずに!

投稿日:2015年8月17日 更新日:


ドイツのアパートのキッチンは排水溝だけ

「今年の6月から施行された法律により、ドイツ国内で不動産を借りる場合、不動産業者を通しても手数料がかからなくなった。」と多くのドイツ人が信じている。この解釈は間違いです。言葉に不自由しないドイツ人がこの様なので、日本人を始めとする外国人が間違っていても仕方ない。

Bestellerprinzip / 注文者原則

「でも、ドイツ人から同じことを聞きました。」と言われる方、そのドイツ人の言うことは正しくありません。法律改正後、“Bestellerprinzip”(注文者原則)が導入されました。すなわち「不動産屋の手数料は、不動産屋に仕事を頼んだ者が支払う。」という事です。

「今度、デユッセルドルフに留学しするので、アパートを探してください。」と不動産屋に不動産探しを依頼した場合、あなたが手数料を払うことになります。「いや、その場合でも大家が手数料を払う。」とドイツ人は間違っていることを主張するので、騙されないように。

ただし、もし良心的な不動産業者が居て、すでに大家から手数料をもらって賃貸人探しを依頼されている物件を紹介され、この物件を契約した場合、手数料は払わなくて済むかもしれない。

不動産業者-生き残りをかけた戦い

個人で不動産を賃貸している大家は、これまでのように「手数料は賃貸人が払うから。」と気軽に不動産業者を使用できなくなった。日本の不動産業界と違い、ドイツでは各不動産会社は契約している物件を独占的に賃貸する。

その不動産市場で生き延びるには、いい物件、それも家賃が高い物件を多く押さえることが、失敗と成功を分ける。しかし大家が手数料を払うようになると、大家は不動産会社を使うことを躊躇、不動産屋が抱える物件が一気に減った。仲介できる物件の数が減ると、収入も減って、個人で営業している小さな不動産業者は会社の看板を下ろすことを余儀なくされている。

法律の改正を生き延びた不動産会社は、「手数料がかかってもいいから面倒な賃貸人探し、とりわけ賃貸人の選抜は不動産会社に任せたい。」という太っ腹の大家を数多く抱えている会社に絞られた。生き延びた会社でも、仲介できる物件の戸数は明らかに減っており、不動産の賃貸から売買に商売の重点を移すことを余儀なくされている。

中には消費者の無知を利用して、いかがわしい方法で手数料を賃貸人から取ろうとしている不動産屋もある。ドイツの不動産屋は契約している物件を有名なインターネットのサイトに掲載、興味をもった賃貸人がアパートの住所を問い合わせたり、見学のアポイントを取る形だ。

日本のようにわざわざ不動産屋までいくことはない。そこでネットで適当な物件を探し、「住所を教えてください。」と不動産屋にメールを送ると、”Expose” と呼ばれる物件の掲示内容がメールに添付されて送られてくる。ドイツ語でびっしり書かれた書類をじっくり読むと、最後のページに、「あなたは不動産の”Expose”を請求したので、手数料が発生します。」などと書いてある。

事前に、「”Expose”をは有料です。」と書かれていない限り、そのような請求は”nichtig”(無効)なので、払う必要はない。

2週間の契約解約期間

もしおかしな文書が届いたら、「契約に同意した覚えはない。契約に申し込んでいるというなら、直ちに契約の破棄を通告します。」と、(ドイツ語で)、返事を書いて返信すればよい。怪しげな業者は、日本でもドイツでも居るものだ。

中には賃貸詐欺で生計を立てている人もいる。物件の見学を希望すると、「鍵を送るから、まずは保証金を送金してください。」などというメールが届くことがある。

保証金は賃貸契約が結ばれてから送金するものだ。保証金を見学の条件にしているのは、100%詐欺です。詐欺師の常套手段は、「ドイツに住む叔父のアパートを相続しましたが、イギリスに住んでいるので自分では住めず、賃貸人を探しています。」とか、「ドイツで(有名企業に)勤務しているときにアパートを買いましたが、今、スペインに住んでいるので、借り手を捜しています。」というもの。こんな手に騙される人が居るのかな?と思う方も多いだろうが、被害は後を絶たない。

空前の住宅ブーム

ネットに掲載された新しい物件を見て、すぐに電話、翌日の見学のアポイントを取った。てっきり見学に売るのは自分だけだと思ってたら、なんと7人もやってきた。ネットに掲載されてから48時間しか経ってないのに。アウグスブルクでこの様だから、ハンブルク、ミュンヘン、あるいはベルリンになるとさらにひどい。20人を越える入居希望者がやってくることもあり、とても一人一人、見学のアポイントを取る事はできない。

そこで “Sammelbesichtigung” と言って、不動産屋が「8月20日、18時から。」と見学の日時を指定する。見学に行ってみると、20人を越える希望者がやってくるので、アパートの外まで長い列が出来ている。まるでフッセンのお城の見学状態だ。ただしここで見学するのは、城ではなく、単なるアパート。

家賃は上昇の一途

とりわけベルリンの家賃上昇率はすさまじく、この数年で56%も家賃が上昇した。もっともこれには理由があり、これまでベルリンの家賃は、ベルリンの面積が広いこともあって、世界の首都の中では家賃がとりわけ安かった。

その安い家賃とよく整備されたインフラ設備(電車、バス、学校、医者、スーパー)惹かれて人が集まり、このような家賃の上昇をもたらしている。家賃が上昇している事はネックだが、日本に比べば家賃はまだ安い上、不動産屋に払う手数料はないし、日本と違ってアパートの鍵の交換は大家がやるし、家賃保険など存在していないし、礼金もないので、ミュンヘン、ハンブルクでなければ、日本よりも安くアパートが借りられる。もしアパートが借りられたらの話だが

建前を省略して率直に言えば、ドイツ人の大家が10人、ひどいケースでは20人もいる希望者の中から、よりによって日本人を選ぶ可能性は高くない。まずはこれを肝に銘じておこう。大家が賃貸人として最も好むは公務員。景気、能力に関係なくお給料が保証されているからだ。次が会社員。運よくこの職業についている場合は、見学の日に過去3か月分のお給料明細(コピー)を持参する事。

これがないと見学を断られることもある。ドイツでも自営業者は大家さんには歓迎されることはない。すでにドイツで自営業者として働いている場合は、去年の確定申告のコピーを持参しよう。日本から来たばかりで、給料明細も確定申告書もない場合、アパートを借りのは至難の業。

雇用契約書があればこれを提示することで、給料明細の代わりになるかもしれない。大家さんがアパートを貸したくない人は、自営業者、外国人、独り者(順不同)。もしこの三要素がすべて揃ってる場合、アパートの契約まで涙ぐましい努力を要求される。

ドイツでアパートを借りるコツ – 書類の準備を忘れずに!

他の希望者は見学後に書類を出すので、他の希望者を出し抜くことができる。中には見学の際にこの書類を持参することを要求している不動産屋もあり、書類が一部でも欠けると、「書類がないので、見学できません。」と見学を断わられることもあるので、まずはアパート探しの前に書類を準備しよう。

大家、あるいは不動産会社が要求するのは、まずは収入の証明だ。これに”Selbstauskunft”という書類が必要になる。これは自分自身に関する書類で、通常は不動産会社が入居希望者にこの書類を渡してくれる。

しかしそこに記入する内容は同じなので、あからじめ自分で用意しておくこともできる。そうすれば毎回新しい書類に記入する必要がないし、不動産会社にも「この人はしっかり準備している。」といい印象を与えることができる。

厳しい大家はその他に、Schufaのスコア(査定)を要求してくる場合もあるが、そのような大家はこれまではあまり多くない。もうひとつ大事な書類は、これまでアパートを借りていた大家からの、「ちゃんと家賃を払ったので、滞納金はありません。」という一筆も必要になる。日本から来たばかりだとこの書類はないので、他の賃貸希望者と比較されるとマイナス点となる。

あとはパスポート、あるいは身分証明書のコピーが揃っていれば、書類の上では万全の準備をした事になる。

書類も大事だが、同じように大事なのは、大家さん、あるいは見学を仕切っている不動産屋のお兄さん、お姉さんを味方にする事。約束の時間の少し前に行くと、しっかりした不動産屋なら、同じように時間の前にやってきている。

この機会を利用して、「世間話」をする事が、とっても大事。というのも大家に賃貸希望者を勧めるのは不動産屋の社員だからだ。ウマが合えば、外国人であっても、自営業者であっても、書類が一部かけていても、大家に推薦してもらえる。

中には不動産屋が、賃貸人の決定権をもっている場合もあるので、不動産屋の人間と仲良くなれると、とても優位になる。当然、第一印象が大事なので、一番最初に合った際は相手の目をみながら、しっかり握手しよう。ドイツ人は、「うしろめたい事をしていると、目をまっすぐに見れない。」と信じているので、相手の目を見据えて握手すると、それだけで信用を与えることができる。

あとは忍耐

メールで応募しても、返事が来ないことの方が多い。数回問い合わせただけで、アパートの契約は取れるものではありません。しかし失敗と挫折を繰り返すうちに、相手(大家、不動産会社)が何を求めているか、次第にわかってくる。

どうして契約が取れなかったのか、失敗から学んで、次回はもっといい自己紹介の仕方を覚えることができる。これまでは何も考えずに記入していた書類の書き方を改善、相手にアピールできる自己紹介の方法を(必要に迫られて)覚えられる。

すると遅くても2ヵ月後には、外国人、自営業、独り者、収入を証明する書類がないという最悪の条件でも、ドイツ人の希望者を押しのけて、契約にたどり着くことができる。大事なのはうまくいかなかった応募から学んで、次回の応募に役立てること。忍耐強く努力すれば、アパートの契約は取れます。

 

-ドイツの達人になる, 賃貸

執筆者:

nishi

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