ドイツの最新情報 ドイツの経済

オペル復活?

投稿日:2018年10月29日 更新日:


全然カッコよくなったオペル。

もう1年以上前の話になるが、米国大手の車メーカーGMは小会社であるドイツ車メーカーオペルを、フランスの車メーカーに売却した。過去18年間赤字を出し続けて重荷になっている子会社を手放し、親会社の採算を改善するのが狙いだ。一方、買い手のPSAは、「ドイツ車を買いたいが、BMWやメルセデスは高くて買えない。」という客層を掴むことを、このデイールに期待した。

オペル改革案

PSAの思惑とは異なり、「オペルの持ち主がフランス人に移っても、赤字体質は変わりやしない。」という意見が支配的だった。そのような悲観的な意見に聞く耳をもたなかったのが、PSAの社長のポルトガル人。同氏は国の補助金で倒産の憂き目から救われたPSAを改革、他の車メーカーがうらやむような利益を出す会社に転換させていた。

にもかかわらず、「オペルは別格。GMが18年かけても改革できなかった会社を、改革できるどうか非常に疑わしい。」と誰もが思っていた。会社の所有権が移ると、ポルトガル人は早速、人員削減に手をつけた。労働組合との交渉の末、退職金をもらって自主的に辞めていく社員、早めに定年退職する社員、フルタイムから半日勤務への転換の希望者を募る人員削減方法で同意に達した。

参照元 : Frankfurter Allgemeine

この方法で削減されるのは3500人。この削減数はドイツ国内のオペル従業員の20%に相当する大掛かりなもの。労働組合はこの自主退職を飲む一方で、今後5年間はオペル内での人員削減をしないという約束をとりつけた。オペルの労働組合も、この交渉にオペルの将来がかかっていることを知っていたので、双方が我慢できる妥協案を見出すことができた。

20年ぶりの黒字

そして2017年7月、PSAは小会社のオペルが2018年の上半期で5億ユーロを超える黒字を出したと発表、車業界、経済界を驚かした。

参照元 : NTV

というのも2018年のオペルの市場占有率は、去年よりも減退しているのだ。車の販売台数が減っているのに、このポルトガル人はどうやってあのオペルでこんなに高額の利益を出すことができたのか?その方法は、まさにポルトガル人の敏腕社長がPSAの改革で行なった方法と同じだった。

まずは人員削減で固定費を減らす。そしてグループで部品を共用、部品メーカーに大量注文することで単価を下げた。最後には車の販売台数ではなく、車を幾らで売るかという点に焦点を変えた。これにより販売台数は減ったが、台数あたりの販売価格が上昇、固定費、部品費用の削減が手伝って、オペルがほぼ20年ぶりに黒字を出すことが可能になった。

オペルの将来

オペルが黒字を出すことに成功した車は、前の所有者、GMの下で開発されたもの。今後販売される車両は、フランス人がフランスで開発、最後の仕上げだけはドイツで行なう。すなわち名前はオペルだが、部品からエンジンまで、中身はPSA。これによりさらにコストの削減が期待できるが、喜んでばかりもいられない。

オペルの今のイメージ/デザインが大きく変更されて、プジョーやシトロエンのような車になるのでは?と心配する声も聞かれる。これにより今までオペルを買っていた客が韓国車や日本車に乗り換える危険もないわけではない。果たしてオペルは敏腕社長の下で復活することができるだろうか。

 

-ドイツの最新情報, ドイツの経済

執筆者:

nishi

comment

関連記事

チュニジアの留学生 | ドイツの最新情報 | ドイツ留学専門店 Pfadfinder24

チュニジアの留学生

故国送還を待つ難民。 1997年、チュニジアから留学生がドイツにやってきた。当初、デユッセルドルフの郊外にある町、クレーフェルドで繊維加工技術について学んだが、学業を変更、情報学と電気工学に変更した。 …

Pfadfinder24 | ドイツの最新情報 | デイーゼルエンジンの終焉近し?

デイーゼルエンジンの終焉近し?(02.08.2017)

デイーゼルエンジンに未来はあるのか? この記事の目次 デイーゼル禁止令ソフトのアップデート判決 デイーゼル禁止令 よりによってダイムラーベンツのお膝元のシュトゥトゥガルトで、市議会が全国の先陣を切って …

新旧入れ替わり  (29.03.2017)

ドイツ鉄道の社長のGrube氏は2016年9月、ジーメンスから納入された最新型のICE車両「4型」をプレスに紹介した。2010年に注文を出してから、トラブルに続くトラブルで納入時期は大きく遅れた。当時 …

Pfadfinder24 | ドイツの最新情報, ドイツの経済 | 電気自動車競走の幕開け

電気自動車競走の幕開け! (15.11.2016)

ドイツの車メーカーで唯一、大衆向けの電気自動車を製造しているのは、よりによって万年赤字のオペル。 この記事の目次 電気自動車販売令トヨタの3番の販売数を誇るVW千載一遇のチャンスの到来 電気自動車販売 …

スタートアップ長者の死 | ドイツの最新情報, 犯罪 | Pfadfinder24

スタートアップ長者の死 (28.07.2016)

事故を装って、実は南国で乾杯? この記事の目次 軽飛行機墜落成功と失敗真似をする者が続出商品券無料進呈一か八かの賭けUnister倒産陰謀説 軽飛行機墜落 2016年7月14日、スロヴェニアで軽飛行機 …