ドイツの達人になる 規則、法律

ドイツ人に人気!休暇旅行は安くて安全な団体旅行!

投稿日:2018年7月20日 更新日:


待ちに待った休暇!

ドイツでは休暇の日数まで法律で決まっています!冗談ではなく本当。法律の名前は”Das Bundesurlaubsgesetz”。日本語に直すと全国共通休暇法。 週5日勤務の場合は、最低年間20日の休暇を与えることが義務です。これは最低です。

私が就職した会社では、24日ありました。この辺も大事な点ですので、就職契約の点では、しっかりチェック、あるいは交渉しましょう。週末は休暇にカウントされないので、これだけあれば、1か月も連続で休暇に行けます!

ドイツではこの休暇をどこでどのように過ごすか?これが一年のメインイヴェントです。ネットが発達した今でも、旅行代理店に相談に行って掘り出し物を探すのがドイツ流。

ドイツ人に人気!休暇旅行は安くて安全な団体旅行!

ドイツ人に人気な休暇旅行は、”Pauschalreise” と呼ばれる団体旅行/パッケージ旅行です。パッケージ旅行とは、旅行主催者にフライトとホテル(食事)、それにホテルまでの送迎がパッケージでついる旅行を指します。日本で言えば、団体旅行に近いです。

これを発案したのは英国の旅行主催者、トーマスクック。本来はバラバラだったフライト、ホテル、そして食事まで含んだパッケージにすることで、利鞘を大幅に上昇させることに成功。以降、一気に欧州内に広がっていきました。

何故、個人主義者のドイツ人が、他の人と同じ団体旅行を優先するのか?有り得ないコンビネーションですが、それには勿論、理由があります。一番の理由は安いからです。個別に自分で予約、手配するよりも2割は安いです。家族旅行ですから、数千ユーロの費用。その2割は大きいです。

次の理由は、パッケージ旅行は安全だからです。折角の待ちに待った休暇。ところが予約したホテルが全焼!あるいは航空会社が倒産!?そんな際には、旅行主催者が別のホテル、別のフライトを手配する義務があります。

旅行主催者が倒産?

「でも旅行主催者が倒産したらどうするの?」「やっぱり休暇はご破算?」とならないように、ドイツでは旅行主催者が保険に加入するのが義務になっています。パッケージ旅行を予約すると、旅行主催者は必ず、”Sicherungsschein”(旅行保証書)を発効します。旅行主催者が倒産した際には、これを提示すればお金が戻ってきます。安全性はそれだけではありません。

始めて行く旅行先では、「ビーチまで徒歩3分。」と書かれているのに、実際には10分以上かかるなんてよくある事。あるいはプールが工事中で使えなかったり、ホテルの横が工事現場!うるさくて眠れない!4つ星ホテルで予約したのに、3つ星だった!苦情の種類は星の数のようにあります。

個人旅行でホテルを予約、隣が工事現場だとホテルに文句を言っても、「うちのホテルの工事じゃないから、苦情は工事現場に言ってくれ。」と取り扱ってくれません。しかしパッケージ旅行の場合は、予約前、予約後に工事が始まった場合は、「隣が工事中です。」、「プールが修理中で使えません。」などなど、客に伝える義務があります。

旅行不具合

これをしていない場合は、”Reisemangel”(旅行不具合)なり、消費者には「お金を返して!」と払ったお金の一部返還を請求する権利が生まれます。もっともそれには条件があります。パッケージ旅行では現地に旅行主催者から派遣されている現地アテンダントが居ます。ほぼ毎日ホテルにやってきて面談を行なっていますので、欠陥、不具合があった場合は、この面談で苦情をはっきり伝えましょう。

 

厳密に言うと、旅行者はアテンダントに旅行上の不具合を報告して、旅行主催者にこの不具合を解消するチャンスを与えなくてはなりません。これをしないで、「約束が違う。他のホテルに泊まります。」とやってしまった場合、旅行主催者に問題をクリアするチャンスを与えなかったので、返金を要求する権利は抹消します。

さらにいいのはこのアテンダントから、「ホテルの不具合について、報告を受けました。」という簡単なメモに、サインをもらっておくこと。ドイツに帰ってきたら旅行主催者に、「不具合があったら、お金を返して。」と請求すると、「そのような不具合は報告されておりません。」とまずはブロックしてきます。そこでこの証拠書類が物を言います。

帰国のフライト変更

出発、帰国のフライトが変更されるのは、残念ながらパッケージ旅行にはつき物です。休暇の翌日に大事な面接やアポイントがある場合は、1日早めに帰ってくるように計画してください。後から旅行主催者にお金を返してもらっても、逃した面接、アポイントは取り戻せません。

では、フライトがどの程度遅れたら、あるいは早くなったら、旅行不具合になるのか。これは基本的に4時間です。フライトが4時間早くなり、朝の3時に空港に行くようになった場合など、これは間違いなく旅行不具合です。

裁判例を紹介してます。トルコで休暇をしたカップル。帰国のフライトが遅延。いつになったら飛べるのか、説明がありませんでした。そこで自腹でチケットを買って、帰国。その後、旅行不具合としてチケット代金の返済を求めましたが、旅行主催者は、「アテンダントに相談することなく、勝手にフライトを買った客が悪い。」と支払いを拒否。

この一件はドイツの最高裁までいき、最高裁は「アテンダントが客に情報を伝える義務を怠った。」として、旅行主催者にチケット代金を返金するように命じました。

参照元 : Manager Magazin

このようにパッケージ旅行は安全なので、ドイツで最初に予約する旅行はパッケージ旅行がお勧めです。旅行先が気に入れば、次回からは個人旅行でいけばいいです。最近では航空チケットを買うと、「現地のホテルを予約しませんか。」とリンクが貼られていることがあります。このリンクを使用してホテルを予約した場合は、パッケージ旅行になると欧州裁判所が判断しました。

この場合は、上述のようににパッケージ旅行と同じ保障が受けれます。不具合が実際に発生、チケットを買ったサイトに返金を要求すると、「関係ない。」とブロックしてきます。ここで活躍するのが弁護士保険。ドイツで生活を始めたら、弁護士保険には必ず加入しましょう。泣き寝入りをしたくなければ。

 

 

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執筆者:

nishi

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