ドイツの達人になる 規則、法律

個人旅行、それともパッケージ?

投稿日:2018年7月20日 更新日:

ドイツ留学される方からいただく質問で最も人気なのが、「他の方はどうしていますか。」というもの。その逆がドイツ人。個人主義者のドイツ人は。「他の人間がすることなんか、関係ない。」と、あくまでも自分の嗜好を最優先します。「他の人はどうしてますか。」は、ドイツ人には有り得ません。それどころか、「他の人がしていることを聞いて、それが俺に何の役に立つ。」と、頭を傾げます。そのドイツ人でさえも、大事な休暇旅行になるとパッケージ旅行を優先します。パッケージ旅行とは、旅行主催者にフライトとホテル(食事)、それにホテルまでの送迎がパッケージでついる旅行を指します。日本で言えば、団体旅行に近いです。

何故、個人主義者のドイツ人が遇えて他の人と同じ団体旅行を優先するのか?有り得ないコンビネーションですが、それには勿論、理由があります。一番の理由は安いからです。個別に自分で予約、手配するよりも2割は安いです。家族旅行ですから、数千ユーロの費用。その2割は大きいです。次の理由は、パッケージ旅行は安全だからです。折角の待ちに待った休暇。ところが予約したホテルが全焼!あるいは航空会社が倒産!?そんな際には、旅行主催者が別のホテル、別のフライトを手配する義務があります。

「でも旅行主催者が倒産したらどうするの?」「やっぱり休暇はご破算?」とならないように、ドイツでは旅行主催者が保険に加入するのが義務になっています。パッケージ旅行を予約すると、旅行主催者は必ず、”Sicherungsschein”(旅行保証書)を発効します。旅行主催者が倒産した際には、これを提示すればお金が戻ってきます。安全性はそれだけではありません。

始めて行く旅行先では、「ビーチまで徒歩3分。」と書かれているのに、実際には10分以上かかるなんてよくある事。あるいはプールが工事中で使えなかったり、ホテルの横が工事現場!うるさくて眠れない!4つ星ホテルで予約したのに、3つ星だった!苦情の種類は星の数のようにあります。個人旅行でホテルを予約、隣が工事現場だとホテルに文句を言っても、「うちのホテルの工事じゃないから、苦情は工事現場に言ってくれ。」と取り扱ってくれません。しかしパッケージ旅行の場合は、予約前、予約後に工事が始まった場合は、「隣が工事中です。」、「プールが修理中で使えません。」などなど、客に伝える義務があります。

これをしていない場合は、”Reisemangel”(旅行不具合)なり、消費者には「お金を返して!」と払ったお金の一部返還を請求する権利が生まれます。もっともそれには条件があります。パッケージ旅行では現地に旅行主催者から派遣されている現地アテンダントが居ます。ほぼ毎日ホテルにやってきて面談を行なっていますので、欠陥、不具合があった場合は、この面談で苦情をはっきり伝えましょう。厳密に言うと、旅行者はアテンダントに旅行上の不具合を報告して、旅行主催者にこの不具合を解消するチャンスを与えなくてはなりません。これをしないで、「約束が違う。他のホテルに泊まります。」とやってしまった場合、旅行主催者に問題をクリアするチャンスを与えなかったので、返金を要求する権利は抹消します。

さらにいいのはこのアテンダントから、「ホテルの不具合について、報告を受けました。」という簡単なメモに、サインをもらっておくこと。ドイツに帰ってきたら旅行主催者に、「不具合があったら、お金を返して。」と請求すると、「そのような不具合は報告されておりません。」とまずはブロックしてきます。そこでこの証拠書類が物を言います。

出発、帰国のフライトが変更されるのは、残念ながらパッケージ旅行にはつき物です。休暇の翌日に大事な面接やアポイントがある場合は、1日早めに帰ってくるように計画してください。後から旅行主催者にお金を返してもらっても、逃した面接、アポイントは取り戻せません。で、フライトがどの程度遅れたら、あるいは早くなったら、旅行不具合になるのか。これは基本的に4時間です。フライトが4時間早くなり、朝の3時に空港に行くようになった場合など、これは間違いなく旅行不具合です。

裁判例を紹介してます。トルコで休暇をしたカップル。帰国のフライトが遅延。いつになったら飛べるのか、説明がありませんでした。そこで自腹でチケットを買って、帰国。その後、旅行不具合としてチケット代金の返済を求めましたが、旅行主催者は、「アテンダントに相談することなく、勝手にフライトを買った客が悪い。」と支払いを拒否。この一件はドイツの最高裁までいき、最高裁は「アテンダントが客に情報を伝える義務を怠った。」として、旅行主催者にチケット代金を返金するように命じました

このようにパッケージ旅行は安全なので、ドイツで最初に予約する旅行はパッケージ旅行がお勧めです。旅行先が気に入れば、次回からは個人旅行でいけばいいです。最近では航空チケットを買うと、「現地のホテルを予約しませんか。」とリンクが貼られていることがあります。このリンクを使用してホテルを予約した場合は、パッケージ旅行になると欧州裁判所が判断しました。この場合は、上述のようににパッケージ旅行と同じ保障が受けれます。不具合が実際に発生、チケットを買ったサイトに返金を要求すると、「関係ない。」とブロックしてきます。ここで活躍するのが弁護士保険。ドイツで生活を始めたら、弁護士保険には必ず加入しましょう。泣き寝入りをしたくなければ。

 

早くプール際でのんびりした~いっ!

 

 

-ドイツの達人になる, 規則、法律

執筆者:

nishi

comment

関連記事

社長詐欺 | ドイツ留学専門店 | ドイツの達人になる, 詐欺、盗難

社長詐欺

社長は中国に出張中? ここで取り上げる記事の多くは、ドイツに留学される、あるいはドイツに滞在されている個人を対象にしたものです。何もわからない国で生活を始めると、遅かれ、早かれ、いずれはトラブルに遭遇 …

ドイツのゴミ収集容器

ゴミの出し方 (16.09.2014)

“Vorneweg”(まず最初に)、日本には世界に例を見ない複雑怪奇なゴミの収集システムが存在する。「海外ではもっと効果的にゴミを回収、リサイクルしている。」と日本人は思ってい …

目指せ 一攫千金!(17.06.2016)

中国の経済が毎年10%+も成長していた頃、「危険は承知です。でも中国株に投資してみたい。」という方が多かった。しかし当時は外国人、それとも素人が中国本土の会社の株を直接買うことは不可能で、銀行が出して …

アパートの工事現場

悠々自適の年金生活? その弐 (17.12.2014)

「金を大量に市場に流通させると、ハイパーインフレーションが起きる。」というドイツ人の心配にもかかわらず、欧州のインフレ率は下落し続けた。イタリアやフランスでは遂に軽いデフレに陥り、欧州全体でのインフレ …

サッカー留学  (17.01.2018)

ルーマニアやブルガリアなどでは、「ドイツに行って働いてみませんか。」という広告があちこちで見受けられる。こうした案内を真に受けて人材派遣会社に行くと、「週40回時間程度、ホテルやレストランで働くのが仕 …