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税金天国?(28.04.2018)

投稿日:2018年7月13日 更新日:

以前、パナマペーパーにてお金持ちから政治家の脱税が暴露された際、ある記者が財政委員会の長官に、この”Tax heaven”(税金天国)についての見解を尋ねたことがある。すると長官は、「私にとっても税金天国とは、皆がちゃんと税金を納めている国を指します。皆さんの言う税金天国とは観念が異なるかもしれません。」とユーモアのある回答をして、記者団に笑いを巻き起こしたことがある。実際、英語の表現、あるいはドイツ語の”Steuer Oase”(税金のオアシス)は曖昧な表現で、この場合は日本語の脱税天国のほうが事実を正確に描写している。

そして脱税天国と言えば、ケイマン諸島やヴァージン諸島、それにパナマ文書で有名になったパナマを連想するが、実はEU内にも随所に脱税天国が存在している。例えばルクセンブルク。欧米の大企業はルクセンブルクに欧州本社を置くことで、ドイツやフランスなどの欧州国内であがる収益から税金を払わないで済ましている。その方法は簡単で、まずは本店が支店に請求書を発行する。フランス支店やドイツ支店はこの請求書を清算するように見せかけてルクセンブルクの本店に利益を送金、ここで税金を払う。そのお返しにルクセンブルク国家は、バーゲン価格の3%の企業税率を提供、国がらみで20年以上も脱税を働いてきた。この脱税方法がリークすると、ルクセンブルクはさんざんメデイアで叩かれた上、欧州委員会から脱税により散々な罰金を額を命じられて、ルクセンブルクの脱税天国は使えなくなった。

ところがEU内の脱税天国は、ルクセンブルクばかりでなない。アイルランドやオランダ、それにキプロスは未だにルクセンブルク式の脱税を堂々を提供している。アイルランドの企業税率は12.5%と、欧州内でも最も低い税率のひとつだ。当然、マイクロソフトからグーグル、それにアップルからサンドイッチのチェーン店までここに欧州の拠点を置いている。こうした大企業がアイルランドの12.5%の税金を払っていれば合法だが、アイルランドの本店からさらにオランダの拠点に利益を送金する。こうした利益秘匿の努力の甲斐があって、こうした大企業は3%程度の企業税しか払っていないことがEU委員会の調査で明らかになった。もっとも極端な例はアップル社で、100万ユーロの利益(売り上げではない)に対して、たった50ユーロの税金しか払っていない

EU委員会から制裁と罰金で脅されたアイルランドは長く抵抗したものの(裁判で負けてから)、EU委員会に降参、アップル社に対して過去の脱税額130億ユーロを要求している。不可解なのはEU委員会はEU加盟国が大企業を誘致するために利用している脱税手口を知っているのに、一向にこれを阻止しようとしないこと。ここで紹介してる脱税方法は未だにアイルランド、オランダ、そしてキプロスでは合法で、アップル社のような無茶な脱税をしない限り、罰せられることがない。もっと不可解なのは、パナマ文書などの秘密の露呈がある度に、EU財政委員会は脱税天国を干からせるべく努力しているが、脱税を防ぐ法案がEU議会に出る度にドイツの反対に遭い、闇に葬られていること。アイルランドなどの産業基盤のない国から脱税と取り上げることで第二のギリシャを創設するのを恐れているのか、それとも政治家が袖の下をもらってこれを阻止しているのか、その理由は不明だ。

皆まで言えばドイツも脱税天国のひとつで、バハマ諸島よりもさらにいい加減な脱税対策を非難されている。その方法は至極簡単。麻薬販売などの組織犯罪で集めた金で、ドイツでアパートを買う。このアパートを賃貸、あるいは転売することで、犯罪で集めた汚れた金を簡単に洗濯できてしまう。アパートを買うほどの多額の金でなければ、ドイツで高級車をキャッシュで買う。あとはこの車を海外に持ち出して転売すれば、全く足がつかない。ドイツ政府は犯罪組織がドイツ車をマネーロンダリングに使っていることを知っていながら、長らくこれを傍観していた。犯罪だろうがなかろうが、売れるのはドイツ車なので、これを「妨害」するのはドイツ政府の仕事ではないと判断していた。「バハマよりもひどい脱税天国」と非難されてからドイツ政府は重い腰を上げ、1万5000ユーロ以上の現金購入では購入者の名前、居住先などのデータを税務署に連絡、さらにマネーロンダリングに使用される可能性が否定できない場合は、車を売却してはいけないことになった。もっとも5万ユーロの車を買いに着た客を断るデイーラーは多くないのが現状だ。

2018年、EUは脱税天国のブラックリストを作成、公開した。これほど欧州内に脱税天国があふれているのに、欧州の国はひとつもこのリストに上がってい。その代わりに名指しで脱税天国と非難されたのは、パナマ、マカオ、モンゴル、アラブ首長国連邦などに加えて、よりによってEUの交易パートナーの韓国が上げられていた当然、韓国はこの面子を塗りつぶす行為に抗議を入れた。EUは韓国の特別経済地域における税金の優遇措置が脱税天国に相当すると主張していたが、「特別経済地域におけるどの税金の優遇措置が、脱税天国に相当するのか。」という韓国政府からの質問は回答されなかった。身内をかばって、海外でのみ粗探しをするこのEU委員会の措置は、EUと韓国との関係、それにEUの名声を大きく損なった。

 

脱税天国?

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執筆者:

nishi

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