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電々通信法改正 – インターネットが早くなる?

投稿日:2021年6月17日 更新日:

電々通信法改正 - インターネットが早くなる?

2021年4月、ドイツで電々通信法 / Telekommunikationsgesetzt が改正された。

法改正の主眼はドイツの遅~いインターネットを、(今度は本当に)本当に早くすること。

全く同じ台詞を10年以上も前から聞かされていなければ、

「えっ、本当?」

と喜んでいたかもしれない。

ただ今回は、これまでとはちょっと違うようだ。

そこで今回はこの電々通信法の改正について、紹介したみたい。

超~遅い ドイツのインターネット事情

ドイツのインターネットは遅い。

ドイツテレコムは数年前までグラスファイバーケーブルをケチって、まだ銅線のケーブルを敷設していた。

2020年以降は流石にグラスファイバーケーブルに変更したが、それは家の前の道路まで。

道路からアパートまでは、未だに銅線が引かれている。

そこでテレコムの商売敵が、道路から自宅までグラスファイバーケーブルを敷設した。

言う間でもなく、テレコムの銅回線よりも全然早い。

しかし回線が二重に敷かれていると、テレコムのVDSL接続とグラスファイバーケーブルが干渉しあって、速度が遅くなることがある。

電話やネット関連はドイツの総務省、”Bundesnetzagentur”の管轄になる。

総務省はそのような事態が起きた場合、

「テレコムは商売敵の回線(グラスファイバー)を切断してもいい。」

というテレコム寄りの判断を下した。

こうした官庁の

「身贔屓」

も、インターネットの速度を遅くしてている。

コロナ禍でドイツの弱点が暴露

もし2020年にコロナ禍が発生しなければ、何も変わらなかったろう。(*1)

ところがコロナ禍で

「ホームオフィス」

や、」

「ホームスクリーリング」

が必要になった。

ところがドイツの遅いネット回線では”Zoom”を使用しても授業や会議が、頻繁に切れて仕事、学校の授業ができないっ!

政府がこれまで目標だけ挙げて、

「グラスファイバー網」

を真面目に敷設してこなった報いが訪れた。

今後、5Gで製造過程をクラウドで調整・管理するなら、グラスファイバー網が欠かせない。

こうしてコロナ禍のお陰で、政府はついに重い腰を上げた。

電々通信法改正 – インターネットが早くなる?

政府が出す

「達成目標」

は、あくまでも目安であって、達成できないことが前提だ。(*2)

だから達成できなくても、問題ない。大事なことは目標を掲げて国民に、

「仕事をしていますよ。」

と宣伝する事。

政府が本気なら、我々が私生活でもやるように、

「目標達成できない場合には、、。」

と、罰則を定める。

そして今回、ドイツ政府はその本気度を示すため、電々通信法の改正にあたり、

「早いインターネットが使える権利」(*3)

を国民に認めるとした。

権利を国民に認めたからには、早いインターネットが使えない場合、国民には損害賠償を求める権利が生まれる。

今回ばかりは本気らしい。

早いインターネットとは?

ここで争点となるのは、

「早いインターネット」

の定義。

野党は

「最低100Mbps」

を要求したが、これでは損害賠償請求の津波がやってくるのは明らか。

そこで政府は政府が保障する

「早いインターネット」

は、30Mbpsとされた。

又、政府の

「早いインターネット保障」

は2022年の半ばから。(*4)

2022年の秋にドイツ留学、アパートで30MBPS出ていない場合は、損害賠償請求できます。

TVケーブル料

同時に幾つか法律の中身も改正された。

これまではアパートの雑費で、

「TVケーブル料」

が計上されて、賃貸人が払うことになっていた。

2022年から、これは雑費として計上できなくなる。

来年、年末調整が届いたら、ちゃんとチェックしよう!

その代わりに大家は、

「グラスファイバー料金」

を5EUR/月だけ請求できる。

1年で60ユーロだ。

契約期間の変更

これまではネットのプロバイダーが2年契約を要求、解約しないと自動でさらに2年延長されていた。

結果、消費者は引っ越し等で大きな負担を強いられてきた。

法改正によりインターネットの契約期間は最長で1年間となる。

そして最低契約期間後を過ぎたら、

「契約は月ごとの更新」

となる。

だから引っ越しになっても、無駄になるのはせいぜい1か月の使用料金だけ。

でも日本同様に法律を守らないプロバイダーは多く、

「契約が2年間更新されました!」

と手紙が届くのは間違いなし。

そんな時は電々通信法を引用して、

「消費者センターに訴えますよ。」

と警告の手紙を送っておこう!

注釈 – 電々通信法改正 – インターネットが早くなる?

*1

ありがとう中国!

*2

一番いい例が、日本政府の二酸化炭素削減目標だ。

参照 : 朝日新聞

*3

“Recht auf schnelles Internet”

*4

正確な日程はグラスファイバー敷設の状況を見て、政府が損害賠償請求が起きない日程を決めます。

-ドイツの達人になる, 規則、法律

執筆者:

nishi

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