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ドイツのテロ対策 改善の余地大あり

投稿日:2017年4月3日 更新日:

ドイツのテロ対策 改善の余地大あり
ドイツのテロ対策 改善の余地大あり

ドイツのテロ対策 改善の余地大あり

ドイツには700名を超えるテロ警戒人物、ドイツ語で”Gefährder”が存在している。

参照 : Deutsche Welle

IS のプロパガンタ ビデヲに洗脳されたイスラム教徒で、頭もあまりよくないため、嘘を見抜くことができない。これまで目標のない人生を送ってきたので、

「イスラムの大義の為に自殺テロリストになれ!」
「大儀のために死ねば、両手にあまる処女が天国で待っている。」(*1)

との呼びかけに賛同してしまう。こうした人物をテロ警戒人物という。

日本なら人権を無視した警察の得意技、

「別件逮捕」

で容疑者を連行、弁護士も付けずに脅迫 & 尋問して、自白を取れば刑務所に送れる。何しろ日本では容疑だけで告訴もされず、300日を超え身柄の拘束ができるのだ。

しかし人権が守られているドイツでは、テロ警戒人物と言えど、人権がある。これを守る必要があり、日本のような摘発は問題外。

そこで諜報機関が活躍するのだが、これが時々、大きなエラーをする。

テロ計画発覚!テロリストを捕まえろ!

ISの会話を盗聴していた米国の諜報機関は、会話の相手が東ドイツのケムニッツに住むシリア人難民であると突き止めた。

これをドイツの諜報機関、”Verfassungsschutz”に通報すると、通報を受けたドイツ側は警察官を派遣して、捕獲目標の監視を始めた。

ところがこの監視がいかにも素人だった。

カメラを抱えた私服警察官が路上から捕獲目標の住むアパートを監視したり、路上から、あるいは車の中から容疑者を監視するなど、あまりにもあからさまに行動していたので、付近の住人でさえ不審に思った。

証拠が十分に揃ったと判断したザクセンの内務省は逮捕状を発行、アル バカー”Al-Bakr”という名前のシリア人を確保するように命じた。

テロリスト徒歩で逃走す!

ザクセン州はテロリスト捕獲に州警察の特殊部隊、”SEK”を動員した。

特殊部隊がアパートに突入している間、制服警官は逃げ道を塞く役目をおおせつかった。ケムニッツ市は非番の警官まで借り出して退路を遮断、テロリストが逃走を企てても「袋のネズミ」となる筈だった。

ところが”SEK”がテロリストの住むアパートに突入すると、そこは蛻の殻だった。

警察の大集合を見たアル バカーは、ご近所の借金の取立てでなく、自身が目標であると確信、警察がピンポ~ンするまで待っていないで、さっさと逃げ出した。

まさにこれを阻止する目的で派遣された警察官は、脱兎のように逃げ出したシリア人を見ると、

「止まれ!」

と叫び威嚇射撃を行ったが、アル バカーはまだドイツ語を習っておらず、止まってはくれなかった。

追走しようにもドイツの警察官は肥満体の上、重武装しているので、シリアの内戦を生き延びたアル バカーの逃げ足の速さについていけなかった。

こうしてケムニッツ警察は、米国の諜報機関が名前まで教えてくれたのに、テロリストをまんまと逃がしてしまった。

早まった警戒解除報道

アル バカーのアパートを捜索した警察は、

「テロの証拠が見つからなかった。」

と発表、住民を安心させた。ところが数時間、アパートから1.5Kgの爆発物と自爆用の腹巻が見つかったと訂正した。これは由々しき事態だった。

アル バカーがテロを計画していたのは疑いようがなく、そのテロリストが爆発物を持って逃走している可能性もあり、ザクセン州ではテロ警報が出されて、

「この顔見たら110番。」

とテレビやネット上で顔写真が公開された。

ところがズブの素人である筈のアル バカーは、警察の操作網をスイスイと抜けて、同じシリア人難民の住むライプチッヒまで逃げることに成功した。

テロリスト受け取り

失敗ばかりの警察の幸いだったのは、

「この顔見たら110番。」

とアラブ語で書いた手配書をネットで公開したこと。これを読んだシリア人の同胞は犯人をかくまわず、3人かかりでアル バカーを取り押さえつけると、延長コードで縛り上げた。

早速、110番したがドイツ語を話せないために、用件を伝えることができなかった。

そこで一人が最寄の警察所にかけつけたが、ドイツ人警察官は外国人に冷たく、「急用がある。」と3時間も待たされた。

3時間後に警察官に通されたが、まだドイツ語を習っていないシリア人は、警察官に指名手配されているテロリストを捕獲していると伝えることができなかった。

一度帰宅したシリア人は縛り上げたアル バカーを携帯でパチリと写真を撮り、警察署に戻ってきた。

血の巡りが悪いケムニッツの警察官も、この写真を見るとようやく指名手配中のテロリストだと悟り、警察を派遣、縛り上げられているアル バカーを有難く受け取った。

ザクセン警察 恥の上塗り

テロ容疑者をまっまと取り逃し、自力ではその逮捕もできなかった警察に対して、

「ザクセンの警察は一体、何をやっとるんだ。」

という非難の声があがったが、ザクセンの恥さらしはまだ終わりではなかった。

ドイツではテロリスト専門の検察、およびその監獄があり、テロリストはここに移送されて、裁判まで集中監視される。

この検察は中央政府の管轄になる。テロリストをみすみす逃して自尊心が傷ついたザクセン州の内務省は、手柄を中央政府に渡すのをためらって、ザクセン州の管轄にある監獄に収容した。

翌朝アル バカーの監房のドアを空けた看視は、Tシャツを器用に引き裂いて縄を作成、首をつっているアル バカーを発見した。

これでザクセン州内務省の名声は、まだ残っていたなら、地に落ちた。

「自爆テロリストが、自殺するかもしれないことがわからないのか。」

というもっともな非難には、

「収容時の健康チェックではそのような兆候は発見されなかった。」

と弁護した。通常、擦りや喧嘩(傷害罪)で検挙された容疑者を収容する監獄が、自爆テロリストの健康診断をするのだから無理もない。

だから州政府のテロリスト専用の監獄があるのだ。

ドイツ諜報機関 人員募集 – ドイツのテロ対策

この一件でも登場した”Verfassungsschutz”をそのまま日本語に直すと、憲法擁護という害のない名前になる。

これは国内諜報を担当するドイツの諜報機関だ。ソビエト連邦の崩壊と時を同じくして左翼テロが事実上消滅してから、人員、予算が減らされた。

ところがフランスにおけるイスラム原理主義者による大規模なテロで、この傾向が一気に変わった。

予算が増やされて、大規模な人員の募集が同機関のホームページで告示された。これをみたスペイン系ドイツ人は、

「3ヶ国語に堪能」

を武器に”Verfassungsschutz”に応募した。

諜報機関に就職するには、応募者の素性を確かめることができる5人の証人を上げる必要がある。

書類審査に合格すると憲法擁護はこの証人に連絡を取り、素性を確認する。素性が確認できて、過去に大きな犯罪を犯していなければ、採用される。

実際、スペイン系ドイツ人も、50歳という年齢にもかかわらず、採用された。それほど人材が足らないのだ。

ドイツ諜報機関への侵入に成功したイスラム 原理主義者

ところがこのドイツ人、実はイスラム教の原理主義者で、仲間を次々と逮捕していく憲法擁護へ復讐をする目的で応募していた。

計画があまりにうまく行ったのに気分がよくなったこのドイツ人は、ネット上でこれを自慢しまくった。

その挙句、

「俺が導いてやるから。」

と、ケルンにある憲法擁護本部を目標にしたテロの参加者を募集し始めた。この募集に応募してしてきた仲間とテロの方法、時期などについて協議、すっかり一人前のテロリストの気分に浸っていた。

ところが数日後、逮捕されてしまった。

というのもチャットルームで

「アッラーアクバル」

聖戦に参加してきた仲間は”Verfassungsschutz”の同僚だったのだ。

そんなことも知らないスペイン系ドイツ人は、裏でIPアドレスから住所を探られているとも知らず、イスラムの正義を謳い、いとも簡単に逮捕されてしまった。

憲法擁護は逮捕したのは同僚である事を秘匿、

「テロリスト逮捕。」

と自画自賛、内務大臣も

「信頼できる諜報機関があって頼もしい。」

とお褒めの言葉を惜しまなかった。

テロリストの過去

日本だったら、この公式発表で終わっていただろう。

ところがドイツのメデイアは甘くなかった。逮捕されたテロリストが憲法擁護に勤める同僚であったこと、さらには(元)ポルノ男優という経歴、それもホモ系の、であることをあっという間に調べ上げると、これを紙面で報道した。

以来、

「憲法擁護はなんでそんなことのわからなかったの?」

から始まって、

「一体、どういう採用基準を採用しているんだ。」

「市民を守るはずの憲法擁護が素人テロリストに侵入されるなら、誰が憲法擁護を守るのだ。」

という嘲りでテレビや紙面は埋め尽くされた。

参照 : stern

これが日本のメデイアと西側のメディアの本質的な違いだ。

ドイツでは政府に都合が悪いことでも、包み隠さず報道される。こうして組織、社会の欠点が発覚、膿が除去されて、健全化する。

ところが日本では面子を重視するあまり、政治家、警察は言うに及ばず企業まで、失態を一致団結して隠そうとする。森友学園問題、加計学園問題、桜の会など快挙に暇がない。

こうして社会、会社のひずみは、何世代にも渡って受け継がれていく。

ドイツのシステムも完璧にはほど遠いが、日本よりも透明性があるのはこのためだ。旧態然の日本の企業が、海外で苦戦するのも無理はない。

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執筆者:

nishi

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