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食料品スキャンダル – オランダ産の卵は危ない?

投稿日:2018年1月10日 更新日:

パックに入った卵
あ、オランダ産じゃん!

ドイツで定期的に発生する食料品スキャンダル。「安けりゃ、安いほどいい。」という消費者の希望を優先するので、誰かが破棄処分される肉やチーズを回収、ラベルを張り替えて販売するのは時間の問題だ。ドイツには肉に水を注射して、肉の重さを文字通り水増して販売しているスーパーもある。

食料品スキャンダル – オランダ産の卵は危ない?

食料品の衛生状態をチェックする公的な機関もあるが、「警告を出すと産業に大被害が出る。」とこれを握りつぶすことも珍しくない。すでに1年近くも前、ベルギーの衛生局がオランダ製の卵から殺虫剤が検出されることを確認した。本来ならEU委員会に報告されて、委員会はEU加盟国にこれを警告するシステムがあるのだが、ベルギーの官僚はこれを握り潰した。

こうして殺虫剤で汚染された卵は、1年近くに渡って生産、販売、食された。ようやく2017年の夏になってからオランダの衛生局が、「卵から殺虫剤が検地された。」と報告したことから、この件はやっと公になった。欧州で卵を購入すると、生産地の刻印がされている。ドイツならDE、オランダならNLだ。

汚染の広がり

当初の発表ではオランダ産、それも特定の生産地からの卵だけ殺虫剤による汚染が確認された。オランダ産の安い卵はデイスカウンター(安売り店)のAlidiに仕入れされていたため、当初はアルデイの客だけの問題のように思われた。ところがこれは事の始まりでしかなく、オランダの複数の生産拠点 から汚染された卵が見つかり、ついで僅かながらドイツ産の卵でも汚染が確認された。

消費者の怒りは当初、汚染された卵を生産したオランダの養鶏場経営者に向けられたが、ドイツのメデイアはこれを予測していたらしく、「オランダの養鶏場の経営者には、消費者同様に責任がない。」と 、はきっり報道した。これがドイツの報道機関の偉いところだ。

養鶏場では病気の発生を防ぐために、定期的に消毒液で養鶏場を消毒をする。この消毒液は植物性で、自然に分解される。万が一鶏の体内に入っても、健康に害を及ぼすことがない。ところがこの消毒液に何故か、殺虫剤が混入していたのだ。汚染された卵が見つかったドイツの養鶏場も、この消毒液を購入していた。検察は消毒液を販売したベルギーの業者が消毒効果を増すために勝手に殺虫剤を導入、これを養鶏場に販売していたと見て、消毒液の製造元の経営者を逮捕した。

非難の応酬

事件の発覚後、欧州内ではベルギー政府に対する非難の声が高まった。何故、1年近くも汚染を知っていながら何も措置を取らなかったのか。お陰で汚染された卵は食されるか、加工品に混入されて、マヨネーズ、サラダ等になり、ドイツはおろか欧州全域、 さらには香港でも汚染された食料品が発見された。果たして日本でも汚染された食料品が見つかったが、そこは不明だ。

非難の嵐にさらされたベルギー政府は、「悪いのはオランダだ。」と責任をかわそうとした。ベルギー政府の言い訳では、オランダの官庁に汚染された卵の報告をしたのたが、数ヶ月返事が来なかったので、事態がここまで悪化することになったという。

仮に話が事実でも、ベルギーはEU委員会に報告する義務があり、ベルギーの落ち度がなくなるわけではない。その後、 ドイツのニダーザクセン州でも、すでに去年に汚染された卵が検地されたのに、何も措置を取らなかったことが判明。当該官庁は酪農家へのダメージを恐れて、警告を後回しにしていた。

現実問題

「それじゃ危なくて、卵を食べる気にならない。」と過剰反応する必要はない。汚染された卵の大部分はすでに食された後。しかるに汚染された卵が原因で病気になった例 は報道されていないので、汚染度は心配するほど高くはない。「そんなことを言っても、半年後に因果関係を見つけるのは不可能だ。」と疑心暗鬼になっている方。汚染された消毒液が販売された養鶏場は残らず衛生局の監察が入 り、汚染された卵はすでに破棄された。

万が一汚染された卵を何処かで見つけても、65Kgの体重の大人が汚染された卵が原因で健康を害するには、毎日、7個の卵を食する必要がある。それもこれまで検地された中で、最高の汚染度の卵をだ。卵を毎日7個も食べる人は居ないだろうから、健康の心配をする必要は全くない。

鶏肉は安心?

「卵は処理されても、鶏肉は危ないんじゃないの。」と心配性な方、卵を産む鶏と、お肉用の鶏は別の養鶏場で飼育されています。そして汚染が発覚した養鶏場の鶏は、念のため焼却処分されたので汚染されたお肉が販売されている可能性は(多分)ありません。今回のスキャンダルの勝者は、ドイツの養鶏場。オランダの卵は悪評が広がり、周辺国はドイツで生産された卵を注文しており、ドイツの養鶏場は嬉しい悲鳴を上げている。

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執筆者:

nishi

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