スキャンダル ドイツの最新情報

ワイヤーカード 粉飾決算・暴露・否定そして倒産

投稿日:2020年6月30日 更新日:

ドイツのトップ企業30社で構成される DAX のメンバー ワイヤーカード が、会社更生法の適用を申請した。ドイツの経済史上、初めての事だ。

あのリーマンショックの時、スキャンダル不動産会社の Hypo Real Estate (今後は短く HRE と略)は、紙屑と化した米国の不良債権を大量の所有している事を隠し続けた。

しかし期末決算では、会計会社に事実を明かすことを迫られた。これをしないと会計会社は”Testat”(問題なしというお墨付き)を拒否する。しかし DAX に上場している会社は”Testat”付きの決算を発表する必要があるからだ。

結果、HRE はボロボロになった決算を発表、株価が暴落、DAX からも降格、その後、倒産した。しかし DAX の現行メンバーが破産したのは、 ワイヤーカードがドイツの経済史上、初めての事だ。

悪い意味で記録を塗り替えたワイヤーカード社、一体、どんな会社だったのか、一体、どんな悪戯を働いたのか、紹介したい。

ワイヤーカード / Wirecard 何している会社?

ワイヤーカードは20年前にスタートアップとして始まった会社だ。

当時は珍しかったオンラインでの品物の購入。私も興味半分でネットで本を注文したことがある。歩いていける距離にある本屋から、本が届いたのは3週間後。支払いにはクレジットカードか、口座からの引き落としのみ可能だった。

ワイヤーカードの創設者はその当時、

「これからはオンラインでの購入がどんどん広がる。」

事を確信、オンラインでの購入の際に支払いを処理するシステムを作った。

旅行だろうが、本だろうが、ネットで商売をするとオンライン決済が必要になる。するとこれがクレジットカード決済だろうが、ECカードだろうが、まずはワイヤーカードが支払いを処理する。

ワイヤーカードはお店に品物の購入代金を支払い、その代金をクレジットカード会社に請求する。言うなれば、ワイヤーカードは支払いの中間業者で、取引をワイヤーカードが処理すると、カード会社等から手数料を取る。

消費者は支払い画面でクレジットカード会社に繋がっていると思っているが、実はワイヤーカードのウエブだ。ドイツ国内多くのオンライン支払システムでは、ワイヤーカードの支払いシステムが入っている。

オンラインでの購入額が店頭での購入額を上回ると、ワイヤーカードの業績は右肩上がりで、留まる事を知らなかった。

ワイヤーカード 敏腕社長 マークス ブラウン

ワイヤーカードの彗星のような上昇は、大株主 & 社長のマークス ブラウン氏がいなければ、不可能だっという人もいる。

ブラウン氏はウイーンで経済情報学を学んだ後、コンサルティング会社に就職した。その後、ミュンヘンにある大手の会計会社 KPMG に転職。まさにそのバックグランドは、ワイヤーカードの社長にふさわしいものだった。

2002年、ブラウン氏はワイヤーカードの社長に就任すると、どんどん新分野への進出を推し進めた。

日本の会社だと重役は高給をもらって、椅子の上で居眠りするだけ、というケースも少なくない。倒産した JAL がまさにそんな会社だった。ドイツではその真逆。ブラウン氏は会社の先頭にたって、社長自らセールスをした。

社長の給料の一部がワイヤーカードの株式で支払われる事もあって、会社の業績、すなわち株価が上昇することは、社長の最大の関心事だった。が、そんなブランシ氏にも、やり手社長特有の欠点があった。それは非難を一切、聞き入れない性格だった。

ワイヤーカードの留まるところを知らない業績改善は、ブラウン氏を天狗にさせた。社内では彼に正直な意見を述べる者は、ほとんどいなくなった。これが粉飾決算を可能にした。

ワイヤーカード 最初の粉飾決算疑惑

「ワイヤーカードの決算は粉飾決算だ。」

と最初に指摘したのは、「空売り」を専門にした怪しげなブローカー会社だった。ネガテイブキャンペーンの結果、50ユーロに迫らんとしていた株価は、30ユーロまで暴落した。

大方のアナリストは、

「謂れのない主張」

として、ワイヤーカードの業務内容を疑う者は居なかった。ところが今度は名声のあるファインシャル タイムズが

「ワイヤーカードは監視の目の届かないアジアで、大規模に空取引を展開、会社の決算を粉飾している。」

と報道した。

参照 : sharedeals.de

ここでもアナリストの大半は、「ファインシャル タイムズはブローカーの手先に成り下がった。」と、ワイヤーカードを擁護した。一時的にショックで株価を下げたが、その後は上昇を続けコメルツ銀行をDAXから蹴落として、DAX に昇格した。

ワイヤーカードの株価は、ブラウン氏が社長に就任時の1ユーロから(ほぼ)200ユーロへの急上昇。同社の株式の8%を所有するマークス ブラウン氏の財産は、ミリオンからビリオンに成長、文字通りの億万長者になった。氏の夢、「世界企業の社長になる。」が現実になった。

無能な監督機関 バーフィン / Bafin

ところがファインシャル タイムズは、諦めなかった。

次から次へとワイヤーカードの詐欺を告発した。今から思えば、「内通者の通報で、ファインシャル タイムズは事実を知っていた。」と思えるが、当時はその逆。ドイツにおける同紙の名声は、(事実を報道していたのに)地に落ちた。

この状況を示す、今となっては信じられないエピソードがある。

ワイヤーカードは支店を持たない銀行だ。銀行として営業認可を受けている。そしてドイツの金融業界を監査するのは、 バーフィン / Bafin という国の機関だ。 ファインシャル タイムズの度々の告発で、バーフィンが動いた。

ワイヤーカードの決算を審査しないで、ファインシャル タイムズを誹謗中傷で告発したのだ。これほど無能な監督機関は滅多にない。

もうひとつ例を挙げておこう。

バーフィンの職員は、度重なるスキャンダルを重ねたドイツ銀行に派遣され、日々の業務をチェックしていた。ところがフランクフルトの検察はドイツ銀行の社宅の強制調査を実行、証拠書類を押収した。

バーフィンは社内で監視している筈なのに、何も見ていなかったのだ。

そして今回もバーフィン / Bafin は、その無能さを証明した。

2016~2018年度決済の再調査 最初の疑惑

ファインシャル タイムズはバーフィンからの脅しに屈せず、さらに告発を続けた。

「2016~2018年度の決済は、大きな詐欺以外の何物でもない。」という。この告発を受けたマークス ブラウン氏は怒り心頭に達して、かっての雇用先の会計会社、KPMG に2016~2018年次決済の再調査を依頼した。

これがブラウン氏の最初の失敗だった。怒りのあまり正しい状況判断ができなかった。

そしてKPMG が調査を始めたが、ブラウン氏は自身が犯した間違いに遅れながらも、気づいたようだ。 KPMG がワイヤーカードの資産、取引に関する資料を要求すると、その要求を無視した。

「大金を払うんだから、昔のよしみで、問題なしの報告書を書け。」

とでも言っているようだった。

ブラウン氏は株主に対して、

「KPMG の報告書がワイヤーカードの潔白を証明してくれる。」

と大宣伝。ところがである、KPMG にも失いかねない名声がある。そこで、

「必要な情報が得られなかったので、詐欺は見つけられなかった。」

という報告書を作成してしまった。

言いかえれば、

「有罪である確率が高いが、証拠がないので無罪。」

という報告書だ。ブラウン氏も、これはマズイと思った。そこで報告書の発表を何度も先送りした。しかし今更、後に引けず、報告書を公開するとショックが走った。

ワイヤーカードが何かを隠していることは明白で、株価は一時大暴落した。しかし個人投資家の信頼は厚く、この報道で落ちた株価を利用して、優良株を買いあさった。

一方、銀行や投資会社などは、ワイヤーカードの株の所有率をがっくり落とした。隠し事をしている会社に、大事な客の金を投資するのは危険と判断したのだ。そしてこれは正しかった。

2019年次 会社決算発表の延期

2020年、ワイヤーカードはコロナウイルスを口実に、2019年次の会社の決算発表を三度も延期した。

本当の理由は全く別。ファインシャル タイムズの度重なる報道は、バーフィンには馬の耳に念仏だったが、会計会社には要注意の鐘がガンガン鳴り始めた。

冒頭で述べた通り、会計会社は会社の終始を調べて、

「何処にもおかしな点がないことを請け負います。」

という”Testat”をしなければならない。もしファインシャル タイムズが主張するように、アジアでの儲けは「空売り上げ」であった場合、収支には説明のつかない部分がある筈だ。そしてこれが数年前から存在していた。

それはフィリピンの銀行に預けている19億ユーロ(2500億円)の大金だ。この金の出所を証明する書類が欠けているのだ。会計会社はこの不具合にもかかわらず、これまで”Testat”を出してきた。

しかしファインシャル タイムズの報道で、「お金の出所がわからない限り、”Testat”は出さない。」と態度を変えた。そこでワイヤーカードは決算発表を三度も延期した。

しかしDAXに上場されている会社が、コロナを理由にしても、いつまでも決算を先延ばしできるものではない。そこで同社は

「6月18日、午前7時に”Testat”付きの決算発表を出す。」

と明言した。

決算発表 4度目の延期 – 終わりの始まり

ワイヤーカードは小口(素人)投資家のスターだ。

小口投資家は三度の決算発表延期にもかかわず会社を信用しており、決算発表の日が決まると、株を買いあさった。投資家は、

「決算発表で潔白が証明され、株価が急上昇する。」

と信じて疑わなかった。今から思えばナイーブだが、それほどまでも小口投資家のヒーローだった。

6月18日、フランクフルトにあるドイツ株式市場は、ワイヤーカードの決算発表が届くのを待っていた。7時を過ぎても何も届いていなかった。

「何かおかしい。」と誰もが思い始めた8時前、「決算発表を延期する。」という知らせが届いた。この知らせは有名な、「樽をあふれさせる一滴」となった。

9時に株式市場がオープンすると、修羅場になった。

「1ユーロでも高く売りたい!」と小口投資家からの売り注文が殺到、ワイヤーカードの株価は真っ赤に染まった。日本と違いドイツの株式市場ではストップがかからないので、この日が終わってみると実に65%を超える下げ幅を記録した。

これは冒頭で述べた HREの1日の下げ幅、72%に次ぐ第二位の堂々たる記録だった。

社長のブラウン氏 辞任す

ワイヤーカードは即日、取り締まり役員の一人を解雇した。

株価暴落の責任を取らせて、会社を救おうとしたとしか思えない。

同時にフランクフルトの警察に、詐欺で被害届を出した。社長のブラウン氏の見解では、会社には何ひとつやましい点がないのに、ファインシャル タイムズを筆頭にした詐欺師の被害にあったという理屈だ。

翌日、株式市場がオープンすると、ワイヤーカードの株価は新たに40%を失った。

ワイヤーカード 株式チャート

ここに至り、社長のマークス ブラウン氏もようやく事態を把握した。同氏が社長でいる限り、株価の暴落は止められないと悟り、即日、社長から辞任した。この知らせを聞いた小口投資家、喜んで激安の株を買いあさった。

お陰で株価は20ユーロまで回復したが、これが大きな間違いだった。

ワイヤーカード 17億ユーロの借金問題

大企業なら、どの会社でも借金がある。

決算で有利なので、設備投資には会社の資産を使わず、借金をする。ワイヤーカードも例外ではなく、銀行グループに17億ユーロの借金をしている。

この借金の条件が、

「”Testat”付きの決算発表を出す事。」

なのだ。この条件をワイヤーカードが破ったため、銀行グループは、借金の即刻返済を求める権利がある。しかし17億ユーロもの大金を、すぐに用意できるものではない。

もし銀行グループが融資の即刻返却を要求すると、同社は即日、債務不履行になり倒産する。銀行がどう反応するのか、同社の運命は細い糸で繋がってるだけだった。この状態の会社の株を買うなど、無謀もいい所。

真面目なアナリストはワイヤーカードの株を、「安いじゃん!」と買いあさっている投資家に警告を発したが、「一生で一度の大儲けのチャンス!」と欲で思考回路は麻痺して小口投資家の耳には届かなかった。

フィリピンの銀行が取引を否定 – 消えた19億ユーロ

そして案の定、銀行グループの最後の信頼をゆらぐ報道が続いた。

ワイヤーカードはこれまでフィリピンの銀行に、19億ユーロの金を預けていると主張してきた。その証拠として、フィリピンの銀行担当者の署名が入った、銀行の残高証明を会計会社に提出していた。

すると週末になってこのフィリピンの銀行が、

「ワイヤーカードという会社は知らない。」

「当然、取引はない。」

と声明を出した。さらに始末が悪いことに、フィリピンの中央銀行も、

「ワイヤーカードはフィリピンに口座を持っていない。」

と、これをダブルコンファームした。

日曜日、ワイヤーカードはブラウン氏が居なくなって束縛から解放されのか、

「19億ユーロの金は存在していないと思う。」

と声明を出した。来る月曜日、株価はさらに40%暴落したが、まだまだ終わりではなかった。

銀行グループ ワイヤーカードに融資の返却を要求!!

ワイヤーカードに大口融資しているドイツの銀行は、あのコメルツ銀行。

4億ユーロも出資しているという。ドイツ銀行は8百万ユーロと、ドイツ銀行にしては小銭の部類に入る。当然、ワイヤーカードの株価暴落は、コメルツ銀行の株価を大きく引き下げた。

しかしそのコメルツ銀行よりも多額の金を融資しているのは、オランダの銀行だ。ドイツの銀行が、

「今すぐ融資の返却を要求すると、倒産してしまう。しばらく時間を与えるべきだ。」

と主張したのに対して、オランダの銀行は、

「待っている間に、資産価値がゼロになったらどうする?」

と融資の解約を要求していた。勘ぐればオランダにはワイヤーカードのライバル社、アデイン / Adyen が存在している。

参照 : adyen.com

ワイヤーカードが倒産すれば、そのスペースを埋めるのはアデインだから、オランダの銀行は融資返済の猶予に消極的だったのかもしれない。

ワイヤーカード 会社更生法の適用を申請!

銀行グループがワイヤーカードへの融資継続に消極的なことがわかると、残された道はひとつだけ。

ワイヤーカードは6月25日、会社更生法の適用を申請した。

参照 : spiegel.de

2019年度の決算発表の四度目の延期から1週間で、倒産となった。ドイツの経済史上、DAX に上場されている会社が倒産するのは初めての事で、あの HRE でさえ成し遂げることができなかった。

ワイヤーカードはもうひとつ新記録を打ち立てた。会社更生法の適用申請で、株式は75%も暴落した。これまでの最高記録は、HRE の72%であったため、新記録の樹立となった。株価暴落した際に買いあさった個人投資家は、欲を出したために大火傷を負った。

(前)社長 マークス ブラウン氏 逮捕される!

ミュンヘンの検察局は、ワイヤーカード(前)社長のブラウン氏がオーストリア人であることから、

「逃亡の危険がある。」

として逮捕状を請求、裁判所がこれを認め逮捕状が発行された。氏はオーストリアに帰国していたが、逮捕状が出るとミュンヘンの警察に自首してきたので、その場で逮捕となった。

もっとも億万長者のブラウン氏がひとりで自首すると思ったら、大間違い。優秀な弁護士を連れての自首で、弁護士は保釈金の支払いで釈放を要求。裁判所は5百万ユーロの保釈金を設定すると、

「あっ」

と言う間に5百万ユーロが支払われ、ブラウン氏は即日、解放された。日産のゴーソン氏のように、半年も警察に収容されるなど、人権侵害も甚だしい。

取締役員 Marsalek氏 フィリピンに逃亡!

逮捕状は、ワイヤーカードが真っ先にクビにした役員 マーザレック/ Marsalek 氏に対しても発行されている。

氏は社長のブラウン氏と同じ、オーストリア人。同氏が会社をクビになった後、ドイツやオーストリアで悠々自適の生活をしていると思ったら、大間違い。

氏はすべての財産をもって、フィリピンに逃亡している。コロナウイルス蔓延により、外国人の入国はできない筈だが、どうやって入国したのだろう?

フィリピンの街角

そもそもワイヤーカードの消えた19億ユーロの金は、フィリピンの交通省をクビになった弁護士が運営する信託会社が管理していることになっていた。

この弁護士は19億ユーロと共に姿をくらましている。会社の金を持ち逃げしたのではなく、フィリピンに金があるように工作をするのが仕事だったようだ。その工作がバレたので、姿をくらました。

そしてマーザレック氏もフィリピンに逃げたとすれば、同氏はいつかワイヤーカードの粉飾決済がバレる事を予測、足がつかない金をフィリピンに隠しており、逃亡ルートを事前に作っていたのでは?と疑われる。

さらにはマーザレック氏は、消えた19億ユーロの消息を知る数少ない人物。(前)社長のブラウン氏、同氏が警察に捕まって真実を喋らないように、真っ先にクビにして逃亡を助けたのではないのか?

同氏の証言がなければ、ブラウン氏は、「19億ユーロは盗まれた!」と主張できる。

ワイヤーカード 倒産の事後処理 EU バーフィンの査察を命じる!

今回のワイヤーカード スキャンダルは、

  • バーフィンの監査機能の欠如
  • 会計会社 EY の監査機能の欠如

があって、初めて可能になった。結局、最後は会計会社の EY が”Testat”(問題なしというお墨付き)を拒否した事で発覚した。が、これまでの10数年、会計会社は”Testat”を出してきた。今後、会計会社の EY はお金を失った投資家からの告訴を覚悟しなければならない。

その告訴に備え会計会社は、

「ワイヤーカードは犯罪的なエネルギーで詐欺を働いた。」

と言い訳、辞任したワイヤーカードの社長に責任をすべて負わせようとしている。

同罪なのはバーフィンだ。今から見れば漫才だが、ファインシャル タイムズの記事に対して、嘘の報道で告発するなど身贔屓もいい所。バーフィンを監督する財務省は、全く役に立たないバーフィンを解散して、もっと強力な権力を持った組織を作るべきだ。

EU委員会もバーフィンの無能さに腹を立てており、査察を入れると言っている。

参照 : handelsblatt.com

勝鬨をあげるファインシャル タイムズ

ワイヤーカードスキャンダルが発覚したのは、ひとえにファイナンシャル タイムズの記者、そして編集者のお陰だ。

ドイツ政府からの圧力に負けず、記事を載せ続けた。本来はバーフィンや検察局、税務署がやる仕事を、一介の記者がやってのけた。長く非難を耐え忍んできたが、ようやく世界中から賞賛を浴びることになった。

通常は興味を見せない日本のテレビ局まで、まるで身内の手柄であるかのように、ファイナンシャル タイムズの記者を取材していた。虎の威を借りる狐とはこのことだ。

日本のメデイアは権力にはたてつかない、政権の飼い犬同然の存在だ。スクープと言えばどうでもいい芸能人の情事や不倫。なんでこう、日本の報道機関は、政権や大企業にたてつく気概がないのだろう?

ニュースを見ていても司会者が言うのは、

「〇〇して欲しいものですね。」

という坊さんのような説教。歯がゆくて仕方がない。ドイツの(故)ブラント首相は、「批判的な報道を辞める報道機関は、引退すればよろしい。」と、権力にたてつく報道機関を褒めていた。

ワイヤーカード 解体セール開始!

ワイヤーカードが会社更生法の適用を申請すると、その子会社4社も会社更生法の適用を申請、財産管理人が派遣された。

ワイヤーカードは今後も事業をこれまで通り進めると言っているが、売り上げの大半が空売りだった事を考えれば、借金を返せる収入が入ってきそうにない。ましてやこれまでワイヤーカードを使っていた大手企業が、続々と契約を破棄、他社に乗り換えている。

債務者の要求に応じるため、ワイヤーカードは解体され、個々の分野(事業)に興味を見せる企業、投資家に売却される。そして財産管理人が明らかにしたところでは、すでに1ダースを超える企業、投資家が解体セールに興味を寄せているという。

その中にはワイヤーカードのかっての商売敵である、フランスの”Worldline”、オランダの”Adyen“も含まれている。そして今回、大御所が解体セールに名乗りを上げた。

ドイツ銀行 ワイヤーカード銀行を買収か?

今回、ワイヤーカードの解体セールに興味を見せたのは、ドイツが誇るもうひとつのスキャンダル銀行のドイツ銀行だった。

日本では報道されていないが、ドイツ銀行が去年発表した銀行大改造計画、

最初の成果が出ている。2020年の1~3月期の決算発表で、アナリストは不良債権の増加で大幅赤字を予想していたが、なんと黒字を出した!銀行の改造、固定費、人件費の軽減が功を奏して、コロナ危機にも負けない抵抗力ができていたのだ。

ドイツ銀行はこの最初の成功に気をよくして、「改造のペース上げ、改造計画をさらに拡大する。」とまで言っている。株価は久しぶりに二桁を突破、ゼーヴィング頭取はこれまで3人の頭取が果たせなかったターンアラウンド(赤字体質の会社を黒字体質にする事)を成し遂げそうだ。

とは言っても経費削減だけで、会社が黒字体質になると思うほど、ゼーヴィング頭取はナイーブでもない。何か、効果的に黒字を出すもうひとつの柱が必要だ。それがまさに銀行のデジタル化だが、これがドイツ銀行が最も他行より遅れている点だった。

ここでワイヤーカードの倒産が、棚ぼた式で転がり込んできた。支店を持たないワイヤーカード銀行こそ、ドイツ銀行に欠けていたもうひとつの事業の柱だった。ゼーヴィング頭取はワイヤーカード銀行の買収に名乗りを上げ、

「必要なら融資をする用意がある。」

とまで語った。ドイツ銀行はそもそもワイヤーカードに融資していた債務者であることから、解体セールでは優先権がある。アナリストはドイツ銀行がワイヤーカード銀行を買収する確率が高いとみており、将来的にはドイツ銀行の収益を改善する柱になるかもしれない。

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執筆者:

nishi

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