ドイツの達人になる 就職雇用

【必読!】 ドイツで正しく病欠するには?

投稿日:2015年6月17日 更新日:


「今日は休みます。」っと、これでよし!

病欠の届出

「今日休みますとメールを送っておけばいいですか。」とは、現地採用の若き日本人からの問い合わせ。体の調子が悪いので仕事を休みたいのだが、どうやってこれを伝えるのがいいのか悩んだ挙句の相談だ。

これはよろしくない。「それのどこが悪いの?」と合点がいかない人、一度、考えてみよう。労働者は毎日、出勤して労働力を提供する代わりに、その謝礼としてお給料をもらう雇用契約を会社と結んでいる。「そんな事はあなたに言われなくても、承知している。」と言わずに、もうちょっと先まで話を聞いていただきたい。

もし会社が契約を守らずお給料を払わなかったら、「言語道断!」と怒るだろう。その逆もしかり。お給料はしっかりいただくのに、出勤しないのは契約違反に相当する。そのような事態になったら、それ相応の対応をする必要がある。これをしないで、「今日はお休みします、ヨロ。」などとメールを送ってしまうと契約違反となり、”Abmahnung”をもらうことになりかねない。

ドイツで正しく病欠するには?

それではどう対応するのが正しいのだろう。大切なのは上司に仕事を休む旨、確実に、早く伝えることだ。上司が朝の9時から机に座って、まずは従業員からのメールをチェックしているなら、メールでもいいかもしれない。しかし上司が2時間後にメールをチェックするかもしれない。あるいは午後になってから。それではもう遅い。「彼(彼女)は今日、何故仕事に来ていないのだ?」と捜索が始まって、会社から電話がかかってくる。そこで、「休むとメールしました。」では、確実に通達をした事にならない。だからできるだけ電話で連絡するのがいい。当たり前の事だとは思うのだが、それができない人が結構多い。

そこで念を押すと、「電話したけど、繋がりませんでした。」は言い訳にならない。仕事を休むという契約違反にもなりかねない行動をする以上、上司、あるいはその代理に伝える必要がある。又、会社にはどのくらいの期間休むのか、知らせる必要がある。「そんなこと、明日にならないとわかりません。」はダメ。会社は休みで労働者が欠ける分、代理人を雇う必要があるかもしれない。会社が先を計画できるように、何日休むのか、自分で判断して伝える必要がある。

医師からの診断書

ただし病状については言う必要はない。病状は個人情報だ。もし上司が、「何処が悪いんだ。」と聞くと法律違反になる。聞きたい気持ちは分かるが、ドイツ人相手にこれをやると訴えられかねないので、要注意。さらに労働者は体調の不具合を理由に、3日間休むことができる。4日以上休む場合は診療所に行って医師に、”arbeitsunfähigkeitsbescheinigung”(就労不適格証明書)、通称、”Krankenschein”をもらって会社に届ける必要がある。

一見すると実に簡単なルールのように思えるが、そんなに簡単だったら、ここでわざわざ取り上げない。例えば金曜日に病欠した場合、診断書なしで休めるのはいつまでだろう。金曜日、土曜日、日曜日なの?それとも振り替え病欠で、火曜日まで?

病欠は祝日じゃないんだから、振り替えてはダメ。日曜日で終わりです。月曜日も仕事をできる状態でない場合は、どんなに辛くても医師の診断書をもらって会社に届けないと、契約違反になります。この診断書の取り方でも、間違いが結構多いです。

仕事前(中)の診療所訪問

体の調子が悪く出勤前に医者にかかる場合、まずは会社、上司にその旨、連絡をする必要があります。まずはお給料をもらっている会社が第一に来ます。それから診療所です。あるいは頑張って出勤したものの、調子が悪くなった場合は、どうすればいいのだろう。

「医者に行くなら、勤務時間外に行け。」という上司がいるが、これは定期健診などの時間の調整が可能な診療所の訪問に限られる。勤務時間中に調子が悪いと、医師にかかることができる。あるいは(例えば)日々、腰痛に悩まされている場合でも、勤務時間内に診療所に行くことが認められている。だからと言って、黙って不在にするのではなく、医師にかかることを上司に報告してから仕事場を離れる必要があるのは、自明の理。

ドイツ人は病欠の達人

このような労働者を保護する法律があると、これを悪用する人間が出てくるのは、ある程度仕方がない。実際ドイツ人は、1年で平均15日も病欠している。年間の有給休暇が28日であるから、ドイツの労働者は平均して43日も休んでいる。

さらに休暇中に病気になった場合、あるいは事故に遭って病院で入院していると、休暇にはカウントされず、病欠としてカウントされる。ただし上司に病気になった事、事故に遭ったことを報告する事が条件だ。

このケースでは上司にメールで報告する事も許されており、ドイツ人は休暇中に好んで病気になる。そしてやっと休暇から帰ってきたかと思いきや、「あれは病欠だったので、来月、本当の休暇に行きます。」なんて真顔で言う。流石、ドイツ人。

診断書は初日から必要なの?

ある時、テレビ局に勤める女性が、「今日は病気により会社を休みます。」とちゃんと上司に連絡をした。ところがかってから頻繁な病欠に不信感をいだいていた上司は、「次回また調子が悪くなったら4日目ではなく、初日に診療所に言って診断書をもらってこい。」と言った。

このドイツ人は、「労働者の権利の無謀な侵害。」と怒り、労働裁判所に訴えた。ところが最高裁は、「雇用者側は理由を述べることなく、診断書を初日から求めることができる。」と判断、雇用者側の立場を強める判決を下した。

すると雇用者側が関係のある診療所に社員を送り、ここで「厳格に」診断させようとするケースも出てきた。雇用側がそのような指示を出すのは合法だが、これに従う義務はない。というのも患者/個人には意思を自由に選ぶ権利が認められているからだ。

家族の病気

では子供が病気になった場合は、どうすればいいのだろう。まず簡単なケース、夫婦の子供が病気になった場合を見てみよう。被雇用者は子供の病気、あるいは幼稚園がストでお休みで預ける場所がないなどの理由で、年間5日まで仕事を休むことができる。すなわち会社は子供関係の欠勤でも5日目までは、お給料を払う義務がある。ただし上司/会社にその旨伝えて、医師の診断書、あるいは保育所に子供を預けれない証拠を提示する事が条件だ。夫婦なら年間10日間、交代で子供の面倒を見ることができる計算になる。

もっとも雇用主は雇用契約書に、子供の病気による欠勤の際は給料を払わないと書き込むこともできる。これは違法ではない。その場合は、加入している健康保険がお給料を払うことになるが、支払われる額は70%にまで減額される。このケースでは、12歳未満の子供を持つ両親は年間10日間まで、子供の世話を理由に仕事を休むことができる。シングルマザーの場合は25日まで。

病気による解雇

日本では病気になって長期休むと依願退職を強制されるが、ドイツにはそのような慣習ははない。労働者の権利はしっかり守られているので、病気による欠勤を理由に首になったら、できるだけ早く弁護士事務所まで出かけて、”Arbeitsrecht”の専門家に相談しよう。両手を広げてむかえてくれる。

というのも病気を理由に労働者を解雇することは禁じられているので、司法試験に合格したばかりの弁護士でも、裁判に負けることはない。勝てば弁護士費用、裁判費用は会社が負担するように命じられ、さらに不当解雇なので会社は再び労働者を雇うことを強制される。会社は退職金を提示することで、再就職を避けようとするが、大した額面の退職金ではないので、再び雇ってもらうほうがいい。

例外

中には会社の違法な解約に対して、慰謝料を取れる場合もある。そして弁護士はその争いの額面で報酬が決まるので、労働者の権利をしっかり主張して、できるだけ多くの慰謝料を取ろうとしてくれる。「じゃ、好きなだけ休んでも、首にはならないの?」というわけではない。3~4日程度の病欠を頻繁に繰り返すと、「度重なる欠勤により会社に損害が及ぶ。」という理由で一発首を宣告する事ができるので、要注意。

又、病気で会社を休んでいるからと言って、自宅で静養を義務づけられているわけではない。買い物に出かけてもいいし、食事にでかけても一向に構わない。知り合いのドイツ人は病気で会社を休んで、ジムにトレーニングに来ていた。「それは会社の人に見つかると、やばいんじゃない?」と思うかもしれないが、そうとは限らない。というのも仕事ができないというのは、精神的な病気かもしれない。そんなケースでは運動をすると、気分が晴れる。上司にはどんな病気で欠勤しているか報告する義務がないので、ジムで大汗をかいている姿をみられても、解雇になるとは限らない。

実際、病気で会社を休んでいた労働者がマラソン大会に出場、見事にテレビ出演を果たした。ところが夕方のニュースを観ていた上司が、元気にマラソンを走っている部下を目撃、翌日、首を宣告した。しかしこの労働者はすぐに労働裁判所に不当解雇で訴え、見事に勝訴した。診断書に”Bettruhe”と書かれていない場合は、極端な例だがマラソンに出ても大丈夫なのだ。又、”Bettruhe”だろうとも、食品を買いだしに行くのは生きるために必要なので、レジの列で上司に遭遇しても全く恐れる必要はない。

就職したら弁護士保険

日本人は日本の会社に就職する事が多い。すると雇用者側も被雇用者側もどこまで権利なのか、義務なのか把握していないケースが多い。日本と違いドイツでは労働者の権利はかなり守られているので、日本ではタブーなことでもドイツでは全然OKなことがある。しかし日本人の上司は労働者が自身の権利について熟知していないことを利用して、無理難題を押し付けることが多々ある。そんなときは、雇用関係の弁護士保険に入っておけば、無料で相談に乗ってくれる。ドイツ人が就職すると必ず加入するのが、この雇用関係の弁護士保険。是非、真似しよう。

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執筆者:

nishi

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