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道路交通法改正【2013年版】 冬タイヤから駐車違反まで

投稿日:2013年11月6日 更新日:

道路交通法改正【2013年版】 冬タイヤから駐車違反まで
更新が遅れてしまったが、2013年から道路交通法 /”Strassenverkehrsordnung”、略してStVO.、すなわち交通法が一部改定された。

外国人にはとりわけ難しいテーマなので、ここで取り上げておこう。

道路交通法改正【2013年版】- 冬タイヤ

まずは冬タイヤ。「冬タイヤ」と検索されて、このページにたどり着く方が多い。ドイツに着任されてから、「一体、ドイツではどうなってるの?」と検索されるケースが多いようだ。2010年に取り上げた時点では、以下のような取り決めとなっていた。

「雪が降っている、あるいは路上に雪が残っていると、冬タイヤあるいは、M+Sの印の入ったAllwetterreifen(冬タイヤと夏タイヤの中間のタイヤ。)を装着している必要がある。」

M+S

冬タイヤという名前で売られいても、3角頭の雪印が入っていない(役に立たない)冬タイヤもある。主に中国製の安物だが、これは大目に見られる事となった。

今回の法改正では、先回指摘した点が改善されて、「M+Sの印の入った冬タイヤ、あるいはM+Sの印の入ったAllwetterreifenを装着している事。」となった。

と書くと、「冬はM+S印の冬タイヤじゃないと、罰金を取られます!」と誤解される方が多い。この冬タイヤは先に述べた通り、雪が積もっていたり、雪が降っている際に適用される。すなわち冬でも雪の影も形もない快晴の日には、夏タイヤでも構わない。

参照  冬タイヤを探せ!

蛍光チョッキ

その次が着衣に関して。これまではオーストリアで義務化されていたが、ドイツでも”Warnweste”(蛍光チョッキ)を車に入れておくことが義務化される(2014年7月から)。と書くと、「一体、何枚備えておくことが必要なんですか。」とお嘆きの方も少なくない。

そこで調べてみると、5人乗りの車でも、1枚入っていればいいそうだ。

もっとも一枚、5ユーロ程度で買えるので、ケチケチしないで家族の頭分、買っておこう。そうそう、これがなかなかの優れもの。日本に帰る際は、是非、お土産として持ち帰ろう。とっても重宝します。

道路交通法改正【2013年版】 オートバイ 点燈義務化

次の規則は、(珍しく)日本ですでに法令化されている、オートバイ(原チャリを含む)のライトの点燈だ。これがドイツでも義務化されることになった。同時に「自転車にはダイナモによる発電(蛍光)装置を備えておく事。」という数十年前の古い規則が改正された。

自転車の点燈義務

元来、この議題は2000年、ハノファーの交通大臣が国会に法律の改正を求めて意見書を送ったことから始まった。ダイナモを作っている業者からの「これを廃止したら、事故が急増する。」という訴え功を奏したのか、国会の議題に昇るまで実に13年もかかった。

こうして自転車にダイナモ発電装置がないと、15ユーロの罰金が課せられる法律が残っていた。今回は交通大臣の後ろ盾もあり、ようやく国会で議題に登場した。野党も反対する理由がみつからず、この改正案は賛成多数で可決された。

今後は充電電池式の点燈でも罰金を課されることはありません!となる筈だったのに、、。

官僚のミス

こうして構想から実に13年、自転車ファンの夢が現実となる事となった。と思ったら、甘かった。交通省の役人が道路法の「照明器具は自転車に固定されて、常に使用可能でなければならない。」という部分、厳密に言えば、「照明器具は自転車に固定されて、」の部分の改正を忘れた。

常に自転車に固定されている照明器具とは、早い話、ダイナモの事であったのだ!そして交通大臣も、この箇所を見落として改正案に盲目印を押してしまい、改正に13年もかかったのにダイナモじゃないと罰金を課されるという法案が残る事となった。ドイツらしい微笑ましい出来事である。

免許証更新

次の改正点は免許証。日本では数年置きに免許の更新に行き、税金(更新料)を払う必要がある。

ドイツ人はそのような手続きは不要と考える。「高い金を払って試験に合格したのに、何故、数年置きに金を払って書き換える必要がある。」という考えだ。とっても納得できる考えで、これまではドイツで免許証を取得すると一生物。文字通り死ぬまで使えた。

ところがEUから、「それは寛大すぎます。」とチェックが入り、免許証の有効期限は15年と限定される事となった。ただしとってもドイツらしい事に、この法令が発効した2013年1月19日前に取得した免許証はこれまで通り一生物。

私はすでにドイツの運転免許証を持っているので、ラッキー!一生使えます。

駐車違反

最後に紹介するのは、駐車違反の切符料金の改正。これまでは駐車スペースに車を止め、駐車料金を払っていないと、あるいは料金を払っても有効な駐車時間を越えると5ユーロの罰金だった。何時間停めても、同じ日なら5ユーロの罰金。

市内中心部で駐車場に車を停めると1時間の料金が、3~4ユーロもする。そんな高い駐車場に停めないで、公共の駐車場に車を停めて駐車違反のキップをもらっても、2時間停めれば元が取れた。これでは罰金の意味がないので、倍の10ユーロに罰金が値上げされた。

罰金額は違反時間に比例!

「じゃ、4時間止めないと元が取れない!」と考える小市民を見通して、3時間もただ駐車をしていると罰金は25ユーロになる。

尚、これはちゃんと駐車スペースに停めたのに、「駐車切符を節約」した場合です。自転車道を妨害して厚顔地心な駐車をすると罰金は即座に20ユーロ、1時間後には30ユーロに増額され、以後1時間に5ユーロ加算となる。

厳禁!身体障害者の駐車スペース

ちなみに身体障害者の駐車スペースは、地方自治体の金のなる木。便利な場所はどこも身体障害者用。ついつい停めちゃいます。そこは市もちゃんと知っており、30分おきに巡回チェックしています。何故か?それは効率がいいからです。

ここに停めて違反切符だけで済めば、70~80ユーロの罰金です。10ユーロの罰金を何枚も書くより、全然効率がいい。さらに運が悪いと(ミュンヘンなどでは即)レッカー移動されます。レッカー移動の料金が200ユーロ程度。罰金が100ユーロ程度で、地方自治体にはおいしい。

駐車スペースが空いていたら、「ラッキー!」と車を停めてその場を離れないで、身体障害者のスペースでない事を確認してからその場を離れよう(現行犯で見つかっても、即座に移動させれば罰金は勘弁される事が多い)。

尚、「知りませんでした。」、「わかりませんでした。」という言い訳は、これまで何万回として利用されているので、言うだけ無駄です。

駐車違反を無料で逃げる方法

この記事をご覧の方に、唯一、有効な違法駐車でキップをもらわない方法を教えちゃいます。道路交通法は、「標識が何もしなくてもちゃんと見えるように立っている事。」が条件です。すなわち枝などで隠れていると、標識は無効です。だから春にはふさふさに茂った枝を切ったり、標識の管理に余念がありません。

「そんなに都合よく標識が隠れている事はない。」という方には、ちょっと危険な方法も。例えば「誰かが」標識にゴミ袋をかぶせて標識が見えない場合、同様に標識は無効になります。運よくそんな現場を見つけたら、ゴミ袋がかぶさっている標識を証拠写真に撮っておきましょう。

その後、ごみ袋が撤去され、駐車違反の切符をもらっても、「この通り見えませんでした。」と言えば無罪放免です。警察の「ここに勤めているんだから、標識なんて見えなくても知っているだろう。」という言い分は不可。

写真に撮ったゴミ袋が車のトランクから出てくると御用ですので、必殺技の使用はくれぐれもお控えあれ!

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執筆者:

nishi

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