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独仏鉄道同盟 (07.10.2017)

投稿日:2018年2月2日 更新日:

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もう3年半も前の話が、ジーメンスと三菱がフランスのAlstomを買収しようと同盟を組んだ。Alstomは日本でも有名な高速電車TGV(現在では名前が変わってAGV)を製造している会社で、日本の日立、川崎のライバルだ。もっとも当時売却になったのは同社のエネルギー事業で、日本からは三菱が名乗りを上げた。

そこでジーメンスと組んで日独で買収オファーを出したわけだが、オファーの内容はフランス人にとってからっきし魅力がない内容だった。案の定、日独同盟はまたしても米国に惨敗、アルストームのエネルギー事業はジーメンスのライバル、GE社が買収した。

ジーメンスの電車事業

ところがジーメンスはまだ諦めてはいなかった。ジーメンスが注目したのは同社の「ヒレ肉」である電車事業だ。一見するとジーメンスとアルストームはライバルのように見えるが、ジーメンスが製造しているICEにはアルストームが製造している車両を使用、一方、アルストームが製造しているAVGにはジーメンスが製造した部品が使用されている。

この共同事業により、自社で製品を開発する手間とお金が節約できる。2013年、前任者からジーメンスを引き継いだケーザー氏は、お金が儲かる事業にジーメンスの事業を集中されることで同社を再び軌道に乗せた。

お陰で株価はかってない最高値を更新、ケーザー氏はその褒美として社長の任期が延長された。そのケーザー氏が今回注目したのは同社の電車事業だ。

電車事業

電車事業はうまくやればお金が儲かる。それも大金が。動く金額がでかいので失敗すると大赤字になり、会社が倒産しかねない。日本の造船所がこれまで製造したことにない大規模の乗客船の製造を受注、大赤字を出して会社が倒産寸前まで傾いたように、難しい事業だ。

そしてジーメンスはこの電車事業でヘマに告ぐヘマをおかして、大赤字を出した。電車事業でお金を儲ける鍵のひとつは、その会社の規模。生産台数が多ければ、それだけ安く生産できて、競争力が高い。いい例が中国。

電車事業で世界トップの中国企業

政府が主導して複数あった電車製造会社をひとつの会社に統一した。以来、この会社は膨大な中国の電車の需要をカバーする車両を生産しており、車両当たりの値段が日本の新幹線と比較にならないくらい安い。

とりわけ中国に負けを認めたくない日本は、「高速鉄道で世界をリードする新幹線。」と自画自賛しているが、高速鉄道の世界市場の7割近くを独占するのは中国で、その後にものすごい差が開いてから、日本勢、それからアルストーム、日立、そして7番目にジーメンスがやってくる。これでは余程上手くやらないと、儲からない。

日本人はそれでも、「いや、新幹線は安全性で優れている。」と主張、中国に負けていることを認めない。歴史的な背景もあるのかもしれないが、客観的な状況分析ができない。ここが日本人とドイツ人の違い。

ジーメンスとアルストーム合併

ドイツ人(ジーメンス)はこれでは勝ち目がないと客観的に状況判断をすると、これに対抗するプランを立案する。ジーメンスは将来も電車事業で金を儲けるには、規模を拡大してコストを下げるしか方法はないと判断、すでに共同事業を展開しているアルストームと電車事業の合併を持ちかけた。

フランス人もドイツ人と同じく、「このままでは中国勢に対して勝ち目がない。」と同様の状況判断を下し、両社は電車事業を合併すると発評した

新しい会社の名前は、「ジーメンス アルストーム」。売り上げ額でみれば、合併後の会社は日本の電車事業連合体にはまだ及ばないが、それも時間の問題だ。合併によりICEとAGVの異なる2車両を製造する必要がなくなる。

(例えば)AGVに統一して全欧州で同じ車両を製造すれば、部品の数が激減、メインテナンスが容易になり、コストががっくり下がり競争力が増す。さらには生産拠点を集約、本社を統一することにより、さらなるコストカットも期待できる。これによりEU内、そして海外で受注を取りやすくなる。

競合他社

この合併により欧州で電車事業第三位の”Bombadier”、それに販売台数の少ない日立は厳しい競争にさらされることになる。とりわけ日立の立場は厳しくなる。この合併がきっかけになり、日立と”Bombadier”は対策を取ることを迫られることになりそうだ。

もっともジーメンスとアルストームの合併には欧州委員会の合意が必要だ。合併になれば、ジーメンス アルストーム社は欧州の電車事業でトップの座に躍り出るので、競争監視委員会が文句を付けるのは間違いない。

ただし合併で「貧乏くじ」をひくのはカナダの”Bombadier”と日立なので、欧州委員会が許可する可能性が高い。さらにメルケル首相とマコン大統領がこの合併に大いに乗り気なので、最後は合併が認可されるだろう。

日本の電車事業連合体、それに日立はあたらな大手の競争相手の出現に、どのように対応するだろうか。日本の電車が安全性、快適さで優れているのは確かだが、高くて売れないと宝の持ち腐れ。

10年に一度、何処かの国が「たまたま」新幹線導入に決定してくれるこれまでの営業戦略では、ジーメンス アルストームに追い越されるのも時間の問題だ。ドイツ、フランス、そして中国の例を見習って、日本でも電車事業をひとつにまとめて、日本を代表する電車事業を創設すべきだ。それには政府の主導が欠かせないが、日本の政治家にこれを理解できる人材がいるだろうか。

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執筆者:

nishi

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