日本には 大学のドイツ語コース に関する、さまざまな伝説が存在しています。
その理由、起源は不明ですが日本では
「ドイツの大学には、付属の語学学校がある。」
と、思われているようで
「ドイツの大学付属の語学学校に通いたいです。」
というお問い合わせを数多くいただきます。
毎年、何度も同じお返事を書いてきましたが、
「ちゃんとホームページで解説すればいい。」
ことに気が付きました。
そこでここでは大学のドイツ語コース及び、これに付帯するさまざまな誤解を解明したいと思います。
大学付属の語学学校とは?
大学のドイツ語コースに限らず、ドイツに関する疑問は、少し考えれば自ずから回答がわかります。
例えば、
というドイツ留学者に人気の質問。
日本では語学学校に通うと学生証が発行されて、(大)学生扱いになるでしょうか?
なりませんよね~。
「日本で無理なことが、ドイツでは可能!」
なんてことは、まずありません。
このように日本の事情を参考にすれば、大方の疑問は解決します。
では大学のドイツ語コースではどうでしょう。
探せばそういうケースもあるかもしれませんが、流石に大学付属の語学学校はないですよね。
しかるに、
「ドイツの大学には付属の語学学校がある!」
と信じている方は、一人や二人ではありません。
本当に、ドイツの大学には大学付属の語学学校があるんでしょうか。
ドイツの大学は州立大学です。
ここに付属の語学学校があるなら、州がお金を出してゲーテ・インスティテュートのような、
州政府直営の語学学校を経営していることになります。
すでにゲーテがあるのに、さらに州がお金を出して独自のドイツ語学校を設置する意味はないし、州にはそんな予算はありません。
真相解明!
ドイツ全土を探しても、州立の語学学校は一校も存在していません。
大学付属の語学学校と思われている大学のドイツ語コースは、以下のいずれかのケースです。
- “Daf”の行うドイツ語コース
- 私立の語学学校
以下にそれぞれのケースについて解説します。
“Daf”の行うドイツ語コース
まずは”Daf” の行うドイツ語コースから。
この大学のドイツ語コースは、
対象者は”Erasmus+”(欧州内の交換留学生プログラム)や、
“DAAD”の奨学金留学生。
“Daf”は大学の機関で、語学学校ではありません。
代表的なのがゲッティンゲン大学の”Daf”で、エラスムス、ドクター課程の学生などを対象に、ドイツ語コースを提供しています。
私立の語学学校
もうひとつのケースは私立の語学学校です。
稀に大学内に本当に語学学校があります。
大学が独自でドイツ語のレッスンを提供しないで、これを語学学校に一任したのがその発端です。
例えばブレーメン大学には、ゲーテ・インスティテュートがあります。
しかしながらこうした語学学校は大学の付属ではなく、私立の語学学校です。
大学内にあるので誰かが調べもしないで、
「大学付属の語学学校」
と解釈。
これが広まり、
「ドイツの大学には付属の語学学校がある。」
と誤解されています。
これで誤解は解決した筈です。
でも中には、
「そんなの嘘!」
と、すんなりいかないケースも。
そんな貴方の為に、例を挙げて証明いたします。
ミュンヘン大学付属の語学学校
大学のドイツ語コース、
「大学付属の語学学校]
伝説の最たるものが、ミュンヘン大学付属の語学学校 / iucm です。
リンク先のページに、
「ミュンヘン大学の卒業生が作った団体 / e.V.です。」
と、書かれています。
そう、皆さんが大学付属の語学学校と思われいる学校の正体は、
ミュンヘンは家賃が高いので、かなりの資金がないと市内でレッスン用のオフィスを借りて学校を運営できません。
そこで大学の講堂を借りて、レッスンを提供しています。
大学の教室を使って授業を行うので、何も知らない人が見ると
「大学付属の語学学校」
と、勘違いされる原因となっています。
団体 / e.V. とは?
この e.V. は、
“eingetragener Verein”
の略。
そのまま訳すと、登録している団体という意味です。
営利追及ではなく、教養の普及を目的とした団体は、
“e.V”
として登録することができます。
実はドイツで営業している語学学校の多くは、この “e.V”なんです。
ミュンヘンの語学学校、タンデム ミュンヘンのホームページを見てください。
“TANDEM Berlin e. V.”
って書かれています。
e.V.として登録すると消費税(正確には付加価値税)の課税義務から解放されます。
ドイツの消費税は19%ですから、これを課税するかどうかで、価格が大きく変わります。
ひいては生徒の集まり具合、学校の成否を左右します。
大学付属の語学学校 正体は私立の語学学校!
すなわち!
多くのホームページで
「大学付属の語学学校」
と紹介されている学校は、単なる私営の語学学校です。
これが有名な大学付属語学学校の正体です。
大学の先生がレッスンをしているわけではなく、他の私営の学校と同じように、お給料で雇われた講師がレッスンを行っています。
そんな事情は露知らず、
「大学付属の語学学校」
と紹介しているサイトの多いこと。
そんな書き方をしているのは、ドイツ語が読めない方が書いたサイトです。
誤った情報を信じて渡航する前に、是非、「失敗するドイツ留学」をご参照ください。
大学付属の語学学校の欠点
仕事上、何度も
「ミュンヘン大学付属の語学学校」
とやり取りをすることがありました。
入学の手順を知りたいので、メールで問い合わせするも無視されます。
そこで電話で問い合わせると、
「直前になったら知らせるから、それまで待て!」
と、マジで怒ってます。
大学の機関でもないのに、仕事ぶりはすっかり大学で、埒があきませんでした。
「そんなことはないだろう!」
という方は、大学付属の語学学校に
「ビザは取れますか。」
という問い合わせのメールを送ってください。
返事が全くこないか、回答にならない返事しかきません。
こんな調子なので、現地で困っても何もしてくれません。
大学付属の語学学校の欠点を敢えて数え挙げると、ざっとこんな感じです。
- 宿泊施設を紹介してくれない。
- 返事が遅い
- 教師/授業のレベルが低い
- サポート一切なし!
- 課外活動なし!
ミュンヘンの部屋探し
「そのくらいなら、我慢できます!」
という頼もしい武者も、たまにおられます。
そんな方に注意したいのが、ミュンヘンでの部屋探し。
ミュンヘンはドイツで一番家賃が高い町です。
5~6万で部屋がみつかることはありません。
「私は東京住まいなので、へっちゃらです!」
と、頼もしいお客様。
入学を手配させていただきました。
出発の1週間前になり、
「部屋が見つかりません!」
とSOS。
空き部屋は、
「あっ」
という間に埋まり、日本から部屋を見に行くまで空いている部屋はありません。
ミュンヘンでの部屋探しは、オランダ人とドイツ人を区別するくらい難しいです。
不可能ではありませんが、多くの方は失敗しています。
ミュンヘンの授業だけのコースに申し込むのは、自殺行為です。
大学のドイツ語コース – 頻繁に寄せられる 質問集
日本では大学のドイツ語コースや私営の学校を
「大学付属の語学学校」
と誤解されているので、こんな質問が多いです。
私営の語学学校ですから、お金さえ払えば誰でも入学できます。
なりません。
大学とは関係ない私営の語学学校なので、大学入学で優位になる点はありません。
大学の学生寮は、大学の学生だけが住むことができます。私営の語学学校に通っている方には、その権利がありません。
大学の図書館は、大学の学生だけが使用することができます。私営の語学学校に通っている方には、その権利がありません。
大学のドイツ語コース
大学付属のドイツ語学校と勘違いされることの多い 大学のドイツ語コース。
その中でも
“Daf”の行うドイツ語コースに参加できるのは、
1. エラスムス、奨学金制度での留学生、交換留学生のみ
2. 一般の外国人学生も参加可能
のどちらかです。
交換留学生、奨学生の場合、大学がほとんど手配してくれるので、ここでの紹介は割愛いたします。
一番関心が高いのは
「一般の外国人学生も参加可能」
のドイツコースです。
そこでこれについて、詳しく解説したいと思います。
一般外国人学生向け – 大学のドイツ語コース
一般の学生向けの大学のドイツ語コースは、大学の講義に平行して行われます。
すなわち!
夏ゼミでは4月~7月、冬ゼミでは10月~2月までの期間に開催されます。
年末年始など、大学がお休みの時は、当然、授業もお休みになります。
入学方法
そして大学への正規留学と同じように出願書類を揃えて期限までに郵送して、書類審査を受けます。
この審査に合格して初めて入学資格が生まれます。
では続いて大学のドイツ語コースへの入学条件を見ていきます。
出願条件 – ドイツ語のレベル
大学での就学が目的ですので、大学のドイツ語コースへの出願は、中級レベル以上のドイツ語能力を証明できることが条件です。
大学によりB1の検定試験の合格証で出願資格を満たすケースがあれば、B2の検定試験の合格証が必要な場合もあります。
ドイツの大学は州立ですので、大学により要求されるドイツ語のレベルはまちまちです。
出願条件 – 国籍
大学のドイツ語コースが特定の国籍、例えば中国人だけで埋まってしまわないように、国籍により定員を設けています。
ドイツ語コースの規模によりますが、小さな規模のコースでは日本人枠は2~3名。
あなたが提出する高校・大学の成績表で判断されます。
出願条件 – 学歴
大学に入学することが前提のドイツ語コースですので、ドイツの大学に入学できる資格を満たしていることが出願条件になります。
その資格とは、
- 日本の大学の卒業生、あるいはに2年以上、在籍していた方
- 日本の短大の卒業生
- センター試験で入学を希望する大学の要求する点数を取得された方
です。
この資格はあくまでも目安です。
最終判断をするのは大学、あるいは”Asisst”の審査官です。
この審査官が異なる判断を下しても、当社は責任を負いかねます。
出願時期
4月から始まる夏ゼミ/ Sommersemester から大学のドイツ語コースに入学されたい場合、出願締め切りは1月15日まで。
10月から始まる冬ゼミ/ Wintersemseter に入学されたい場合は、7月15日まで。
出願書類をこの日までに大学に必着で送る必要があります。
ただし!
出願期限ぎりぎりに出願書類を送っても、日本人枠が埋まっているケースもあります。
ぎりぎりに出願すると、ただでも狭い門がさらに狭くなります。
稀に大学によりこの出願時期が大きく異なるケースもあります。
正確な時期は大学のホームページで確認ください。
費用
大学によりコースの費用が異なっていますので、詳細は各大学のページをご覧ください。
宿泊施設
大学のドイツ語コースに入学できても、正規の大学生扱いにはなりません。
この為、学生寮の部屋を申請できる権利はありません。
自身で部屋を確保する必要があります。
大学のドイツ語コース – 出願サポート
大学のドイツ語コースの出願要綱はドイツ語で書かれています。
が、これをスラスラを読める人は少なく、出願書類ひとつをとっても、正しく理解できない方が多いです。
そこで当社では大学出願をサポートしています。
当社は2001年以来、数多くの願書を作成してきましたので、豊富な経験と知識を備えております。
ドイツ語コースの詳細、出願の代行サポートをご希望される方は、当社の大学出願サポートをご利用ください。
大学出願に関する 質問集
皆さん、初めてレーゲンスブルク大学へ出願されるので、同じ疑問を抱えておられます。
そこで問い合わせの手間を省くため、頻繁に寄せられる質問集を作成しました。
お問い合わせいただく前にご覧いただければ、ほとんどの疑問は解決すると思います。
ウニ アシスト /” Uni-Assist”って何?
大学出願の際に出てくる疑問のひとつが、
“Uni-Assist”
なるものです。
正式名称は、
“Arbeits- und Servicestelle für Internationale Studienbewerbungen”
その頭文字を取り(少しもじって)、”Assist”、あるいは”Uni-Assist”と呼ばれています。日本語で言えば、
「外国からの学生のサービスセンター」
という意味です。
日本から、
「ドイツの大学に入学したいです!」
と大学にメールを送っても、その学生がドイツの大学入学基準を満たしているのかわかりません。
日本だけならともかく、世界中から毎日、同様の問い合わせが届きます。
そこでそのような仕事をする機関をドイツの大学機関が創設して、ここで一括して入学審査をするようにしました。
これがアシストと呼ばれる機関です。
ここで出願書類をチェックされ、
- ドイツの大学入学資格を満たしている
- 必要な書類が全部、揃っている
場合に限り、出願は大学に送られてここで最終判断されます。
アシストの審査費用
さらに30ユーロ払えば併願することもできますが、あまり意味がありません。
というのも、アシストは一人の志願者に複数の入学許可が出る事を避けるため、複数の出願依頼では書類を審査の上、一つの大学にしか願書を送ってくれないからです。
ですから併願する価値はありません。
ちなみにアシストの出願費用は、毎年ではないですが、着実に値上がりしています。
10年前は50ユーロで、併願する場合はたったの5ユーロの追加でした。
日本語で情報収集をされる方、必ず、アシストのホームページで今の費用を確認しておきましょう!