ドイツの観光名所 と聞いて誰もが最初に連想するのが、ロマンチック街道です。
観光に興味のない方でも、名前を聞いたことがあると思います。あまりに有名になった為、
「ドイツの観光は、ロマンチック街道だけ見ればいい!」
に始まって、
「ドイツにはロマンチック街道以外には観光名所はない。」
と誤解されている方は多いです。でもドイツの観光名所は、ロマンチック街道だけじゃない!
と言っても、
「ああ、そうだったんですか。」
とはなりません。
誤謬を正すには事実をもって示す以外に手段がありません。そこで撮影機材を抱えてドイツ中を駈け巡り、写真を撮ってきました。その大集成がこちらのページです。
目次
ロマンチック街道の誕生
第二次大戦後、(外貨獲得のために)
「ドイツに観光客を招致しよう!」
という目的を掲げますが、スローガンだけでは観光客はやってきません。戦争(ナチス)による悪者イメージが定着していたので、これを払拭する目玉商品となるドイツの観光名所が必要でした。
そこで1950年、ドイツ観光協会が発案して命名したのがロマンチック街道 /”Romantische Straße”です。
でも名前をつけただけじゃ、観光客はまだやってきません。そもそもロマンチック街道だけ聞いても、
「何、それ?」
で終わってしまいます。ロマンチック街道がドイツの観光名所として有名になったのは、よりによってドイツを占領していた占領軍のお陰です。
古き良きドイツを愛した米古兵
第二次大戦の敗戦後、ドイツは戦勝国によって4分割統治されます。
戦後、世界のリーダーになるアメリカ軍の占領地域になったのが、バイエルン州を含むドイツ南部の広大な地域です。バイエルン州は連合軍進軍ルートの一番奥にあり、戦争の被害が最も少なく、ドイツの観光名所が戦争の被害を逃れて多く残っていました。
米軍兵士はドイツに駐留中、南ドイツの風光明媚な観光名所を訪問します。
そして1949年にドイツが再び独立して観光客の招致を始めると、戦争中はあんなに悪者だったドイツに最初の観光客としてやってきたのは、かっての駐留兵士とその家族でした。
かって駐留軍としてバイエルン州に滞在していた兵士は、現役時代に訪れたドイツの観光名所を好んで再訪問しました。
こうした経緯があり、ロマンチック街道には、バイエルン州の観光名所が多く入っています。
今やロマンチック街道に載っている街に宿泊する観光客の数は、年間500万人にも上ります。その4~5倍もの人が昼間に観光地を訪れて、レストランやお土産屋でお金を落としていきます。
ドイツの観光名所 の定番
まずはドイツ観光の定番、ロマンチック街道から始めます。
ドイツ観光庁のオフィシャルサイトに載っている地図を参考に、北の街から始め、南の街へ下っていきます。
ヴュルツブルク/ Würzburg
![]() 旧市街には世界遺産に指定されてる司教様の御殿があります。その他にも見所たくさんで、一度は訪れてみたい観光名所のひとつ。 |
ローテンブルク / Rothenburg.o.T.
![]() 中世の頃に建設され、未だに街を囲む城壁と城門の数は、ロマンチック街道の中でも一番! |
ディンケルスビュール / Dinkelsbühl
![]() お陰で見所はたくさんなのに、観光客は少なくて、ちょっと秘境感を味わえる町。写真撮影も比較的、楽ちん。 |
ネルトリンゲン / Nördlingen
![]() エスリンゲンと並ぶ骸骨屋敷のメッカで、同じ建物がふたつとないその豊富な建築様式に感心。 |
ハーブルク / Harburg i.B.
![]() |
ドナウヴェアト / Donauwörth
![]() ここから出陣したドイツ連合軍はハンガリー帝国軍を撃破、神聖ローマ帝国の基礎が固まることになりました。一番の見所はかっての水路沿いの城壁と、要塞の跡。 |
アウグスブルク / Augsburg
![]() 日本でも有名なフッガー家の本拠地で、市内には戦争の災禍を逃れた史跡が市内に各所に点在。 |
ランツベルク / Landsberg am Lech
![]() 旧市街地から山の上には中世の頃から残っている家屋が目白押し。レヒ河畔の段々棚は一見の価値アリ! |
ドイツの観光名所 世界遺産都市
日本でも人気の世界遺産。
日本には23の世界遺産がありますが、ドイツにはその倍、46の世界遺産があります。
折角、観光に来るのに、ドイツの観光名所を代表する世界遺産都市を見ないで帰国される方はほとんどです。
何故?
無名だから?
ここではドイツで超~有名な、世界遺産都市をご紹介します。それもただの世界遺産じゃない!
街が全部世界遺産
通常、世界遺産と言えば、街の中のひとつの建物だけというケースが大半です。
アウグスブルの旧市街に巡らされた水路、ヴュルツブルクのレジデンツ、テュービンゲンの博物館に陳列されている馬の像などが、そのいい例です。
いくら世界遺産でも、わざわざひとつの建物を見に行くのは、ファンでもなければ、そこまでできません。
が、ここで紹介する世界遺産都市、街(旧市街)が全部、世界遺産に指定されている珍しい例。
是非、次回の観光ルートに取り込んでください。
バンベルク / Bamberg
![]() 中世の姿を残した旧市街地は、あのローテンブルクを凌ぐドイツ一の大きさです。一番の観光名所はレギニッツ河畔のかっての漁師の家屋群。 |
レーゲンスブルク / Regensburg
![]() 中世期の建造物が街中にあふれてます。2018年に修復が(大部分)終わった石橋は今が観光のチャンス! |
ドイツの観光名所 を津々浦々まで現地に調査!
住まいをロマンチック街道の拠点、アウグスブルクに移すと、長年の年月と大金をかけて各地の観光名所を巡ってきました。
とりわけ南ドイツのシュヴァーベン / Schwaben 地方には、独特の建築様式の家屋が、
「これでもか!」
と立ち並ぶことで有名です。でも、日本で取り上げられることはないので、誰も知らない真の秘境です。
そんな秘境の観光名所を津々浦々まで実際に歩いて、取材してきました!
骸骨屋敷街道 / Fachwerkstrasse
ドイツの観光名所ロマンチック街道に対抗すべく、州の境を超えて街が結束して、骸骨屋敷街道 /”Fachwrkstrasse”を作りあげました。
参照 : deutsche-fachwerkstrasse.de
木枠で組まれた家屋が美しく、しかもこれが束になって並んでいるのが、この骸骨屋敷街道です。
街の名前をご存じない方の方が多いので、A,B,C順に挙げておきます。
ビーバラッハ / Biberach
街の中心部にある銅像、「ロバの影」はとっても有名です。 |
エスリンゲン / Esslingen am Necker
|
メーアスブルク / Meersburg
ワイン好きには州立ワイン工房での試飲をお勧め! |
リートリンゲン / Riedlingen
自宅からほぼ車で2時間以上かかりましたが、行ってみる価値あり! |
テュービンゲン / Tübingen
テユービンゲンは大学町として有名です。とっても優秀な大学の。日本では知られていませんが、とっても綺麗です。こんなに花が飾られている街は、ドイツではココだけ! |
古城街道 / Burgstrasse
ドイツの観光名所にはロマンチック街道、骸骨屋敷街道の他に、古城街道があります。本当です。
参照 : burgenstrasse.de
古城街道はその名の通り、古城が残っている街を巡るルートです。
が、厳密に言えば古城は廃墟だったり、もう城の跡も残っていないケースも少なくありません。その代わり立派な城壁が残ってます。
古城街道の拠点は、あちこちに分散している上、僻地にあるので調査に行くのがと~っても大変。
3年かけて調査してきましたので、ここでその成果を紹介します!
ハイデルベルク / Heidelberg
1日観光で見逃せない観光名所を紹介いたします。 |
シュヴェービッシュ ハル / Schwäbisch Hall
|
ニュルンベルク / Nürnberg
|
ヴァイセンブルク / Weissenburg i.B.
あのローテンブルクだってここまで完璧には残っていません! |
南 ドイツの観光名所
南ドイツには、ロマンチック街道にも古城街道にも載っていない綺麗な観光名所が幾つも存在しています。
ミュンヘンやフライブルクのような有名な街もあれば、日本では誰も知らないマルクトブライトのような秘境まで。
週末になると撮影機材を車に詰め込み、仕事よりも早起きして、観光地を巡ってきました!その成果を今回、アルファベット順に発表します!
フライブルク / Freiburg i.Br.
|
ランズフート/Landshut
|
リンダウ / Lindau
一番の見所は大きな遊覧船が入港してくる港。灯台からリンダウの町を一望できます! |
マルクトブライト / Marktbreit
|
ミュンヘン / München
|
ノイブルク / Neuburg
|
エッテインゲン / Ötteingen |
ヴァッサーブルク / Wasserburg a. Inn
|
アルプス観光はスイスとオーストリアだけじゃない!
欧州の三大観光名所と言えば、「パリ」、「ヴェニス」、それに「アルプス」。
パリとヴェニスはひとつしかないですが、
「アルプス」
と聞くと、誰もがスイス アルプスを連想します。でもアルプスは、スイスとオーストリア(それにイタリア)だけじゃない!
ドイツにもアルプスがあり、スイスにいくよりも格安です!その魅力は安いだけじゃない。
と~っても綺麗です。どんなに綺麗なのか、有名な観光名所を調査してきましたのでご覧あれ!
世界で一番美しい光景
「世界で一番美しい光景」と言ったのは、自然学者のフンボルトです。
世界を見てきた彼が、ドイツアルプスの自然公園 Königsssee(王様の湖)を見て、思わず発した言葉です。
透き通った水の深さ、アルプスに積もった雪が溶けて川になり、湖に注がれる様は綺麗で魅力されます。
次席はあのヒトラーもほれ込んだオーバーザルツベルク。かっての独裁者の別荘は今でも残っており、豪華絢爛なエレベーター(写真禁止)が124mの頂上まで登っていきます。
ここからの絶景は、独裁者とその側近しか眺めることを許されなかった貴重なもの。
ベルヒテスガーデン / Berchtesgaden
|
ケーニヒスゼー / Königssee
|
ベルクホーフ & ケールシュタインハウス
|
北 ドイツの観光名所 – 人気の留学先
バイエルン州に住んでいたので、なかなか行けなかった北ドイツの観光名所。毎年、北まで遠征して調査してきたので、ご覧あれ!
ここからベルリンまで行くと遠いですが、幸い、ミュンヘン – ベルリン間のICE 直行便が開通!アウグスブルクからも乗り換えなしで、ベルリンまで5時間で行けます。
以前は、
「ミュンヘンに留学したい!」
という方が半数を超えていましたが、最近はミュンヘンとベルリンの人気はほぼ拮抗しており、人気の観光先であると共に人気の留学先です。
ベルリン vs. ハノーファー
今日まで続くドイツで有名な三大王家と言えば、
- ホーエンツォラー
- ヴェルフェン
- ヴィッテルスバッハ
の御三家です。それぞれの王家が何処を本拠にしていたか、ご存知ですか?
ホーエンツォラーはベルリン、ヴェルフェンはハノーファー、そしてヴィッテルスバッハはミュンヘンです。
ホーエンツォラー家は、そもそもシュヴァーヴェン地方の貴族でしたが、その分家がブランデンブルク選帝侯を経て、よりによってドイツを支配する皇帝を輩出するまでに大出世。
ヴェルフェン家はドイツの覇権を巡って、そのホーエンツォラー家と戦い、完膚なきまでに叩き潰され、王国とその財産を没収されます。
ヴィッテルスバッハ家はこれを見て、戦わずして、ホーエンツォラー家(プロイセン王国)の軍団に下ります。
栄華を極めたヴェルフェン王家の首都ハノーファーには、かっての栄華を偲ばせる立派な観光名所が随所に残ってます。
ハンブルクは世界遺産に指名された倉庫街と港が有名。
そしてドイツの首都ベルリンには、全部見るには1週間かかる観光名所が目白押し!
ベルリン / Berlin
日本人はミュンヘンが大好きですが、そのミュンヘンを抜いて一番人気の観光名所がベルリンです。
|
ハンブルク /Hamburg
日本ではハンバーグはハンブルクが起源説が人気ですが、実は、、。
|
ハノーファー / Hannover
|
中世の姿のまま残ってるアルザス
かってのドイツ領、フランスのアルザスまで自宅から車で3時間半。
この地の利を生かして、有名な観光名所はもとより、日本では誰も知らない観光名所を発掘してきました!
フランクフルト空港に到着して、シュトットガルトやバーデン バーデンに「観光」に行かれる方がいます。
正直な話、シュトットガルトやバーデン バーデンには観光する場所なんかほとんどありません。
とりわけバーデン バーデンなんて、温泉とカジノがなければ過疎の街。
折角、ドイツ観光するならお金を無駄にしないで、レンタカーを借りてアルザス/エルザスに行きましょう!
掛け値なしの美しさです。ユネスコから世界遺産に指定されているシュトラースブルクは、アルザスのお宝です。
古き良き中世ドイツの街並み
アルザスの街を建設したのはドイツ人で、長らくドイツの街でした。
しかし敗戦によりフランス領に。日本では、「ドイツ語が通じるフランスの街」と紹介され方をされていますが、通じませんです。
ドイツ語は通じませんが、戦争前の中世の頃のドイツの街の風情が残されており、それは綺麗な観光名所です。ここではその中でも有名な、6つの街を紹介いたします。
コルマール / Colmar
|
エギスハイム / Eguisheim
|
カイザースベルク / Kaysersberg |
リクヴィール / Riquewihr
|
リボヴィレ / Riveauville
リボヴィレの家屋は、お隣のリクヴィールとは建築様式が異なります!一番の見所はほぼ村の中央にある肉屋の塔。 |
シュトラースブルク /Strassbourg
観光のお勧めは6月~8月。街が花で飾られています! |
ロマンチック街道 制覇の助っ人 – バイエルンチケット
上述の通りロマンシック街道の観光名所は、バイエルン州に集中しています。
バイエルン州は最も面積が広い州なので、観光客を誘致する目的で1日乗り放題チケット バイエルン チケット /”Bayern-Ticket” を導入しています。
このチケットの所有者はRE(Regional-Express)からS-Bahn、バス、地下鉄まで乗り放題。ただし朝の9時以降から、深夜まで。ネットで購入するとたったの25ユーロです。
観光名所を訪問するのに便利なので、是非、使ってみよう!
参照 : Deutsche Bahn