今回紹介するのは、 ケーニヒスゼー 。
和訳すると王様の湖。
通常、外国語をそのまま和訳してみ意味が伝わらないけど、今回は例外。
まさに王様のよう / majestätisch な湖です。
「絶対に今年は行く!」
と、早くから遠征を計画。
でもベルクホーフと組み合わせると、最低二日間の晴天が必要。
毎日、お天気予報をチェックしていると、
「明日、明後日は晴天ですが、、。」
という予報が!
すぐにホテルを予約。
朝の4時に起きて、出発!
今回はドイツアルプスの中でもとっておきの、ケーニヒスゼーを紹介します!
目次
街の紹介 シェーナウ アム ケーニヒスゼー
雪を抱く標高2713mのヴァッツマン /”Watzmann”の麓にある湖が、ケーニヒスゼー(王様の湖)です。
王様の湖があるのは、ベルヒテスガーデン県の
シェーナウ アム ケーニヒスゼー / Schönau am Königssee という街です。
和訳すると、
「ケーニヒスゼー河畔のシェーナウ」
です。
そう、街の名前はシェーナウなんです。
なのでページのタイトルに、
「シェーナウのケーニヒスゼー」
と書こうとしたんですが、どうもまどろっこしい。
おまけにシェーナウの町を紹介するわけじゃない。
紹介するのは王様の湖だけ。
そこでタイトルには、ケーニヒスゼーを採用。
でも街の名前はシェーナウなので、お間違えなく。
そのケーニヒスゼー河畔のシェーナウの人口は、わずか5500人。
街というよりは、村ですね。
自然学者フンボルト語る!
存命中に、
「世界で最も偉大な自然学者」
の呼称をいただき、
「地政学」
の創設者でもある自然学者のフンボルト。
ヨーロッパや北米、南米は勿論、中央アジアまで研究旅行をしてきたフンボルトが、ケーニヒスゼーを見て
と絶賛したと観光局のホームページにあります。
ベルヒテスガーデン国立公園
ケーニヒスゼーを含むこの地区は、アルプスの自然を人間の影響から守るため、1978年、ベルヒテスガーデン国立公園に指定されました。
お陰で新しい建物を建てるのは厳しく制限されており、現在でも小さな集落程度の規模だ。
有名な水上ボートだって、タイで有名な爆音をあげる内燃エンジンではなく、電気モーターを採用している。
お陰で大自然が破壊されずにそのまま残っている。
バイエルン州に住んでいるなら、一度は見ておきたい観光名所だ。
行き方
ケーニヒスゼーへの行き方は簡単。
湖はベルヒテスガーデンと目と鼻の先にあります。
車でわずか10分程度の移動距離で、
「えっ、もう着いた?」
と拍子抜けするくらい近いです。
大きな駐車場(勿論、有料)があるので、駐車場には困らない。
公共交通機関をご利用される方は、ベルヒテスガーデン駅から841番のバスに乗れば、ケーニヒスゼーまで行けます。
ケーニヒスゼー フンボルトも絶賛!地球上で最も綺麗な光景
ケーニヒスゼーの駐車場には、山から転がり落ちてきたでかい岩がそのまま残されてました。
こんな岩が落ちてきたら、車なんてひとたまりもありません。
転がり落ちた岩の上に砂がたまり、木々がここまで育つまで、数百年経ってますね。
駐車場のチケット自動販売機の前では外国からの観光客が、
「ああでもない、こうでもない。」
と使い方に議論を交わしてました。
「ちょっといいかしらん。」
と中に入ってチケットを買うと、
「おお~。」
と感嘆の声。
まんざらでもなし。
言葉がわかると、と~っても便利です。
駐車場からケーニヒスゼーに向かう歩行者専用道の両脇には、レストランとガストフォーフ(民宿)が建ち並んでます。
道は一本だけで、そのすぐ裏は森なので、道に迷う心配はありません。
観覧船のチケットを買う
駐車場から湖まで徒歩6~7分。
波止場の真ん中にチケットセンターがあるので、ここでケーニヒスゼー観覧船のチケットを買おう。
クレジットカード決済可。
(愛想のない)おばちゃんには、英語も通じます。
当時の値段は17.80ユーロ。
更新に際して最新の価格を、観覧船の運営会社のホームページでチェック!
ちゃっかり値上げされて25ユーロ!
チケットを買ったら歩き回らないで、反橋の上で出発を待っている列に並んで、ボートの出発を辛抱強く待つ。
それは
いよいよボートが動き出すが、電気ボートなので水を切る音しかしない。
振り返ると波止場、それに湖岸に並ぶ家屋の絵になる光景を堪能できます。
画家の(好む)角度 / Malerwinkel
まず最初に、画家の好む角度 / Malerswinkel という場所がある。
ケーニヒスゼーが一番よく(綺麗に)見える場所らしいのだが、全部綺麗。
ここが何故、他の場所よりも綺麗なのか、私にはわかりませんでした。
次回行けば、落ち着いてみてるかもしれません。
ケーニヒスゼー名物 – 児玉返しの実演
ボートが動き出して15分もすると、当初の歓喜が一通り収まります。
しばらくするとボートはケーニヒスゼーの真ん中で、エンジンが止まってしまいます。
えっ、故障?
違います。
ここでケーニヒスゼー名物 児玉返しの実演があるんです。
日本だったら
「ヤッホー」
ですが、ここではボートの乗務員がトランペットを持ち出して実演します。
耳を澄ますと、確かに向かいの壁に当たったトランペットの音が返ってきます。
この5分ほどの実演が終わると、奏者は帽子を逆さにしてチップ集めに来ます。
1~2ユーロの効果をポケットに忍ばせておこう。
ケーニヒスゼー 聖バーソロメー / St. Bartholomä
児玉返しの実演から5分ほどで、ケーニヒスゼーの有名な聖バーソロメー / St. Bartholomä が前方に見えてくる。
そしていよいよ聖バーソロメーの波止場へ停泊すべくボートが向きを変えると、これが二度と巡ってこないシャッターチャンスだ。
ちゃんと窓際の席を確保していた人は、一生の思い出になるベストショットを撮れる(筈)。
ケーニヒスゼーと雪の残ったアルプス、それに礼拝堂はまたとないシャッターチャンス。
ビデヲを撮るか、写真を撮るか、結構悩む。
観光客の半数はここで降り空席がたくさんできるので、ここから先は楽チンです。
“Hirschau”(ヒルシャウ)
ケーニヒスゼーには幾つか半島が、にょっきりと突き出しています。
そのひとつが
“Hirschau”(ヒルシャウ)
と言う名前の半島。
ここには漁業を営む小さな集落があった。
集落ができれば、最初に建てるのが教会です。
すでに12世紀にはヒルシャウには小さな教会、正確には礼拝堂がありました。
これが17世紀に改築され、立派な銅で出来た玉ねぎが上に乗った礼拝堂になりました。
18世紀には小さなお城と教会も加わります。
しかしその後は、ほったらかし。
19世紀にケーニヒスゼーを訪れたバイエルンの王様ルートビヒ二世が、国費を使っての復元を命じて、今の姿になりました。
バーソロメーはキリスト教の布教で死んだ殉職者で、アルプスの農家と放牧の守護神とされているので、この名前になりました。
終点 ザレート/ “Salet”
聖バーソロメーを後にして10分ほどで、終点 ザレート /”Salet”に到着します。
ケーニヒスゼーは深い部分で190mもあるが、この部分は浅く湖面が緑色でと~っても綺麗です。
サレートまでボートに乗らず、聖バーソロメーで降りて日本に帰った日には、
「あれ、先は見てこなかったの?」
なんて嘲笑を死ぬまで聞かされることになる。
チケットは必ず”Salet”まで買おう。
ケーニヒスゼー 散歩道
ザレートの波止場から散歩道が伸びている。
「どっちにいけばいいの?」
なんて心配は不要。
一本道があるだけで、ボートを降りた観光客はまるで何度も来たことがあるように、何も言わないで歩きだしている。
「散歩なんかしたくない。」
と連れが言い出したら、
「じゃ、2時間後にここで遭おう。」
と、一軒だけ建っているケーニヒスゼーの辺のレストランに残して先に進もう。
雪解けの水が流れる小川
フンボルトの
「地球上で一番美しい光景。」
というのは、散歩道の先にある
「上の湖」
を指しているらしい。
これまで観光名所を数多く見てきましたが、これほど美しかった散歩道はなし。
真夏並みの激暑で大変でしたが、とても素晴らしい光景でした。
あまりに風景が綺麗なので写真を撮りながら歩いていると、一緒にボートを降りた観光客は先に行ってしまい、一人だけ。
しばらくすると小川が見えてきます。
山頂の雪が溶けた水なので新鮮、綺麗な筈だが、飲むのはやめたほうがいい。
どこか先に動物の死体があるか、誰にもわからない。
オーバーゼー / Oversee
「あ、これも綺麗!」
と写真を撮りながら散歩道を歩くと、30分で上の湖に到着。
この湖はドイツ語でオーバーゼー/ Obeesee と言います。
かってオーバーゼー とケーニヒスゼーは一緒の湖でした。
山崩れで二分されたんです。
そこでオーバーゼーに行くには、王様の湖の端っこにあるザレートまでボートで行き、さらに15分ほど歩く必要がある。
「英語もできないのに、一人で行けるかどうか不安です。」
と心配する必要はなし。
勿論、わざわざ道を外れて森の中を歩いていくような人は例外です。
湖に佇む小屋
湖に佇む小屋が見えたら、ここが(最初の)目的地!
観光客が小屋の前で大挙してポーズをしていますが、5分もすれば嵐が過ぎ去り、独り占めできます。
この小屋はオーバーゼーで漁をするボートの修理をする道具、資材を収納した質素な小屋でした。
そう過去形です。
あまりに多くの写真に撮られたので、今では立派な小屋に立て直され、桟橋まで作り直されました。
昔の小屋の方が風情があったのに、、。
水の透明度
この水の透明度は凄い!
波もないので山が水面に見事に写ってます。
上の湖まで来たら、次の目標は、湖の対岸です!
もっとも山道なので40~45分かかります。
「もう二度と来ないから。」
と歩き出すも、綺麗な景観や湖面に映る山の美しさに感動して写真を撮ってると、全然、先に進みません。
途中から道は、岩と砂利の狭い坂道に変わります。
歩き崩した古い靴だったので、靴が滑って仕方ない。
Uターンした際の光景
「日本人観光客、湖に転落!」
というヘッドラインは避けたいので、
「負け」
を認めてここでUターン。
最後の一瞥をくれて引き返しました。
皆さんは登山靴で挑戦してください。
このUターンした際の光景よりも先に行けたら、あなたはドイツの達人を凌駕!!
茶店
ケーニヒスゼーのボートの発着場まで戻ってくると茶店に置き去りにしていって連れが、
「一体、そんなに長く何処をほっつき歩いていたの。」
とプンプン怒ってます。
無理もない、たっぷり3時間もかかってる。
「何かあったの?」
と聞かれたら、
「いや、別に~。」
というのが正解です。
礼拝堂
ボートに乗って、ケーニヒスゼーの最初の停車場、聖バーソロメーまで引き返します。
はい、到着。
ここの見所は礼拝堂。
横の家屋は、かってのバイエルン領主の狩用の宿。
他に見るものがない?
いや、その代わりに食べる物はあります。
Fischerei St. Bartholomä
ケーニヒスゼーの名物は魚料理。
2軒、レストランが営業中でした。
空席もないほどの大盛況。
google上で評判がいいのは、
“Fischerei St. Bartholomä”(漁師 聖バーソロメー)
の方。
もっともこちらは正真正銘の漁師なので、メニューは魚の燻製とビールだけ。
「アイスが食べたい!」
という方は隣の聖バーソロメー飯屋まで。
どちらも要現金。
客の多さから推測して、料理が出てくるまで30分はかかりそう。
自粛。
昼飯はヌキです。
まだ明るいうちにミュンヘンの環状線を抜けなきゃ、地獄の渋滞です。
次はいつ来れるかわかないので、聖バーソロメーをいろんな角度から撮影。
「もうこれ以上撮る物はない。」
と確信すると機材をリュックサックに詰めて、ボートに乗って”Let’s go home!” 。
何処に泊まる?
ケーニヒスゼーに泊まるか、それとももっと大きなベルヒテスガーデンに泊まるか、どちらが便利でしょう?
シェーナウ アム ケーニヒスゼー全体の人口が5000人ほど。
ケーニヒスゼーに限って言えば、1000人ほど。
当然、夜になるととっても静かです。
別の言い方をすると、娯楽はありません。
夕飯を食べたら、テレビ見て寝るだけ。
でもドイツ語のテレビなので、見てもわかんない。
そんな方は早く寝て、明日朝一番に観光に出発しましょう!
ケーニヒスゼーに泊まるなら、王様の湖が見えるホテルがいい!
そんな贅沢な希望を満たすホテルは、ふたつだけ。
ひとつはそのまんまのケーニヒスゼーホテル。
もうひとつは船のマイスター/ Schiffmeitser です。
もっとも湖が見える場所のホテルでもすべての部屋から湖が見えるわけではありません。
高い部屋だけです。
又、夏には早く部屋が埋まります。
私も
「明日の部屋、空いてるかな?」
と探すと、満室でした。
部屋が取れない場合は、ベルヒテスガーデンに泊まりましょう。
ケーニヒスゼー 観光に必要な時間
「3時間もあれば十分。」
と思っていたのに、ケーニヒスゼーの観光には4時間半もかかってしまいました。
聖バーソロメーには、1時間も居なかったのに。散歩道を歩いたり、昼食を取ればさらに1時間半は必要です。
駐車場に停めた車、チケットは3時間分しか買っていなかったので心配してましたが、駐車違反切符なし。
オーブンのような熱い車に乗って、いざ、アウグスブルク。
高速では工事中による渋滞は2箇所だけ。
3時間少々で無事、帰宅。
とってもいい体験ができました。
バイエルン州に留学される方、留学中に是非、ケーニヒスゼー行って見ましょう。