今回紹介するのは フルダ専門大学 です!
と聞いて、
「おお、あのフルダに専門大学があったのか?」
と思う方はゼロ。
ほぼ、
「ふるだですか?」
と思われると思います。
そこでドイツの地理に詳しくない方にもわかるように、
「ベーシック」
から解説していきます。
目次
街の紹介 – 何処にあるの?
フルダ / Fulda なんて街の名前、聞いたことがない方が大半です。
そこで今回は街の紹介から始めます。
少しだけヒント。
西ドイツです。
次のヒント?
ヘッセン州にある町です。
補足するとフランクフルトの右上、カッセルの南、マールブルクの右下です。
街のほぼ真ん中を流れている川は、ライン河でもマイン河でもなく、フルダ河。
覚えやすくていいですね~。
人口は鯖を読んでも6万8000人。
「何もなさそう。」
と思われるかもしれませんが、
「地方の大都市」
で、長い歴史と史跡がたくさんあります。
街の歴史
紀元前5000年の居住跡が見つかっているくらいなので、住み易い地域だったようです。
ケルト人が砦を築き、ローマ人がこれを奪取、4世紀にはゲルマン民族に制圧されます。
フランケン王国の時代(8世紀)に、
「蛮族をキリスト教に改宗させよ。」
との使命を受けた修道士が派遣されたのが、フルダの街の始まりです。
774年、この修道院はカール大帝により、
「治外法権」
をもらいます。
これにより世の中の制度が通用しない独特な世界が生まれました。
バンベルクのようなカトリック大司祭が王様にように君臨するカトリック宗主国ではなく、いわば修道院宗主国です。
領土はかなり小さいですが。
その修道院の周辺に農民や職人が住み始めて、集落が形成されていきます。
修道院による恐怖政治
1020年、フルダの修道院国は、
- 市を開く権利
- 硬貨を鋳造する権利
- 税金を課す権利
を王様から授かり、お金持ちになっていきます。
ところが領主の修道院長が滅茶苦茶な税金を課します。
100ヘラーだった税金がある日、800ヘラーに。
税金を払えない農民を人質に取り、身代金として9500ヘラーを要求するなど、無茶もいい所。
何度も市民との間に戦争になりますが、農民が戦争に勝った試しはなし。
それでも反攻せざるを得ないほど、ひどい恐怖政治が敷かれていました。
お陰で魔女裁判は熾烈を極め、300人を越える男女が虐殺されました。
19世紀、ナポレオンの登場で司教領は廃止、領土はフルダ伯爵領に。
その後、短期間フランクフルト公爵領になり、最後はプロイセン領になりました。
街の随所には修道院長が贅の限りを尽くして建設させたドームや教会、それにお城が残っていて、綺麗な町。
交通の便がいいせいか、産業も多くこの地に工場を置いており、景気がよく、犯罪率も低い。
そして物価は安いく、(貧乏)学生には住みやすい町です。
行き方
フルダの最寄り空港はフランクフルト空港です。
乗り換えの必要のない電車に乗れば、1時間でフルダに行けます。
市内交通
フルダの人口は7万人にも満たないので、路面電車は走っていません。
市民の足は路線バスです。
フルダ専門大学 – どんな大学?
フルダ専門大学の正式名称は”Hochschule Fulda”です。
1974年、ヘッセン州の5番目の
“Fachhoschschule”(専門大学)
として設置されました。
現在は1万人近い学生を抱える、専門大学としては中規模の大学です。
「専門大学と総合大学って何が違うの?」
と興味をお持ちの方は、ドイツの大学に正規留学のページをご参照ください。
フルダ専門大学は、
“Campus – Hochschule”(キャンパス大学)
と呼ばれています。
これは複数の学部、専攻の建造物がメインの大学の敷地内に連立している大学を指しています。
ボッフム大学やフライブルク大学なども、キャンパス大学と呼ばれています。
何故、そんなことをわざわざここで書くかと言えば、フルダ大学のキャンパスは、軍隊の駐屯地を再利用したものだから!
当時(19世紀)はここで武器(主に火砲)の研究開発を行っていました。
大学の歴史
第二次大戦の災禍はドグマに染まらない、自由な精神を持つ教師を育てることの重要性が明らかになりました。
この目的でドイツ連邦共和国が誕生した1949年、フルダで教師を育成する機関、
„Pädagogische Institut“
が設立されます。
この教育機関が元になって、1971年にギーセン専門大学が設立されます。
「それじゃフルダには残らないの?」
と思いきや、1974年にフルダ専門大学が創設されることに。
2006年にはボローニャ プロセスの一環で、
“Fachhochschule Fulda”(専攻専門大学フルダ)
から
“Hochschule Fulda”(フルダ専門大学)
となりました。
大学校舎
1901年、第47火砲連隊の駐屯地が完成します。
その建物は新ゴシック様式で、ベルリンの著名な建築家に設計されるという手の込んだもの。
完成した駐屯地に住んでいた兵隊の数は1500人。
当時の街の人口は1万7000人だったので、軍の街ですね。
建築家はドイツ第二帝国の威厳だけでなく、軍が撤退後は駐屯地の建物をアパートとして
「再利用」
することができるように設計するという先見の明を発揮。
お陰で敗戦で必要なくなった駐屯地は、アパートとして使用されることに。
フルダ専門大学創設に際して、ヘッセン州がその敷地と建物を買い取り、5つ目の専門大学としてフルダ専門大学を創設。
お陰で全部の建物は半径500m内にあり、学食はそのど真ん中!!
フルダ専門大学 学部と専攻
フルダ専門大学はその歴史から、ギーセン専門大学と同じ専攻を提供しないように
「気配り」
されています。
このためフルダ専門大学の学部は
- 応用情報学部 /Angewandte Informatik
- 電子工学と情報工学部 / Elektrotechnik und Informationstechnik
- 栄養学部 / Oecotrophologie
- 介護と健康学部/ Pflege und Gesundheit
- 社会文化学部 / Sozial- und Kulturwissenschaften
- 社会学部 / Sozialwesen
- 経済学部 / Wirtschaft
という、とっつき難い学部ばかり。
そこで専攻を見てみると大人気の情報学、食事療養学のデユアレス シュトゥーデイウム、英語で学べる専攻(経済)、借金相談者資格コース、公共保険学科、など他の大学にはない専攻が多くなっています。
他の大学で学習意欲が沸く専攻を見つけられなかった方、一度、検索してください。
学費無料!
2007年、ヘッセン州の州議会で学費500ユーロ/ゼミを導入されます。
これに反対してフルダ専門大学はストに突入。
選挙で大きく得票率を落とした州政府は、2008年に学費を廃止。
おかげで、現在でも学費無料で学ぶことができます。
勿論、ゼミ登録費は必要です。
フルダ専門大学 DSH準備コース 【B1レベルから】
通常、規模の小さい専門大学には、外国人向けのDSH準備コースはないもの。
ところがフルダ専門大学はDSH準備コースを設けてる珍しいケースです。
コースの種類は以下の通り。
- B1レベルコース
- B2レベルコース
- DSH準備コース
このためコースに入学できるのは、すでにA2レベルを終了された方のみです。
B1レベルは週25コマ、B2レベルでは週20コマ、DSH準備コースでは週21コマの、語学学校並みの集中コースが行われます。
入学資格
フルダ専門大学で提供されるDSH準備コースは、
「語学学校の代わり」
ではなく、大学に入学する前の準備の為に通います。
この為、DSH準備コースであっても、
「ドイツの大学入学資格」
を有していることが入学の大前提です。
何がこの入学資格に相当するのか?
こちらで説明しているので、是非、御覧ください。
フルダ専門大学 DSH準備コース詳細
DSH準備コースはレベルによって、開催される時期が異なります。
B1レベルコースは6月~9月。
B2レベルコースは、10月~2月です。
DSH準備コースは、4月~7月です。
又、他の大学とは入学時期が異なります。
この為、希望していた大学から入学許可が下りなかった方でも、最後のチャンスで出願が可能です。
尚、このドイツ語コースのレベルは非常に高いです。
コースに入学された方から、
「レベルが高くてついていけない。」
と、ご報告をいただいたこともあります。
レベル |
中級(B1, B2)、DSH準備コース |
期間 |
B1レベルコース 6月~ 9月 B2レベルコース 10月~2月 DSH準備コース 4月~7月 |
授業時間 |
9時30分~13時30分(週4回、木曜日は授業なし) |
クラス定員 |
表記なし |
申し込み期限 |
B1レベルコース 5月末日まで B2レベルコース 9月末日まで DSH準備コース 3月末まで |
コース費用 |
B1 & B2レベルコース 700ユーロ DSH準備コース 970ユーロ |
入学資格 |
出願サポートにお申し込みいただいた方にご案内しております。 |
応募書類 |
出願サポートにお申し込みいただいた方にご案内しております。 |
宿泊施設 |
学生寮への申請ができますが、申請はご自身で行なっていただく必要があります。 |
出願結果 |
出願後、1ヶ月程度で返事が届きます。
入学条件を満たしている方には、請求書が届きますので、コース費用を送金すれば入学できます。 |
その他 |
お申し込みにはPC用のメールアドレスが必要です。携帯のアドレスは不可。
送金後のキャンセルは不可。 出願書類の返却はありません。 |
大学出願サポート
フルダ専門大学への出願、学業に関して不明な点は、大学に直接問い合わせる必要があります。
しかしながら英語で問い合わせをしても、通常なら返事さえ来ません。返事が来ても、
「ホームページを読んでくれ。」
とだけ書かれています。ドイツの官庁は一筋縄ではいきません。
そこで当社では出願案内 & 出願代行サポートを提供しております。
出願に関して不明な点などは、経験豊富な当社までお問い合わせいただければ、当社にて調査 & 回答させていただきます。
これまで2001年以来、何度もお客様の出願をしてきましたので、大学が出願者に何を要求しているか、熟知しております。
出願サポートの詳細はこちらをご欄ください。
大学出願 質問集
皆さん、初めてフルダ専門大学へ出願されるので、同じ疑問を抱えておられます。
そこで問い合わせの手間を省くため、頻繁に寄せられる質問集を作成しました。
お問い合わせいただく前にご覧いただければ、ほとんどの疑問は解決すると思います。