ドイツ語を習っている方が過小評価しているのが、 ヒアリング です。
「会話ができなくて。」
と言われる方は多いですが、
「ドイツ語のヒアリングがうまくできなくて。」
と言われる方はかなり稀。
日本語でドイツ語を習っているので、弱点に気が付いていないんです。
そんな事とは露知らず、いざドイツ留学!
ここで初めて、
「ヒアリング能力の欠如」
に気が付きます。
が、しかしすでに時遅し!
目次
過小評価される ドイツ語のヒアリング能力
日本人は勤勉なので、自習でドイツ語の文法をしっかり学んで留学される方も少なくありません。
問題は、
- 会話能力
- ヒアリング能力
は自習では上達しない事。
とりわけヒアリングは、ドイツ語を習い始めた方から過小評価されています。
でも、
会話はドイツ人を見つけて練習するしかないですが、ヒアリングは自宅で練習できます。
そこでここでは、聞き取り能力をアップする効果的な方法をご紹介いたします。
でもその前に、、
日常ドイツ語との遭遇
私の
「日常ドイツ語との遭遇」
についてお話します。
大学で5年間ドイツ語を習っていたので、
「ドイツ語はできる方。」
と、うぬぼれていたんです。
が、
「マジ?」
ここで初めてヒアリング能力の欠如に気が付きました。
が、すでに時遅し。
「果たしてこんな言葉が、理解できるようになるものだろうか。」
と、ドイツに到着初日にして自信がぐらついだ。
話す言葉が聞き取れるまで1年かかる!?
渡独1年後にしてやっとフライブルク大學入学を果たし、ゼミに出席する事ができた。
ところがである。
Dozent(*1) の言う事がさっぱり理解できないっ!
ゼミに出ると部分的に聞き取れるものの、肝心の部分が
「未知との遭遇」
なんである。
理解できるのはせいぜい20~30%。
質問されたら
「えらい事」
になるので隅っこに静かに座っていたら、Dozent が気を効かして、
「君はどう思うかね。」
などど聞いてくるから、一気にアドレナリンが体内を駆け回る。
そういうときは、
“Es gibt doch unterschiedliche Gesichtspunkten und daraus resultierende Meinungen.”(さまざまな見地からみた、さまざまな意見がある)
などとお茶を濁した。
昨日までは理解できなかったのに、突然、話される内容が99%理解できるようになった。
あの時の感動は、今でも忘れられない。
以後、大學の講義についていくのは楽になったが、
もし将来、ドイツの大学に留学を志す人は、早くからドイツ語のヒアリング能力の養成をお勧めします。
ドイツ語の聞き取り能力 を自宅で養成!
幸い、当時と違って今ではインターネットでラジオが聞ける時代だ。
ラジオはドイツ語のヒアリング能力をアップさせるのに、うってつけ!
ドイツ人向けの番組なので、
「生きたドイツ語」
が聞けるからです。
ここに人気のあるドイツ語のラジオ局を紹介しておくので、是非とも利用して耳を慣らして欲しい。
ヒアリング SWR3
バーデンヴュルテンベルク州のラジオ局で、ドイツでもっとも人気があるラジオがSWR3。
教会がスポンサーなので、
「牧師の説教」
が二時間おきに入り、
「ありがたいお話」
を聞かされるのは辛い。
が、まあ、そこは我慢。
方法は簡単で
“WEB Radio”
をクリックするだけ。
1時間おきにながれるニュースや渋滞情報が聞き取れたら、もうドイツ語ヒアリングの達人だ。
ヒアリング Ö3
もうひとつのお勧めは、オーストリアのラジオ局 Ö3。
ご安心あれ!
ちゃんと
「高地ドイツ語」
を話しています。
アナウンサーは。
もっとも街中でのインタビューで地元民が話す言葉は、
“*:;ze”ß8&”
で一言もわかりません。
でも、ドイツのラジオ局では聞けないオーストリアのヒット曲が聞けるのが嬉しい。
音楽で ドイツ語のヒアリング能力 アップ!
ある程度
「ヒアリング能力が身に付いた!」
と自信がついたら、ドイツ語の歌を聴いてみよう。
ドイツ語のヒアリング能力が
「大学就学レベル」
にあるなら、歌詞のほとんどは聞き取れる筈。
逆に、
「一言も聞き取れないっ!」
だとドイツ語のヒアリング能力がまだ初歩域です。
“Ich lebe”
オーストリアのタレント発掘番組で勝ち抜いた”Christina Stürmer”が出したデビュー曲、
“Ich lebe.”
は大ヒット。
以後、ちょくちょくヒットを出し続けオーストリアでは
「誰で知ってる」
歌手になりました。
“10 kleine Jägermeister”
日本でも知られている”Die Toten Hosen”最大のヒット曲
“10 kleine Jägermeister”
日本語で
【10匹の狩人】
は、いつ聴いて観ても楽しい。
“Steh auf, wenn du am Boden bist”
その”Die Toten Hosen”の、
“Steh auf, wenn du am Boden bist”
は日本語で
【打ちのめされていないで立ち上がれ!】
落ち込んだときは、これを聴いて元気を出そう!
“Lasse Reden”
愉快 & 下品な歌詞で有名になったバンド Die Aerzte。
この曲
“lasse reden”
は日本語で
【言わせておけ】
2008年夏の大ヒット。
何度聴いても笑えます。
“Da da da”
「音楽を最小限度に削減する。」
というテーマで作った曲。
“da da da”
は日本語の解釈も不要。
ヒアリング能力も不要。
初級レベルの方でも理解できちゃうこの曲は空前の大ヒット。
これが唯一のヒット曲で終わりました。
“Du kanns zaubere.”
日本と違い、ドイツでは方言は地方の誇り。
ちゃんと”Hochdeutsch”が話せるのに、話さない。
BAPはその地方の誇りである方言で歌っている珍しいバンド。
“Du kanns zaubaere”
はそれでも全国ヒットになった。
「フランス語なの?」
と思ってしまうほど、とても美しい方言に聞き惚れてしまう。
“Blond”
男性の憧れ
“Blond”(ブロンド女性)
を、拘りなくそのまま謳った歌詞がステキ。
ヒアリング能力が上達して歌詞が理解できれば、男性諸氏は大きくうなずく筈!
Der Weg
「何を唄っているのかよく理解できない。」
とドイツ人に定評のあるのが大御所 Groenemeyer。
Der Weg
日本語で
【道】
だけは例外。
“Was Soll Das ? “
大御所 Groenemeyerの若き頃の店舗のヒット曲、
“was soll das?”
日本語で
【何のつもりだ?】
は今聞いても面白い。
“müssen nur wollen”
日本でも(当時)有名になった”Wir sind Helden”。
デビュー曲
“müssen nur wollen”、
日本語で
【望まなきゃね。】
は、同グループ最大のヒット。
“nur noch kurz die Welt retten”
2011年、Tim Bendzkoという全く無名の歌手が、
“nur noch kurz die Welt retten”
とう曲で大ヒット。
題名は
【あとはちょこっと世界を救うだけ】
という意味。
“Ja”
女性ボーカルのバンド”Silvermond”(銀の月)。
以前、
「完璧な波」
というヒット曲を出した後、タイ・インドネシアで大津波。
「放映するのはマズイ。」
とお蔵入り。
それにめげずに出したのが、ドイツっぽいメランコリーな
“ja”
またしてもヒットになった。
スローなテンポなので、ヒアリング能力のテストにうってつけ。
“Heast as net”
オーストリアの大御所、Hubert von Goisernの名前を永遠にした
「オーストリア人なら誰でも知っている曲」
がコレ。
曲名、
“Heast as net”
の意味は不明。
ヒアリング能力があっても、歌詞はほぼ理解できません。
オーストリア人には国家の次に有名な歌。
“Brenna tuats guat”
その大御所が21世紀になって出したヒット曲、
“Rrenna tuats guat”
やっぱり何を謡ってるのかわかりません。
わからなくても牧歌的で面白いので是非、聞いてください。
“Tage wie diese”
2012年の春先、Die Toten Hosenが久しぶり(10年ぶり)にNr.1ヒットを出した。
”Tage wie diese”
は、
【こんな日には。】
という意味。
「らしくない。」
という意見で、バンドアルバムから削除される筈だったが、思い直して公開。
するとアルバムの最大のヒット曲に。
“die schönste Zeit”
定期的にヒット曲を提供してくれる”Bosse”。
2013年に発表された
“die schönste Zeit”
日本語で
【一番輝いていた頃】
は大ヒット。
ビデヲもよく出来ており個人的なお気に入り。
ヒアリング能力があると、歌詞がわかりさらにいい!
“Auf Uns”
ドイツチームが4度目の優勝を成し遂げた、2014年のワールドカップのサッカー。
開催前、歌手は競ってワールドカップの隠れたオフィシャルソングを狙って新曲を出した。
一人勝ちしたのが Andreas Bouraniの
“Auf uns”
日本語で
【俺たちにかかってる。】
は、ドイツチームの優勝も手伝って、2014年最大のヒットになった。
この曲を聞くとドイツ人は”Weltmeister”になった感激を味わう。
“Auf anderen Wegen”
Andreas Bouraniが空前のヒット曲を出した2014年末、
“auf anderen Wegen”
【違う道を】
というシングルを発表。
日々の生活で次第にお互いの違いがはっきり見えてきて、別れる過程を謳った曲。
冬の天気にマッチして、またしてもヒット曲になった。
“Das ist dein Leben”
Dittbernerが2014年に発表した
“Das ist dein Leben.”
日本語で
【これが君の人生】
はドイツっぽいメランコリーな歌でヒット。
ビデオも素敵。
スローなテンポなのでヒアリングの練習にもちょうどいい。
“oft Gefragt”
2016年の
「マイナーヒット曲」
が”Anne MayKantereit”の
”oft gefragt”
日本語では
【よく聞かれた】
という意味。
渋いだみ声と、分かりやすい歌詞が特徴。
Wenn sie tanzt
Max Giesingerの最初の大ヒットになったのが2016年9月にリリースされた
“Wenn sie tanzt”
日本語では
【踊っている限りは】
シングルマザーの日々の葛藤を描いた音楽とビデヲが、聞く人、見る人の💛を捉えます。
ヒアリング能力があれば。
“Musik sein”
定期的にヒット曲を出すの歌手の”Wincent Weiss”という歌手。
2018年夏に公開された、
“Musik sein”
日本語では
【音楽あるべし】
ドラマチックなサウンドでヒットした。
“Feuerwerk”
その”Wincent Weiss”が2017年リリースしたのは、
“Feuerwerk”。
日本語で
【花火】
わざわざ日本にまで取材。
軽快なテンポでまたしてもヒット曲になった。
“Irgendwas”
女優としても活躍している”Yvonne Catterfeld”
2018年、
“Irgendwas”、
日本語で
【何か】
で久しぶりにヒットを出した。
本人曰く、
「うるさいマスコミに嫌気がさして、これを風刺する歌を作った。」
そうだがこれが意外なヒットに。
女優だけあって、ビデヲは自演でドイツ女性の「特徴」がよく出ている。
会話の場面もありヒアリングの能力も試せる。
ドイツ留学する前に男性諸所に
「ドイツ女性の本当の姿」
を是非、観てもらいたい。
“Eine ins Leben”
オーストリアのオペラ歌手だった二人が組んだコンビが”Pizzera & Jaus”。
数年は全く無名だったが、
“Eine ins Leben”
で大ブレイク。
オペラ歌手だけあって、歌唱力は素晴らしい。
それよりも、飾らないビデヲが素敵。
“hooligans”
Pizzera & Jausの次のヒット曲が”hooligans”。
日本語でも
【フーリガン】
でも意味はわかりますよね?
フーリガンを茶化したビデヲが笑える。
Wie ein Kind
これまで有名歌手のバックグランドで歌っていたIna Regen が、
「清水の舞台から飛び降りる」
気分で出したシングルが
“Wie ein Kind”
日本語では
【子供のように】
2018年の寒い暗い冬にマッチしてが大ヒット。
以来、名の知られた歌手になり、バックグランド歌手をしなくて済むようになった出世局。
Immer noch fühlen
2018年の春 Revolverheld が出した新曲が
“Immer noch fühlen”
日本語で言えば
【まだ思ってる】
が、春に合った軽快なリズムで気分転換になりました。
Cordula Grün
2018年の夏、名もない歌手のJosh. が出した
“Cordula Grün”
が大ヒット。
本人はヒットの事を知らず、ドイツ滞在中に自分の曲をラジオで聞いて驚いた逸話がある。
日本語なら
【緑のコドゥラ】
ヒアリングができると、不倫をコミカルに語る歌詞が楽しい。
顔と似合わないしゃがれ声が魅力。
“Glück auf”
2018年の冬から2019年にかけてJorisがバラード
“Glück auf”
をリリース。
日本語で言えば、
【幸福に舵を取れ。】
が、寒くて暗い天気にマッチしてヒット。
耳に残ります。
Kaum Erwarten
2019年の初夏、またヴィンセント ヴァイスがヒット曲を出した。
テンポのいい曲が十八番ですが、今度は少しテンポを落とした
“Kaum Erwarten”
を発表。
日本語で
【待ちきれない】
結婚式を待つ時間を謳った歌です。
歌詞がわかりやすくてドイツ語の聞き取りには最適。
“alte Seele”
ドイツではほぼ無視されていたのが、オーストリアで大ヒットしたLemo の
“alte Seele”
日本語で
【昔の魂】
は2019年の秋にヒット。
ちょっと下品ですが、頭に残る軽快なテンポで、うす暗い天気に負けない陽気な気分にさせてくれる!
ヒアリングできてれば、さらに楽しい。
“Wunder”
2020年の秋、Materia がリリースした
“Wunder”
日本語で
【奇跡】
がヒット。
歌というよりは、話し言葉なので聞き取りやすく、聞き取り練習に最適!
Expresso & Tschianti
【緑のコドゥラ】
で
大ヒットを出したJosh.が2021年に出したコミカルな新曲
“Expresso & Tschianti”
がまたヒット。
中年男性が、中年女性を口説く間抜けな姿を描写したビデヲも面白い。
残念ながら主にオーストリア国内でのヒットに留まり、ドイツ国内では滅多に聞かれなかった。
LEMO -Träum
2024年10月、オーストリアの人気歌手
“Lemo”
が出した
”Träum”(夢をみろ!)
は独特なテンポと歌詞でヒットした。
歌と言うよりは、ほぼ人生賛歌。
是非、聞いて欲しい。
Edmund – Legende
その巨体からは想像できない
「とても繊細な声」
が特徴の
“Edmund”(エドムント)。
本業はウイーンの消防士のデュオ。
2024年の年末に出した
”Legende”(伝説)
は季節にマッチしてグループ最大のヒット曲に!
方言(*3)で謡っているのが、またいい。
歌詞と音楽がじ~んと心に染みわたります。
これらの歌はわかりやすいドイツ語で唄っているので、ドイツ語が中級レベルに達すれば、聞き取れる部分が多い筈だ。
注釈
*1 大学で講義を行う「先生」を大学ではこう呼びます。
*2 ドイツでも70年代までは歌謡曲が主流。80年代になって大きな変革”Deutsche Welle”がやっきて、音楽業界を一新した。
*3 オーストリア語です。