ドイツの健康保険制度を誤解されている人は、とても多いです。その原因は、ネット拡散し続けている膨大な数のフェイクニュース。皆さんが読まれた健康保険に関する記事もそのひとつで、アフリエイト(宣伝収入)を目的に書いたものです。

収入が目的なので、記事には事実の代わりに検索で上位に表示されるように、キーワードが詰め込んでいます。訪問者を多く呼び込むため、「診療費無料のドイツ医療事情!」のような、表面的な記述に留まっています。

そんな記事の特徴は、怪しげなドイツ語。文法を無視したおかしなドイツ語が、あちこちに引用されています。しかし記事を読む人も、ドイツ語がわからないので、その間違いに気づかずに、「なる程、ドイツではそうなんだ。」と理解してしまい、間違った内容がスタンダード/基礎知識になっていまます。

一度埋め込まれた先入観念を覆すのは難しいですが、ここではドイツの達人が、アフリエイト目的ではなく、誤解を解くためにここで本当のドイツの健康保険事情について紹介いたします。

国民健康保険と個人保険

ドイツの健康保険は、国民健康保険と個人保険に別れています。正しいドイツ語で表記すると、”gesetzliche Krankenkasse” と

“private Krankenkasse” です。

「個人保険って何ですか。」

こちらは民間企業の提供する健康保険です。日本には癌保険とか、死亡保険とか、民間企業の提供する追加保険がテレビで宣伝されていますよね。ドイツではそのような追加保険ではなく、国民健康保険に代わる保険として販売されています。

「どうして2つあるのですか?」

一党独裁の共産国家ならともかく、法治国家においては民間企業の自由な経済活動、個人に健康保険を提供する事業を国が規制することができません。ですから民間企業も商売として保険を販売しています。

日本に住んでいると、日本のシステムが当たり前です。しかし世界的には日本のようなケース、国民皆保険制度がメインで、個人保険はがん保険などの追加保険だけ、というのは稀です。

国民健康保険 / gesetzliche Krankenkasse

ではまずは国民保険制度から見て行きましょう。日本の国民保険制度とドイツの公的保険の最大の違いは、公的保険会社が数多くあり、被保険者が自由に選べる点です。ではどんな公的保険会社があるんでしょう。大きな会社をA,B,C 順で上げてみると、以下の通りです。

実際には数百の公的保険会社があります。

「どうして複数の公的保険会社があるのですか。」

それはドイツの保険の発展してきた歴史も関与しています。1883年、「労働者は健康保険に加入すべし。」という法律が施行されます。これに従い企業、地方自治体、企業が保険会社を設立、加入者を募りました。当時、3万5000もの保険会社が誕生しました。これが理由で、ドイツには複数の公的保険会社が存在しています。

平等、相互補助

もうひとつ、ドイツの公的保険が日本の国民保険と大きく異なる点があります。それはこの保険が相互補助、そして平等の原則から成り立ている点です。

「どういう意味ですか。」

日本では癌治療や臓器移植などの治療、手術は、「健康保険の適応外」となっています。治療を受けたければ、自費で治療を受けるしかありませんが、数千万円から億の費用を払える人が、どれだけいるでしょう。

言い換えれば、金持ちは延命治療が可能で、貧乏人は早く死ぬという構造です。これが平等でないのは、誰の目にも一目瞭然です。ドイツの保険はこうした不公平さをなくしているので、国民皆保険に加入していると癌治療から臓器移植まで受けることができます。

高額治療を受けても、保険料の追加請求はありません。高額な治療費は、健康な国民が払う保険料で賄われます。これがドイツの健康保険の相互補助の精神です。

国民健康保険の仕組み

公的保険は大きく分けて、疾病保険と介護保険に分かれています。事故保険や個人賠償責任保険は含まれていませんので、日本の追加保険のように追加で加入する必要があります。山登りが趣味な方は、救出費を払ってもらえる事故保険が欠かせません。

ドイツの診療所 玄関日本では保険に加入していても3割自己負担ですが、ドイツの公的保険に加入していると、診療所で診察、治療を受けても、診察費、治療費の請求がありません。毎月払う保険料で診察費、治療費が100%カバーされており、医師や病院は、国民皆保険に診察費を直接、請求するからです。

手術が必要になっても、これは同じです。ネット上では、「ドイツでは手術が無料。」という極論が展開されていますが、手術代金は、毎月払う保険費用で払っているので、無料ではありません。唯一、入院費だけは個人負担金があります。三食食事つきの病院の滞在費の自己負担金はたったの10ユーロ/日。

保険が効く治療、効かない治療

するとドイツの国民皆保険に加入していると、どんな治療でも保険が効くような錯覚を受けますが、保険が効かない治療も存在しています。公的保険の大原則は、「西欧医療で効果が認められている治療は、保険の対象となる。」です。ですから癌治療や臓器移植も保険の対象となるわけです。

逆に東洋医学、漢方薬やインド発祥のアーユルヴェーダなどは、治療の効果が科学的に実証されていないので、保険は効きません。例外は針治療。針治療は半年1回(全部で6回の治療)までなら、保険が効きます。

ドイツ発祥の治療、ホメオパシーは医学的な根拠がないので、保険野の対象外となっています。「いや、ホメオパシーは効く。」と信じている方も多いので、保険会社によってホメオパシー治療の一部に保険が効くケースもあります。ホメオパシー治療を信仰されている方は、保険に加入する前に、そのような保険会社を探して加入されるといいでしょう。

IGeL

公的保険の対象外になっている治療は、その他にも存在しています。その代表的なものは、”Individuelle Gesundheitsleistung”(個別の健康治療)、通称 Igel と呼ばれるものです。

詳細は以下の「個人保険」の箇所で説明していますが、国民健康保険が払ってくれる治療だけでは儲かりません。そこで診療所があたらな収入源として開発したのが、個別の健康治療です。ここでも具体例を挙げてみます。

腰痛で歩くのもしんどいので診療所に行くと、「痛み止めの注射があるけど、これは健康保険の対象外。一発25ユーロかかります。どうします。」とセールスを受けました。

「少しでも痛みが和らげば。」と打ってもらいましたが、効果なし。別の診療所に行くと、「椎間板に直接、注射を打ってあげよう。」とレントゲンを見ながら患部に注射を打ってくれました。これは効きました。

おまけにこちらは健康保険の補償が効きました。すべての個別の健康治療が役に立たないわけではないですが、役に立たないものが多いです。あまり執拗にセールスをしてくる診療所は患者の健康よりも、収入優先です。医師を変えたほうがいいです。

国民皆保険の加入資格

日本では外国人でも国民皆保険に加入できますが、ドイツでは外国人は公的保険には加入できません。

「何故ですか。」

上述の通り、ドイツの公的保険では癌治療から心臓移植、さらには目がね、コンタクト料金まで保険が効きます。「外国人も加入できる。」とやってしまった日には、「日本では癌治療は保険が効かないから、ドイツで保険に入ろう。」と癌患者がやってきて、医療費が高騰します。

これを防止するために、ドイツの国民皆保険に加入できる外国人は、ドイツに滞在する正当な理由がある人に限られています。

「ドイツに滞在する正当な理由がある外国人とは、どんな人ですか。」

わかりやすい例を出すと、難民です。ドイツ政府から難民と認定されると、ドイツの国民皆保険に無償で加入できます。次の範疇は、ドイツの滞在ビザ、それも長期の滞在ビザを所有している人です。

わかりやすい例を挙げれば、ドイツの大学に通う大学生や、ドイツで働いている人、及びその配偶者です。ドイツの大学に正規留学されたり、交換留学される人は、ドイツの公的保険に加入する権利があります。

大学生の場合は強制加入ではないので、加入するかどうか、それはあなたの自由です。でも、加入されることをお勧めします。

語学学校に通う場合

語学学校に通う場合も、「ドイツに滞在する正当な理由」のひとつですが、国民皆保険に加入できる資格はありません。

交換留学者の場合

「日本の海外旅行保険に加入していることが交換留学の条件ですが、これではビザが取れないので困っています。」というご相談はもっとも古くからあるものです。

日本の大学関係者は、「保険は現地で入れるから。」と学生を送りだすと、学生が指示に従わず無保険状態、これで病気や怪我になることを恐れる余り、「日本で保険に加入してから出発。」との一点張りです。

でも日本の保険ではビザが取れないので、再度、ドイツで保険に加入することになります。結果、日本で払った20万もの保険料は無駄になります。大学関係者さん、無駄な出費を強いるシステムは再考されたほうがいいです。

どうしても出発前に健康保険に入ることを条件にするなら、ドイツの留学保険に加入する方法をお勧めします。保険料はわずか37ユーロ/月で、滞在ビザが取れます。その後、ドイツで国民健康保険に加入されたら、こちらの留学保険を解約すれば保険料が戻ってきますので、お金が無駄になりません。

ドイツで就職した場合

ドイツで働く、厳密に言えば、ドイツでお給料が出る場合は、公的保険への加入義務があります。会社の人事担当者と公的保険会社に出向いて、加入申請をしてください。

研究滞在する場合

大学や研究機関で滞在する場合は、基本的に国民皆保険に加入する権利があります。ただしお給料が滞在する大学や研究機関から支払われ、ドイツで税金を納める場合です。

研究滞在されるものの、お給料は日本の所属先から出る、あるいは自費で滞在される場合は、原則として国民皆保険に加入できる資格はありません。

自営業者の場合

「ドイツで事業をやりたい!」と外国人がドイツの自営業ビザを申請される方、国民健康保険に加入することはできません。法律でそのようになっているので、これは仕方ありません。この場合は後述する個人保険に加入することになりますが、保険料が安くないです。

ただし最初の2年間はドクターヴァルター社の Provisit 保険に加入できるので、保険料を安く抑えることができます。その後は、一般向けの個人保険に加入することになります。

公的保険の保険料

日本と同じように、保険料は収入によって異なります。では収入のない学生の例から見て行きましょう。

学生の場合

学生と言っても、両親が公的保険に加入していれば、その子供は一緒に保障されています。ですから大方のドイツ人学生は、個人としては保険料を払っていません。

これが異なってくるのは、

  • 学生の年齢が25歳を越える
  • 学生アルバイトで450ユーロを越える収入がある
  • 我々日本人のような外国人留学生

の場合です。この場合では、個別に保険に加入する必要があります。国民皆保険の保険料は介護保険込みで、84,52ユーロ/月です。

被雇用者の場合

ドイツでは会社と被雇用者が保険料を折半します。被雇用者が払うのはお給料の14,6%+追加保険料です。例えばお給料が3000ユーロなら、毎月の保険料は438ユーロ+追加保険料です。確かに高いですが、これで家族も保険に入れて、臓器移植までできるのでそこは我慢しましょう。

「追加保険料とは、何ですか。」

かって保険会社はどこも大赤字で、国が税金で国民の医療費の一部を肩代わりしていました。その保険会社の経済状況を改善するために導入された保険料です。各保険会社が、0.3%~1.8%の間で自由に決めてよい、追加の保険料です。

すなわちお給料が3000ユーロの場合、追加保険料は9ユーロ~54ユーロ。この追加保険料は、保険会社により異なるので、加入する前に確認しておきましょう。

自営業者の場合

外国人の自営業者は基本的に国民皆保険には加入できませんので、ここで挙げるケースは、ドイツ人、ドイツで永住権を持っている人、あるいは以前、ドイツで会社員をしていて、起業した外国人の場合です。

2018年までは収入に関係なく、保険料は毎月400~410ユーロでした。開きがあるのは、追加保険料のためです。2019年から最低保険料が引き下げられ、まだ大きな収入がない場合は、160ユーロ/月で済む様になりました。

しかし収入が2283,75ユーロを越えると、収入の14%+追加保険料が保険料となります。

国民健康保険に加入する

上述の加入条件をクリアした方は、ドイツに到着後、保険会社の支店で保険に加入できます。

「日本に居るうちに、オンラインで加入できませんか。」

保険料は口座引き落としになります。ドイツ、あるいはEU内の銀行に口座をお持ちでしたら学生保険に限り、オンラインで加入申請できます。ただし!本当に加入条件を満たしているか、審査されます。「入学許可証を送ってください。」など、証拠書類の提示を求められますので、本当に資格を満たしている方だけ、申請してください。

ドイツで就職される場合は、国外からの申請はできません。保険費を半分払ってくれる会社からの同意が必要なためです。

個人保険 / private Krankenkasse

個人保険は別名、「金持ち保険」とも呼ばれています。というのも、個人保険は誰でも入れる保険ではないからです。会社員の場合、基本的に国民皆保険への加入義務があります。しかし年収が60750ユーロ/月以上の高給取りの場合(2019年)、加入義務から解放され、個人保険に加入することができます。

忘れてはならないのが、個人保険は平等、相互補助の精神ではなく、企業のお金儲けの手段である事です。公的保険なら奥さんが働いておらず、子供の3人面倒を見ている場合、旦那の保険でなんと5人保険に入れます。

これが個人保険になると、家族のメンバー、一人一人が保険に加入しなくてはなりません。保険料は大幅にアップするのに、何故、個人保険に入る人がいるのでしょう。

V.I.P.待遇

診療所にとって、公的保険の患者さんは儲かりません。日常お世話になることの多い内科のお医者さん、公的保険が患者一人頭払ってくれる診察費は、70ユーロです(目安)。これが3ヶ月分の報酬です。3ヶ月の間に患者が1回来ても、5回来ても、報酬は同じです。

1回だけなら、「OK」ですが、3ヶ月の間に同じ患者が3回も来ると、1回の報酬は2500円。朝から夕方まで患者を診ても、せいぜい50人が限界。この収入から高価な医療器具を購入、看護婦さんのお給料を払い、診療所の賃貸料を払い、税金を払うと、決して儲かる商売ではありません。

そんなお医者さんの希望が、個人保険の患者様。個人保険会社は公的保険の3~4倍の報酬を、それも毎回、払ってくれます!言い換えれば、個人保険の患者が居るから、診療所の経営が成り立つことになります。

ドイツ診療所の待合室これが原因で、「公的保険の患者さんはお断り。」というお医者さんも多いのが現状です。税金で医学を勉強、医師試験に合格したんだから、社会に多少は奉仕してもいいと思いますが、医師といえども商売です。「儲からない患者は診ない。」という医師が居るのが現状です。

個人保険で得をするのは、医者だけではありません。ドイツの診療所はアポイント制。ちゃんと予約を取って診療所に行っても、待ち時間2時間なんてざらです。

待つのが嫌で、診療所に行くのもいやになります。でも個人保険に加入していれば別。アポイントを待っている客をよそ目に、優先して診察してもらえます。流石に、「個人保険専用椅子」はないですが、扱いが違います。

個人保険の患者に失礼がないように、診療所で真っ先に聞かれるのは、”Wie sind Sie versichert?”(保険はどちら)です。個人保険に加入している人は、鼻高々に、”privat”(プリヴァ-ト)と言いましょう。受付のお姉さんの愛想がよくなり、別待遇を受けれます。

扱いの差は、怪我をして入院した際に顕著に現れます。公的保険の場合は、”Mehrbett-Zimmer”(複数ベット部屋)と呼ばれる部屋に収容されます。個人保険の患者様は、シングルルームでテレビ付き。お食事はメニューから選べて、手術をするのは主席執刀医です。

個人保険料

個人保険を販売している会社は私企業なので、保険料は自由に決めれます。ですから、「○○ユーロです。」ということはできません。さらには、「個人保険」とは言っても、最近は公的保険のように医師にかかった際の待遇を削っている保険も出てきました。そんな安い個人保険では、毎月200ユーロ+から加入できます。

デイスカウントの個人保険でない、古典的な個人保険の保険料は、30代前半で持病がなければ、保険料は430~440ユーロが目安です。持病があると、保険料はぐっと上昇します。

「だったら国民皆保険と大して差がない。」

と、保険を個人保険に変えるのは要注意。上述のように家族を築く場合、不利になります。さらに年齢を重ねると、保険料も上昇します。定年退職して収入が減った頃には、保険料は800~900ユーロ/月もの高額になります。

「だったら国民皆保険に戻ればいい。」

それができないんです。「一度、公的保険を離れて、個人保険に移った者は公的保険に戻れない。」という法律があるからです。ですから個人保険への変更は、3回考え直してください。

「失業したら?」

以前は、失業しても公的保険に戻れず、高額な保険料も払えず、無保険の人が発生、社会問題になりました。そこで法律が変わり、失業すると公的保険に戻れるようになりました。ただし55歳未満まで。公的保険なら、失業しても国が保険料を払ってくれるので臓器移植もできます。

個人保険に加入する

どこの保険会社も個人保険に加入してくれる人は大歓迎です。電話でもオンラインでも、支店でも加入できます。

「お勧めは?」

基本、「安いのにいい!」という保険はありません。保険料と補償範囲は比例するからです。保険料が安ければ、それだけ保障範囲、補償額を削っています。逆に、「保険料が高いのに、よくない。」という保険はあります。

個人保険への加入者を紹介をすると、おいしいコミッション(キックバック)が出ます。これを生業としている方も居ますが、商売上、コミッションが多い会社を、「お勧め」しているので要注意。ドイツ語のわからない日本人は、赤子の手をひねるようなもので、簡単に説得されています。

ドイツではオンライン上で、さまざまな個人保険の補償内容が比較されて公表されています。そちらを信用されたほうがいいと思います。

参照先 : Focus

公的保険で個人保険患者待遇

個人保険に変えるのはリスクがつきまとうので、公的保険に留まっていながら、個人保険の得点を受けれるシステムもあります。それが日本でも御馴染みの「追加保険」です。

どの保険会社も高収入お客さんを逃がさないように、追加保険を用意しています。その内容は

  • 歯科治療追加保険
  • 入院優遇追加保険
  • ホメオパシー追加保険
  • 眼鏡追加保険
  • 介護追加保険
  • 保険金追加保険

などなど、その種類は豊富です。この追加保険の中で一番大事なのは、一番上の歯科治療追加保険です。

歯科治療追加保険

ドイツでも歯の治療はとても高価です。これが理由で、日本の留学保険には歯科治療が含まれていません。公的保険の原則は、「医学的な根拠があれば、保険の対称内」ですが、これが著しく制限されているのが、歯科治療の分野です。

虫歯で穴を埋める程度の治療でしたら、健康保険が治療費をもってくれます。でも問題は詰め物。保険が効くのは、銀色のアマルガムでの詰め物だけ。でもこれでは口を開けると、埋めた跡が目に付きます。

歯の色に合わせた “Komposit-Füllungen”という詰め物は、目に付きやすい横の部分の穴埋めに限って、健康保険が費用をもってくれますが、費用は180ユーロまで。

奥歯の穴埋めも歯の色に合わせると、どんなに小さな穴でも70ユーロ、大きな穴だと100ユーロも自己負担になります。

でもこの程度なら払えない額じゃない。問題は穴埋めは済まない場合です。”Krone”(王冠)が必要になると、1本でも700~900ユーロもかかります。この費用の内、保険が持ってくれるのはわずか30%です。

すなわち自己負担は490ユーロ~720ユーロ。そんな高額の治療費を一度に払いたくない人の対策法は、以下の通り。

1. Bonusheft

2. 歯科治療追加保険

ドイツのバーナス冊子まずはお金のかからない方法から。毎年、歯医者に行って検査をしてもらい、”Bonusheft”(ボーナス冊子)にスタンプを押してもらいます。5年間勤続すると、公的保険が払ってくれる費用は、50%まで上昇します。10年だと60%。

ドイツに住み始めたらまず最初に始めるのが、歯医者に行って検査をしてもらい、このスタンプ集めです。冊子はどこの歯科医でももらえます。

もうひとつの対策は。将来の出費に備えて歯科治療追加保険に加入する方法です。これは公的保険も個人保険も提供しているので、加入される保険会社で尋ねてみましょう。

安い保険でまだ30代なら、月々、12ユーロ程度の掛け金で済みます。保険が持ってくれるのは30%。スタンプとあわせると、80%までカバーされるので、自己負担は最小限で抑えられます。

中には王冠やインプラントの治療でも50~60%もってくれる保険もありますが、すると保険料が30~40ユーロ。どの保険にするか、お財布と相談してください。

保険加入時期

歯科治療追加保険には、まだ歯が健康なうちに加入します。とは言っても加入されていない日本人がほとんど。王冠やインプラントが必要になってから、「今から保険に入れますか。」とお問い合わせをいただきます。

保険会社がこれからインプラントの治療を受ける人に、毎月30ユーロの保険を販売すると赤字になります。そんな商売をしている保険会社はありません。

治療が必要になってから入れる保険もあるんですが、これでお金が節約できると思ったら、大間違い。10年間の保険契約で保険料が50ユーロ/月。10年間で6000ユーロを保険会社に納めることになり、最後に儲けるのは保険会社です。

6000ユーロも払うなら、銀行からお金を借りて公的保険がもってくれない部分は自費で治療、毎月借金を返していくほうが安いです。そんな体験をされたくない方は、健康なうちに上述の対策をとってください。