ドイツで滞在ビザを申請する際に必要になる閉鎖口座 。
と言われても、
「何、ソレ?」
という方が大半だと思います。
そこでここではドイツの達人が一肌脱いで、多くの方が悩んでいる疑問、
「閉鎖口座って一体、何?」
を、解説しようと思います。
目次
閉鎖口座 / Sperrkonto とは?
閉鎖口座と聞いて、
「何ソレ?」
と思ったはあなただけじゃない!
試しにドイツ人に、
「閉鎖口座って知ってる?」
と聞いても、誰一人知りませんでした。
そこで
「物は試し」
と思い私が口座を持っている銀行で、
「”Sperrkonto”って、ここでも開けるの?」
と聞けば、
「何だそれは?教えてくれ!」
という有様。
ドイツ人、それも銀行員でさえ知らないのですから、日本人で知っている人は稀。
その閉鎖口座、平たく言えば
その名前、
“Sperr”(閉鎖する)
“Konto”(口座)
が語る通り、お金を自由に下ろせないので、この名前が付いています。
何故、閉鎖する?
と聞けば、
と思いませんか?
それは悪用を防ぐためです。
ドイツで不法滞在を計画している外国人は、とても多いです。
そんな外国人がお友達などからお金を工面して銀行口座に払い込み、十分な残高のある口座残高の証明書を取得。
その後、ビザを取ってからすぐに借りたお金を返せば、不正に滞在ビザを取得できちゃいます。(*1)
そんなことができないように、
このような機能があるので、閉鎖口座の残高を提示すると、留学(生活)資金の証明として認めてくれます。
皆まで言えば、この口座は戦後にドイツの不動産の買収を防ぐために、
「ドイツインフラ投資 閉鎖口座」
として初めて導入されたもの。
今回、不法滞在外国人対策で復活しました。
留学(生活)資金の証明
そもそもドイツで滞在ビザを申請するには、留学(生活)資金の証明が必要です。
十分な生活費がないと、ドイツで違法就労をすることを余儀なくされます(*2)。
するとドイツ人の仕事を奪うことになります。
そこで外国人が滞在ビザを申請するには、
とされています。
ではどうすればいいのでしょう。
外人局で、
「働きません。」
と言うだけでは不十分です。
口約束を信じる役人は居ません。
その書面での証明が、
- 経費負担宣誓書
- 閉鎖口座
なのです。
経費負担宣誓書 / Verpflichtungserklärung
まずは
”Verpflichtungserklärung”(経費負担宣誓書)
から始めましょう。
こちらは、
「渡航者がドイツ滞在中に必要になる資金を、私が保証する。」
という宣誓書です。
この書類を取得するには保護者が過去のお給料明細を持って、ドイツ領事館まで出向いてもらう必要がありました。
ところが日本のドイツ領事館は、この宣誓書の受理を2017年で終了しました。
2018年からは申請を受理していません。
ドイツに保護者、あるいは留学資金を出してくる人がいるなら、この人に外人局に出頭してもらえば現在でも”Verpflichtungserklärung”が取れます。
この経費負担宣誓書を取得できない場合は、どうすればいいのか?
その答えが閉鎖口座なんです。
開設から解約方法まで完全解説!
まだ2014年くらいまでは
「ただの銀行口座残高」
で滞在ビザが取れました。
しかし上述した通り不法滞在者が増えた為、閉鎖口座は2015年あたりに新しく導入されました。
導入当初は情報が少ない上、規則もちょくちょく変わり
「何を信用したらいいのかわからない。」
というひどい有様。
今では規則もほぼ整備されているので、このページさえ読んで渡独すれば心配要らずです。
以下に実用面、口座開設から解約まで徹底解説します。
どこで閉鎖口座が作れるの?
閉鎖口座は複数の金融機関で開けます。
お勧めは地方自治体の経営する銀行のシュパールカッセ/ “Sparkasse”、
ドイツ第二の私銀行のコメルツ銀行 /”Commerzbank”、
それに最大手のドイツ銀行 /”Deutsche Bank”です。
この”BAM”は、ドイツの外務省のホームページで、
「以下の銀行で閉鎖口座が取得できます。」
として掲載されていた銀行のひとつでした。
これを鵜呑みにして
「外務省のホームページに載っているんだから安心。」
と思ってここにお金を預けていた学生は、自分の預金にアクセスできなくなりました。
今、外務省のホームページを見ると、
「閉鎖口座を提供している銀行のリストは、最近の出来事により精査中。」
となっています。
悪いことは言いません。
外務省のホームページよりも、当社のホームページを信用したほうが安全です(*4)。
閉鎖口座 開設費用
閉鎖口座はただではありません。
開設費用がかかります。
一番高いのはドイツ銀行の閉鎖口座で、150ユーロです。
おまけに毎月、6.90ユーロの手数料。
高過ぎ!
他の銀行はもっと手数料が安い(筈)です。
でも費用を公開していないので、正確な費用がわかりません。
日本に居ながら閉鎖口座開設
当社に多く寄せられるお問い合わせが、
というものです。
それができるんです。
必要な書類は以下の通り。
- 閉鎖口座の開設申請用紙
- 大学、語学学校からの入学許可証
- パスポートのコピー
閉鎖口座 開設申請用紙
閉鎖口座の申請用紙は、銀行にメールで送ってもらうようにお願いしてください。
通常、英語の申請書が届きます。
もしドイツ語版が言い方は、その旨、メールに明記しておいてください。
デュッセルドルフに滞在されるなら、デュッセルドルフの支店に閉鎖口座を開設します。
どうすればデユッセルドルフの支店の連絡先がわかるの?
簡単です。検索サイトで、”Sparkasse”、”Düsseldorf”と2単語を入れるだけ。すると市内にある支店が幾つも表示されます。
どの支店にすればいいの?
デュッセルドルフなら、中央駅前の支店が交通の便がいいので便利です。
大学、語学学校からの入学許可証
大学、語学学校からの入学許可証は、そのままでは駄目です。
ドイツ領事館(あるいは名誉領事事務所)に出頭、この書類を”Beglaubigung”(認証コピー)してもらいます。
パスポートを持参するのをお忘れなく。
認証コピー費用は3000円程度。
書類を郵送
その後、必要書類を閉鎖口座を開設する銀行に郵送してください。
クリスマスやオスターン(イースター)の祝日期間でなければ、1週間ほどでドイツの銀行に届きます。
銀行が書類を処理するのにさらに2週間。
「ちゃんと書類が届いたのかしらん。」
と心配を始めた頃に、メールで閉鎖口座が開設された旨、連絡が届きます。
滞在ビザが取得できる残高
閉鎖口座を取得したら、今度はその口座にビザの発行に必要な資金を送金します。
2025年1月1日から新規則が導入されます。
1か月あたり992ユーロです。
最初から全額、入金しないと駄目ですか?
駄目です。
12ヶ月の滞在ビザを申請されるなら、12か月分、振り込んでください。
その後、ビザの申請に必要な口座残高証明書が送られてきます。
(あるいはオンラインで口座残高を印刷。)
このように日本から開設すると、とっても面倒です。
閉鎖口座が要らない?
ここで耳寄りな話をひとつ。
基本、
が、地方都市では”Girokonto”の残高証明で、滞在ビザが取れるケースもあります。
日本人に人気の留学先、フライブルクもそんな地方都市。
加えてあのベルリンでも、
「今回だけよ。」
という条件で、滞在ビザが取れたことも。
ベルリンの外人局は話がわかります。
お勧めの方法
ただでも
「ドイツ語の書類はしんどい!」
という環境で、二つの銀行に口座を開きドイツ語の書類を読むのは、
「超~面倒~」
です。
ですからドイツにいってから現地で、支店のある銀行で閉鎖口を開設する方法をお勧めします。
手間が一回で済みます。
会員専用ページ
現地で閉鎖口座を開設する方法、必要書類などは会員ページで詳しく解説しています!
オンライン 閉鎖口座 Fintiba
このように日本から大手の銀行に閉鎖口座を取得するのは大変です。
それがあるんです。
“Fintiba”(フィンテイバ)
という会社(GmbH)が、オンラインで閉鎖口座の申請を受けています。
必要な書類はパスポートだけ。
ただし!
英語・独語・スペイン語、あるいは中国語での記入になります。
郵送する書類も不要。
メールで閉鎖口座の申請書送付を依頼するよりは、全然簡単です。
Fintiba 閉鎖口座 開設費用
閉鎖口座の開設費用は89ユーロ。
それに毎月、4,90ユーロの口座維持費がかかります。
お申し込み
こちらからオンラインでお申し込みできます。
要 Girokonto
“Fintiba”で閉鎖口座の開設が終わり、無事、滞在ビザも取得したとしましょう。
その後、閉鎖口座から生活資金をおろして生活するわけですが、フィンティバはオンライン銀行なのでATMがありません。
そこで支店のある銀行に
“Girokonto”(ジローコントー)
を開設して、ここに生活費を送金しなくてはなりません。
「ジローコントー」
とは日本の普通口座にあたるもの。
ドイツではお給料の支払いに利用するので、
“Gehaltskonto”(給与振り込み口座)
とも呼ばれています。
ドイツの銀行口座について、もっと知りたい方はこちらを参照あれ!
閉鎖口座を解約する!
折角、閉鎖口座を開設したものの、何かの都合で早めに帰国することになった場合、口座を
“kündigen”(解約)
しなくてはなりません。
普通のお給与口座 /”Girokonto”なら、
「解約したい。」
と窓口で言うだけで、解約できます。
ところが閉鎖口座はそんなに簡単に行かないんです!
外人局から解約の許可をもらう
滞在ビザを取るために一時的にお金を工面して閉鎖口座を開き、
「ビザが取れたら、解約してお金を返せばいい!」
と考える人が少なくありません。
そのような悪用を阻止するために、
正確な手順は閉鎖口座を開いた銀行によって異なりますが、通常は銀行から閉鎖口座解約の書類をもらいます。
これに所定事項を(自分で)記入して外人局に行き、
「帰国することになったので、閉鎖口座を解約します。ついては、、。」
と言えば、皆まで言わなくても相手には事情が伝わります。
伝わらない場合は、閉鎖口座の解約書類とパスポートを提示してください。
本当に帰国するなら、有効な滞在ビザは必要ありません。
そこで帰国する日まで有効な滞在ビザに書き変えて、不正に滞在できないようにしてから、閉鎖口座の解約書類にサインをしてもらえます。
サインの入った閉鎖口座の解約書類を銀行に持っていけば、口座を解約できます。
解約できれば残金は、その場で払い戻しされます。
その一方で、Fintibaで閉鎖口座を開設すれば、メールを送るだけで解約できます。
残高が2000ユーロを超える場合
ただし!
閉鎖口座の残高が2000ユーロを超える場合は、2~3か月の通告期間が必要です。
このため急に帰国になった場合は、まずは閉鎖口座解約の手続きだけしておきましょう。
その後、(信用できる)友人に口座を解約してもらい、日本まで送金してもらうことになります。
そこまで信用できる人が居ない場合は、次回、渡独するまで閉鎖口座に貯金しておくことになります。
ドイツのオンライン銀行
ドイツに住むなら支店のある銀行口座は必需品。
その欠点は手数料。
支店網やATMを維持するのに膨大な経費がかかるので、
“Kontoführungskosten”(口座維持費用)
がかかります。
通常は5,90ユーロ/月。
「もったいない!」
という方は、オンライン銀行に口座を開けば、基本、口座維持費用は無料です(*6)。
おまけに幾つかの都市では、閉鎖口座じゃなくても、オンライン銀行口座で滞在ビザが取れちゃう!
そこで以下にドイツで有名なオンライン銀行を幾つか挙げておきます。
Fyrst
ドイツ銀行がN26などのオンライン銀行に対抗するために、2019年に始めたオンラインバンクです。
“Basic”を選べば口座維持手数料は無料。
「自営業者向けの口座」
がウリですが、そうでない方でも開設できます。
ここに口座を開ければ、ドイツ銀行のATMから無料で現金が下せるのが嬉しい。
ING Diba
オランダ系のオンライン銀行。
口座維持費無料。
さらに口座を開設すると75ユーロもらえるそうです。
本当にもらえるかどうか、試していないのでわかりません。
もらえなくても責任は負いかねます。
バイエルン州では、ATMをちょくちょく見かけました。
Comdirekt
Commerzbank の孫銀行。
口座維持費無料。
そもそも株の取引きを専門にしているので、株をお安く売買したい人には便利。
さらに口座を開設すると100ユーロもらえるそうだ。
本当にもらえるかどうか、試していないのでわかりません。
もらえなくても責任は負いかねます。
N26
N26 はベルリンに本社を置くネット銀行です。
俗に言う金融関係のスタートアップで、金融関連ではドイツで一番成功しているスタートアップです。
口座維持費無料。
携帯電話での支払いもできるので、そのような機能を持ちたい方には便利かもしれない。
口座取得が簡単なので、犯罪組織がマネーロンダリーに常用するほど(*8)。
Wise
皆さんご存じのイギリスに本社を置く
「送金専用の銀行」
がワイズです。
昔の名前、
「トランスファーワイズ」
の方が個人的には検索し易くてよかった、、。
ドイツに送金するのに便利なので、すでに口座をお持ちの方も多いでしょう。
実はワイズでEU内の銀行口座が取得できるんです。
日本に居ながら!
それも無料で!
口座自体はベルギーの銀行口座になります。
でも、EU内の金融市場は統合されており国内市場扱いなので、ベルギーの口座で問題なし。
まだ口座を持っていない方、以下のリンクをクリックすると
「最初の送金だけに使用できる割引クーポン券」
が表示されます。
DKB
ベルリンに本社を置くネット銀行。
親銀行はバイエルン州立銀行。
口座費無料です。
ATMはないですが、ドイツの大手スーパー、REWE それにドラッグストアーの DM のレジでお金を手数料無料で下ろすことができます。
払い込みには手数料がかかります。
ドイツで数少ない携帯での支払い
- ”Apple pay”
- “Google pay”
に対応。
銀行のサービスを価格をチェックする専門雑誌で、毎回、トップに輝いています。
が、私は使ったことがないので
「受け売り」
です。
* 注釈
1 ドイツの役人はそう考えます。
2 ドイツの役人はそう考えます。
3 正式名称は”Bundesweites Anlagenmanagement”。今後、銀行は処理されます。
4 外務省は、「ホームページに載せていても、安全かどうかチェックしたわけでない。」と、都合のいい言い訳をしていました。
5 稀に閉鎖口座でなくても、ドイツの銀行口座であればビザの申請を受けてくれる自治体もあります。アウグスブルクやレーゲンスブルクの外人局は法律に疎いので、オンライン口座でも滞在ビザが取れました。
6 基本、口座維持費用は無料ですが、何かサービスを利用すると高い手数料を課せられます。
7 口座を開く人が本人かどうか、確認する作業を要求する銀行もあります。
8 金融機関の監督機関”Bafin”から何度も行政指導を受けています。