これまで20年以上に渡り ドイツの滞在ビザ を自分自身、そしてお客様の滞在ビザを、フライブルク、デユッセルドルフ、アウグスブルク、そしてミュンヘンで申請してきました。
「今日はもう受け付けないから、明日来い。」
と部屋に入るなり追い返された特別なケースを除き、ほぼ一発でドイツの滞在ビザを取ってきました。その数は総計で60枚以上。
ここではドイツの達人のビザ取得の極意を、無償でご紹介いたします。
目次
ドイツの滞在ビザ – シェンゲンビザとは?
ドイツに90日を超えて留学、あるいはその他の目的で長期滞在する場合、あるいは短期でも就業目的で渡独する場合、日本国籍を有する我々は、滞在ビザが必要になります。
ビザは英語圏での言い回しで、ドイツ語ではAufenthalt(s)(滞在)erlaubnis(許可証)といいます。
さらに厳密に言えば、ドイツはシェンゲンビザ協定(ルクセンブルクのシェンゲンで決められたので、この名前になっています。)に調印しているので、シェンゲンビザと言います。
参照 : wikipedia
つまりこのシェンゲンビザを持っていれば、シェンゲンビザ協定に加盟してくる国には、自由に行き来できます。
でもここでは「ビザ」の方がシェンゲンビザより一般的なので、ビザという言葉を引き続き使用します。
何故、ビザ(滞在許可証)は必要なの?
でも、どうしてドイツに滞在するにはビザ(滞在許可証)が必要なんでしょう?
ドイツはヨーロッパでも金持ちの国です。なれば当然物価も高いし、労働賃金も高く、労働環境もいい。
仕事をしなくても、日本では健康保険の対象にさえなっていない高価な治療が無償で提供され、家賃は自治体が払ってくれ、子供一人頭3万人の助成金が出て、保育所はタダ!
仕事のない、あるいは給与の低い故国で働くより、ドイツで働いてお金を稼いたほうがてっとり早いのは自明の理。
そこで、アフリカ、東ヨーロッパ、アジアからドイツに密入国しようとする外国人が後を絶ちません。
「景気がいい。」と言われているドイツですが、未だに220万人を超える失業者がいます。ドイツ人でさえ仕事がないのに、このまま外国人がドイツに大挙して押し寄せれば、ドイツ人の仕事がなくなってしまいます。
そこでドイツに入ってくる外国人をコントロールする為に、ドイツに入国する外国人にはドイツの滞在ビザを故国で事前に申請、取得を義務づけるようにしました。
つまりドイツに入国する場合は、まずは居住している国にあるドイツ領事館でドイツ入国の為の審査をして、不適切な外国人の入国を防ぐようにしているわけです。
日本国籍者の特別ルール
日本国籍を有する場合は例外的に、ドイツに到着した時点で90日間の観光ビザが自動的に発行されます。
このため、まるでビザなしで入国できたように感じています。でも実際は、日本人でもドイツ入国にはビザが必要で、観光ビザが発行されています。
そして90日を超えてドイツに滞在する場合は、この最初に発行された観光ビザが無効になるので、ドイツ国内で新たに滞在ビザを申請する必要があるのです。
観光ビザを後回し?
「90日間の観光ビザをドイツ滞在の最後に回して、滞在ビザが切れてから、この観光ビザを使って旅行(延長滞在)できませんか。」
というお問い合わせをいただくことがあります。
これはできません。観光ビザは上述の通り、ビザなしでドイツに入国した場合、最初の90日間に対して与えられるものだからです。
原則日本人は、ワーキングホリデービザを取得する場合を除き、日本で滞在ビザを取得することは不可能です。
すなわちドイツにはビザなしの形で入国するので、入国の際に観光ビザが発行されています。すでに発行された観光ビザを
「90日全部使ってないから、残り分を後で使いたい。」
と後回しにしたり、新たに取得することはできません。
Es sein denn(例外は)、日本に帰国して90日経過ごし、それから再びドイツに入国する場合です。このケースでは、再び観光ビザが発行されます。
日本のドイツ領事館でドイツの滞在ビザを申請?
今でも人気のお問い合わせのひとつが、
「日本のドイツ領事館で、ドイツの滞在ビザの申請はできないんですか?」
というもの。
私が留学した頃はできたんですけどね、それも神戸で。
今はできません。
「ビザなしでドイツに入国できるものは、ドイツ国内で滞在ビザを申請すべし。」
と通達が出ているからです。
ドイツの滞在ビザ を悪用して違法就労
一方、そんなに簡単にドイツの滞在ビザが取得できない人たちは、いろんな手を使ってビザという障害をクリアしようとしています。
一番多いケースがドイツの語学学校や大学に通うと称して滞在ビザを取得したものの、実際には学校や大学に通わずに、違法就労している ケースです。
あまりにこうしたケースが多い為、ドイツの滞在ビザの取得には、厳しい条件が課せられるようになりました。
我々日本人がドイツで滞在ビザを申請する場合でも、上記のような背景があり、
「違法就労が目的でビザの申請では?」
と、頭から疑われて審査されます。
ドイツでは、未だに日本の場所さえ知らない人が多いですから、「アジアの経済大国なんだよ!」って言っても「だから何よ?」で、終わりです。
こうした疑念を抱かれても、スムーズに手続きが進捗する様にビザの申請の際には、必要書類を完璧に揃えて持っていきましょう。
ドイツの滞在ビザ を一発で取る! 極意をドイツの達人が伝授
ドイツの滞在ビザを一発で取るのに一番大事なのは、ビザの申請書類、それも正しい書類を集めることです。
一般のケースでは、以下の書類が必要になります。
- 証明写真
- ビザの申請用紙(現地外人局で入手)
- パスポ-ト
- 適切な居住場所の確保(賃貸契約書、これがなき場合は賃貸証明書)
- 健康保険の証書(独文)
- 留学/生活資金の証明書 あるいは Verpflichtungserklärung
以下に個々の項目を解説していきます。
証明写真
“biometrische Paßbilder”と呼ばれる顔の写真が必要です。
参照 : ドイツ領事館
ドイツでは証明写真のサイズは 45mm x 35 mm と相場が決まっているので、「証明写真」とだけ書かれています。サイズは?と悩むのは日本人だけ。
肩から写って顔が小さくなっている写真では不可で、撮り直しになります。幸い、外人局にスピード写真機が備えてあり、「不可!」と言われた場合は、ここで写真を撮れます。
ドイツの滞在ビザ 申請用紙
ドイツの滞在ビザを申請される自治体で、申請用紙が微妙に異なります。
ベルリンの滞在ビザ申請用紙が一般的で、ハンブルクのように日本語版の申請用紙が用意されているのは稀。(*1)
留学(滞在)される街の外人局のホームページから、その自治体用の用紙をダウンロードして記入してください。
ご自身で記入できない方は、当社で記入を代行させていただきます。(有料です。)
ホームページでダウンロードできない場合、外人局の窓口に大量に置いています。
*1 滞在ビザ申請用紙が日本語だからといって、日本語で記入しては駄目です。
パスポート
折角、滞在ビザが1年下りるのに、パスポートの有効期限が10ヶ月で切れちゃう!
なんてケースが意外と多くあります。
そんな場合、新しいドイツの滞在ビザは、パスポートの有効期限までしか発行されません。これがと~っても残念。
また滞在ビザを申請に行くのは、超~面倒。何とかして一発で済ませる方法はないものか?
それがあるんです。当社の会員様には、無償でお教えしちゃいます。会員でない方は、生活サポートをご利用ください。
適切な居住場所の確保
適切な居住場所を確保している事も、ドイツの滞在ビザの発給の条件になっています。
どういう意味ですか?
誰かが代表でアパートを借り、ここを「雑魚寝」形式で住む場所にして、滞在ビザを申請する外国人が多いです。これは滞在ビザを取るための住所の悪用とみなされて、滞在ビザがおりません。
アパートを借りている場合は問題ないですが、WG / シェアハウス形式で住まわれる場合は、部屋の大きさ、アパートの設備まで問われます。
適切な居住場所の証明
ドイツの滞在ビザを取得するには、適切な居住場所を確保している事を証明する必要があります。
これには、どうすればいいのでしょう?
アウグスブルクではアパートの賃貸契約書の提示で済みましたが、ミュンヘンでは大家からの賃貸証明書が必要でした。
これらの必要書類は都市によって異なるので、どの町で何が必要になるか一概には言えません。
語学学校に留学して学生寮に住んでいる場合は、学校がドイツの滞在ビザ申請用の賃貸証明書を出してくれます。
ホームステイ先に住んでいる場合は、滞在先が発行する賃貸証明書が必要です。これを発行してくれないと、ドイツの滞在ビザが取れませんので、契約をする前に確認しておいてください。
健康保険の証書
インターネットのお陰で今や情報が氾濫する時代ですが、間違った情報が多いのが現状です。
例えば日本の海外旅行保険をドイツ留学用の保険!として販売しているケースが多く、これに加入されてドイツへ留学される方が後を絶ちません。
これについて留学保険のページに詳しく書いておきましたので、どうか偽情報に騙されないで、当社のホームページを参照してください。
留学資金の証明
一番面倒な書類が留学資金の証明です。
ドイツの滞在ビザを取得するには、働かなくても滞在中の費用を払える留学資金の証明が必要です。
「お金はあります。」
という言葉では不十分で、ドイツ語しか理解できない外国人の役人にも理解できるように、証明する必要があります。
日本の銀行口座の残高証明
2015年くらいまでは、英文で発行された日本の銀行口座の残高証明でドイツの滞在ビザが取れました。
これが駄目になりその代わりに必要になったのが、経費負担証明 /”Verpflichtungserklärung”です。
しかるに今でも、「ドイツの滞在ビザの申請には、口座残高の証明書が必要です。」と書いてる記事の多いこと。
ドイツの滞在ビザの発給条件は、毎年変わっています。1年前に書かれた記事はもう当てになりません。ブログの記事を読んで安心していると、ドイツで大変な目に遭います。ご注意あれ
Verpflichtungserklärung / 経費負担証明
経費負担証明は、ドイツ滞在中の費用を、両親(あるいは第三者)が負担することを宣誓 証明するものです。
この書類は2017年まで日本のドイツ領事館で申請できましたが、2018年から申請が受理されなくなりました。(*2)
そこで別の方法で十分な留学資金があることを証明する必要があります。
*2 日本人スタッフは、「できません。」の一点張りですが、未成年者の留学の場合は、領事館のドイツ人と交渉すれば、「しょうがないわね。」と発行してくれます。
閉鎖口座 / Sperrkonto
そこで今、ドイツの滞在ビザを申請する際に必要になるのが、閉鎖口座と呼ばれる特殊な銀行口座です。(*3)
これについては、以下のページで詳しく解説しておきました。
*3 稀に閉鎖口座なしで、ドイツの滞在ビザが今でも取れます。アウグスブルクやレーゲンスブルクでは、ドイツの銀行口座なら、閉鎖口座でなくても取れます。
時々、ベルリンでも通常の銀行口座で滞在ビザの取得に成功した例も報告されています。
外人局 / Ausländerbehörde
上述の書類が揃ったらいよいよ外人局 / Ausländerbehörde で、ビザの申請です。
アポイントなしで申請に行くと2~3時間も待たされるので、可能ならアポイントを取って申請に行くのがスマートです。またドイツでは官庁の営業時間は(火曜日と木曜日を除き)午前中だけです。
アポイントを出さない外人局(ミュンヘン)もあり、そうなると気の遠くなる人込みに混じって、ひたすら順番を待ちます。
アポイントなしのドイツの滞在ビザの申請では、できるだけ早くいってください。ミュンヘンの外人局にお客さんと一緒に、朝の10時半にいきました。
受付番号表を出さないので40分廊下で立ったまま待たされた挙句、
「今日はもう申請を受けないから、明日、朝一番に来い。」
と追い返されてしまいました。
外人局の営業時間中でも、ビザの申請者が多い、同僚が病気で休んでいると、残業を防ぐため10時半には受付を辞めます。しんどいですが、一発で済ませるには、朝の一番に行く必要があるようです。
ドイツの滞在ビザ 申請時のトラブル集 7選
1. 通訳
外人局の役人は、ドイツ人にしては珍しく英語ができません。パートで雇われてる職員も多いのが原因です。
「何のためにビザがいるの?」
と聞かれ、何も回答できないと、
「ドイツ語がわかる人物を連れて来い。」
と言われるケースもあります。
2. 健康保険
「この保険ではドイツの滞在ビザはおりない。」
と言われることがあります。日本の保険に加入したのがその理由です。渡独前にちゃんとしたドイツ留学保険に入っておきましょう。
「そんなの嘘だ!」
と、言われる方は、ドイツの滞在ビザの発給を拒否されてからでも、加入できます(渡独から30日以内)。
3. 保険の有効期限
仮に保険に12月31日まで加入していたとしましょう。ところが帰国するのは1月3日。
「たかが3日だから、構わない。」
と、滞在ビザも1月3日までで申請すると、100%、「駄目だ。」と言われます。滞在ビザは、保険の有効期限内でしかおりません。
1日であろうとも外人局は目をつぶってくれませんので、保険料を節約せず、ドイツ帰国日まで保険に加入してください。
4. 名前の表記 – 洗礼名
「キリスト教徒なので洗礼名を書類に入れてください。」
と、ご要望をいただくことがあります。これをやってしまうと、ドイツの滞在ビザの申請は却下されます。パスポートに記載されている名前と、語学学校、保険書類に記載されてる名前が一致しないからです。
Sato が Satoh だったりしただけで、問題になります。一語一句間違いなくパスポートに表記されている名前で、書類を作成してください。
5. 滞在資金不足?
ドイツの滞在ビザを取るに必要な最低生活費は、861ユーロ/月です。この額が閉鎖口座でも要求されています。
でもミュンヘンのような家賃が超~高い街だと、家賃が700ユーロというケースもざらにあります。
すると、「残高161ユーロでは生活できない!」と言われ、ビザの発給を拒否されました。
ミュンヘンの外人局の(ヒラ)役人は、
「日本のドイツ領事館で経費負担証明 /”Verpflichtungserklärung”をもらってこい。」
と言います。
「日本のドイツ領事館は発行してくれない。」
と言っても、聞く耳もたず。日本のドイツ領事館は、
「経費負担証明は発行しません。」
と責任逃れをしないで、ちゃんと現場の状況を確認して対処して欲しいです。この難題にも関わらず、お客さんの滞在ビザを取るのが、ドイツの達人です。
その方法は企業秘密です。
6. ドイツで働きたい!
外人局が一番気にしているのが、
「この外国人は留学をかくれ蓑にして、本当は仕事を探すつもりではないのか?」
です。そんな事とは露知らず、
「将来はドイツでは働きたい。」
なんて言ってしまった日本人。語学学校には1年間申し込み、これを証明する書類もあったのに、「ドイツの滞在ビザは出さない。」と言われてしまいました。
口が裂けても「働きたい!」なんて、口をすべらせたら駄目です!
7. 音楽家特有のトラブル
音楽家は自意識が高く、
「芸術は言葉じゃない!」
と考えてる方が少なくないようです。学校を休みがちになり、半年経ってもドイツ語の上達は止まったまま。あまりに学校を休むので学校がこれを外人局に通報(学校には通報の義務があります。)、出頭を命じられた日本人の音楽家。
しどろもどろのドイツ語(?)を聞いた役人は、
「半年も居るのに、下手すぎる。」
と、1年分発行されていたドイツの滞在ビザを取り消しました。違法就労、あるいは職探しを疑ったためです。哀れなのはその音楽家で、「今月末までに出国しなさい!」と宣告されました。
音楽が大事なのはわかりますが、ドイツ語をおろそかにすると帰国になるケースもあります。
ドイツの滞在ビザ 申請サポート
当店は毎年、お客さんの滞在ビザ取得をサポートするため外人局に出向いてきましたので、最新の情報を持っています。
ドイツ留学経験者のブログはすでに数年前の内容です。著作物に至っては、数十年前のもの。
外人局がドイツの滞在ビザの申請に要求する条件は、毎年、変化しています。1年以上前の情報はすでに古くなっており、あてになりません。本当の情報をお探しでしたら、プロのサポートをご利用ください。
ドイツの滞在ビザ 申請準備でおそらく一番面倒なのが、ビザ申請用紙の記入です。
書類は自治体によって少し形が異なるので、滞在ビザを申請する街の外人局まで申請書類を取りにいく必要があります。ちなみにミュンヘンではこの用紙を使っています。
当店のお客様にはドイツの達人が5000円+消費税で、一般の方には7000円+消費税で、完璧な申請書類を作成いたします。
同行 & 通訳サポート
当社の所在地のアウグスブルク、それに契約社員のいるフライブルクとデュッセルドルフでは、外人局への同行 & 通訳サポートを提供しています。(*4)
アポイントなしで外人局に行くと、短くても2時間、通常は3~4時間も待つことになるので、料金が高くなります。
外人局でアポイントが取れた場合
会員様は100ユーロ/回、一般の方は140ユーロ/回です。
アポイントなし
会員様は140ユーロ/回、一般の方は180ユーロ/回です。
*4 現在、日本に会社を移しているのでアウグスブルクの同行サポートは休止中です。帰国次第、再開します。
ビザの取りやすい街 & やっかいな街
ドイツは連邦制なので、滞在ビザの申請方法も街によりマチマチです。このため、滞在ビザの取りやすい街、もめごとの多いやっかいな街があります。
ビザが取りやすい街のトップ3は、デユッセルドルフ、ベルリン、それにフライブルクです。
ビザが取りにくいのはバイエルン州です。ミュンヘンもどちらかと言えばやっかいで、とにかく官僚的。でもこれまで群を抜いてひどかったのは故郷のアウグスブルク。
ドイツ語が達者で法律を知り尽くした私でも、自営業ビザを取るのに2か月かかりました。
受付の女性の態度はとりわけひどく、怒鳴り散らしています。お陰で何度も、「助けてください!」と、同行サポートを依頼いただきました。
住民登録 – 一週間以内に申請って本当?
人気の高い誤謬の一つに、「ドイツに滞在する外国人には、1週間以内に住民申請をする事が義務づけられています(町によっては2週間の場合もあります)。」というもの。
そのような記述は100%間違いですので、そのような内容を見かけたら責任者の方に、「間違っていますよ。」と教えてあげてください。
連邦制ってどういう事?
というのも、ドイツは連邦制。つまり州により法律が異なります。
結果、住民登録は引越し後1週間以内という州や、2週間以内という州がありました。しかしこの法律はドイツに住んでいる人を対象にしていましたから、旅行者 / 外国人は関係ありません。
外国人の場合、「独自のアパートを借りる事なく、2ヶ月未満の滞在をする外国人は登録の必要なし。」となっていました。
今でも頻繁に語られる、「ドイツに着いたら、1週間以内に住民登録をしなくてはらない。」というのは「ドイツ伝説」のひとつで、事実とは関係ありません。
住民登録法 / Meldegesetz
さらに2015年11月から新しい”Meldegesetz”(住民登録法)が施行されました。新しい法律では、「引越し後、2週間以内に住民登録をすること。」と全国同じ法律になりました。
参照 : BMG
ですから、「1週間なの、それとも2週間なの?」という疑問はもう発生しない筈。誤解されないように解説しておくと、この法律はドイツに住んでいる人を対象にしています。日本に住んでいて、ドイツ留学、あるいは観光で滞在する方には、別の法律が適用されます。
すなわち新しい法律では観光、あるいは留学などでドイツに3ヶ月までの滞在をする場合は、「住民登録の必要はなし。」となりました。
そうなんです。観光ビザと(ほぼ)一緒で3ヶ月までだと、面倒な住民登録の必要がなくなりました。
出張所 / Bürgerbüro
これで「私は住民登録の義務があるの?」という疑問は解決した筈です。
登録義務のある方は、ドイツに着いて一息ついたら、まずは住民登録を済まてください。住民申請はその町の市役所(Einwohnermeldeamt)で行なえます。
でも、それではわざわざ市役所まで出向く必要があるので、町の区ごとに”Bürgerbuero”という出張所みたいな場所があり、ここでも住民登録ができます。
勿論、市役所まで出かけてもいいですが、ものすごい人が順番を待っており、1~2時間も待たされます。ミュンヘンではドイツ滞在24年間で最長の4時間待ち!
少し離れた場所にあるBürgerbüroまで出かけていくと、列はほとんどなく10分ほどで順番が来ます。(ミュンヘンは出張所がないので待ち地獄です。)
一部の町、例えばアウグスブルクでは住民登録も外人局の管轄になっていますので、住民登録をするのに、わざわざ外人局まで出かけていく必要があります。
住民登録には現在住んでいる場所を証明する書類が必要です。アパートを借りている場合は、大家からの一筆が必要です。これを大家さんにもらって、役所に置かれている書類に住んでいる住所を書き込み、身分証明書(パスポート)と一緒に提出するだけです。
住民登録が完了すると住民証をもらえます。この書類は、今後、生活のいろんな面で必要になりますので、失くさないように大切に保管しておきましょう。
帰国 & 引っ越し / abmelden & ummelden
住民登録(anmelden)をしたら、引越しの場合は”ummelden”、帰国の場合は”abmelden”(引越し/退去申請)をしなければなりません。
この退去の書類、ドイツ語では”Ab-oder Um-)Meldebescheid”と言いますが、引越しされた街で再び住民登録をする際に必要になります。
又、電話やインターネットの解約をするにもこの書類は必要になりますので、住民登録だけでなく、退去申請もお忘れなく。
無犯罪証明書って何?
「ドイツの事なら、まずはドイツ領事館のホームページで確認しよう。」
と思いますよね。ところがドイツ領事館で勤務している方は、ドイツの滞在ビザを取得したことがありません。
このためドイツ領事館のホームページに記載されている内容、とりわけビザの取得に関する箇所は誤りが多いです。
その代表的な例は、「無犯罪証明書」です。今でこそ修正されましたが、「ドイツの滞在ビザを申請するには、無犯罪証明書が必要です。」と20年以上も記載されていました。
これが原因で、
「この無犯罪証明書て何よ?」
と悩まれる方が多いです。このおかしな日本語は、”Führungszeugniss”を日本語に(誤って)翻訳したものです。”Führung”は日本語で「行い。」、「指導」に相当します。”Zeugniss”は「成績表」です。
すなわち行いの成績表です。日本語で表記するなら「経歴証(明)」と言うべきでした。
この証明はドイツで会社を登記したり、仕事に就く際に就職先が素性の調査として要求されることがありますが、ドイツの滞在ビザの取得とは何の関係もありません。
このようにインターネットで検索できる情報には、誤ったものが多いです。それがドイツ領事館でも。
「ネットで書かれていた!」
と頭から信用しないで、情報は一元ソース、この場合は外人局のホームページ、から取得する事が重要です。
無犯罪証明書 / Führungszeugniss 取得方法
ドイツの滞在ビザ取得には必要ないですが、この機会に、無犯罪証明書の取得方法も解説しておきます。
住民登録した場所に身分証明書をもっていき、無犯罪証明書の発効を依頼します。費用は13~20ユーロ。ただじゃないです。発効にかかる時間は2週間で、自宅の郵便受けに届きます。
言う間でもないですが、過去に犯罪を犯したことがない人が申請(取得)するから意味があるんです。犯罪を犯した人が申請すると、犯罪証明書になっちゃいます。
ドイツの滞在ビザ の種類 学生ビザ?語学学校ビザ?
よくいただくお問い合わせに、「ドイツの語学学校に行くのですが、学生ビザ、それとも語学学校ビザ、どちらを申請するのでしょうか?」というものがあります。
結果から言えば、どちらでもありません。厳密に言えば「学生ビザ」も、「語学学校ビザ」も存在しません。
いや、ちゃんとブログに語学学校ビザと書かれているよ!
上述のミュンヘンの外人局のビザの申請用紙をご覧ください。
どこにも学生ビザ、語学学校ビザ、を選択する箇所がありません。選択できるのは、滞在許可証、ブルーカード(米国のグリーンカードに相当)、永住許可です。何処にも語学学校ビザとは書かれていません!
「語学学校ビザ」なる代物は、ドイツ語が不自由な方が勝手に考え出したビザの名前です。日本語でしか存在していません。ブログに書かれている偽情報に惑わされないうようにしましょう。
じゃ、本当はどうなの?
語学学校に通う方でも、大学に通う方でも、あるいは駐在員でも、申請するのは滞在許可証です。
大学から入学許可がおりれば、ドイツ滞在許可が下りるし、当社のホームページで紹介している語学学校に通えば、現地で滞在ビザが取得できます。簡単明瞭ですよね?
念のため、以下にそれぞれのケースでの注意点などを挙げておきます。
語学学校に通う場合
「語学学校に通えばドイツの滞在ビザが下りる。」
と考えられているケースが多いのですが、実際にはそうではなく、条件があります。そんな事とは露知らず、語学学校に通えばビザが下りると信じて申し込み、ビザを申請に行くと、
「これではビザは下りません。」
と言われてからご相談をいただきます。
そんな事にならないように、自分で留学を手配される方は渡独前に語学学校等に問い合わせ、100%の確証を得てから留学しましょう。しっかりした語学学校ならビザに関して経験がありますから、きっと役に立つ助言をしてくれます。
逆に問い合わせても全然役に立たない語学学校、もっとひどいケースでは返事が来ない学校は、最初から辞めておきましょう。そんな学校に通ってもろくな事はありません。
大学に通う場合
大学に通う場合とは、「通いたい」、「通う予定の場合」とは違います。大学から入学許可が下りてから、ドイツに入国する場合の事です。
この場合のドイツの滞在ビザの申告は至極簡単です。ビザの申請に必要な申請書類を持っていけば、問題なく滞在ビザを発行してくれます。
ドイツで就労する場合
ドイツで就労する場合は、
「これからドイツで仕事を探す」
という場合ではなく、すでに職が見つかってドイツの滞在ビザの申請を行なう場合です。この場合は、日本にあるドイツ領事館に仕事先からの雇用証明書を持参してビザを申請していました。
最近では、この場合でも現地の外人局で滞在ビザを申請するようになりました。
ワーキングホリデービザの延長、書き換え
「3ヶ月くらい滞在して、現地で様子を見てからビザを延長しよう。」
と、ワーキングホリデービザを3ヶ月程度取得して、渡独されるケースがあります。ワーキングホリデービザの延長は(原則的に)できません。
3ヶ月で取得されると、3ヶ月で出国する必要があります。その逆に1年でビザを取得、3ヶ月で帰国されるのは問題ありません。この為、最初からあまり短い期間でビザを申請されませんように。
又、ワーキングホリデービザで入国、ドイツ国内で大學に通う為のビザへの変更が断られるケースが出てきました。特に厳しいのはハンブルク、ハノーファー地域ですが、今後もこの地域が広がるかもしれません。
大學進学を目標にされる場合は、ワーキングホリデービザの取得をしない方がいいかもしれません。
滞在ビザの取得費用
以前はこのページの上部の写真のように、パスポートにビザを貼り付ける形でした。
その場で必要事項を記入するとプリンターで印刷、30ユーロと引き換えにパスポートにビザを貼り付けてくれました。(2017年では56ユーロに値上げ。)
ところが、外人局の役人がこのシールをこっそりと持ち出し、”Schwarzmarkt”(闇市場)で売って、お給料を改善する方法を発見、違法の滞在ながら正規のビザを持っている外国人が多くなりました。
これに対処する為に、これまでのような簡単なドイツの滞在ビザを廃止、2009年頃からカード式のビザに変更され、この滞在ビザはベルリンでのみ発行される事になりました。
カード式ビザの申請後、「ビザが出来たので取りに来てください。」というお知らせが届くまで3週間、ドイツの滞在ビザの費用は100ユーロ程かかります。(1年以内の滞在であれば、今でもシール式の簡易ビザで済みます。)
ビザの申請はお早めに。まず外人局でアポイントをもらえるのに2週間は待たされます。大都市なら1ヶ月近く待たされます。
さらにビザができるまで3~4週間かかると聞いてビックリ、「ビザが届いていないのに、観光ビザで滞在可能な90日を超えてしまいます!」というお問い合わせがとても多いです。
余計な心配をしなくて済むように、ドイツの滞在ビザの申請は計画的に行ってください。